06
「リザ、出かけるから用意して」
「え?」
食材の買い出しは別として、師匠が出かけるのに私を誘うのは珍しい。
というより、出かけるときに私を誘う理由は一つしかない。
「シオンさんのとこに行くんですか?」
「そうだ」
なんだか不機嫌そうだけど、まぁ、シオンさんのところに行く時は師匠はいつも不機嫌だ。
シオンさんっていうのは、街で商売をしてる人のことである。
他人には愛想のいい師匠が本性を見せているくらいに、付き合いは長い人らしい。
本人曰くトレジャーハンターらしく、世界各国をまわって貴重品を集めて来ては、ここで売り捌いているようだ。
師匠が持っている本だって、シオンさんから買ったものが多い。
古文書なんて、普通の本屋じゃ手に入らないもの。
なんだか、私は彼に気に入ってもらっているらしく、お願いするともの凄く高い品物でも結構値下げをしてくれるのだ。
にこにこと人好きのする笑みを浮かべて、変な訛りでしゃべるシオンさんを思い浮かべて私はちょっと浮き足立つ。
普段、師匠としか話をしないから、他の人と話ができるのは、それだけで楽しい。
ましてや、シオンさんてば、ちゃんと私のこと女の子扱いしてくれるから、更に嬉しい。
師匠なんか、こき使える弟子くらいにしか思ってないもんね!
「待ってください、師匠!着替えてきます!」
「そんな必要ないだろう?」
「女の子は外出するときには、オシャレするものなんです!」
慌てて自室に戻り、淡いブルーのワンピースを取り出す。
そえれから、白いレースに縁取られたカーディガンを合わせ、つっかけのように履き潰した靴からブーツへと履き替える。
さっと櫛を髪に通して、薄めに化粧をすれば出来上がり!
たまのお出かけだし、出来る時にオシャレしなくちゃ!
「師匠!お待たせです!」
「遅い。とろい。ぐずい」
「そ、そこまで言わなくても・・・」
「ほら、行くぞ」
し、師匠が不機嫌でも、久しぶりに街に行く私はご機嫌だからね!
そ、そんな怖い顔しても、ひ、怯まないですよーだ!
不機嫌極まりない師匠に強引に腕を掴まれて、私たちは我が家を後にした。
うーん、師匠がご機嫌だったら、楽しい外出なのにな。




