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魔法使いと私  作者: りきやん
昔を思い出しました

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37/150

09

わからない。

わからない、わからない。


自分がいる今が現実なのか。

それとも、さっきまでいた場所が現実なのか。


「し、師匠 ・・・私・・・」


身体が震える。

焦りと不安で呼吸が乱れる。

どっと背中や顔に冷や汗が吹き出してきて、体温がどんどんと下がって行くような気がする。


「リザ、落ち着くんだ」


師匠は私をベッドに座らせると、自分も隣に座り、ぎゅっと抱きしめてくれる。

私も師匠の服をキツく握りしめて、師匠の胸に顔を埋めた。

怖くて仕方が無い。

師匠にしがみつくようにしていないと、自分が崩れてしまいそうだ。


私を助けてくれた師匠が本物なのか。

私と両親を助けてくれた師匠が本物なのか。


「わかんない・・・わかんないよぉ、師匠・・・」


私が涙声でそう零せば、師匠が抱きしめる力を強くしてくれる。

その温かさは、以前、ママが私を抱きしめてくれたときの温もりに似ていた。


「安心しろ。僕が側に居るから。君には辛いかもしれないが、悪夢の原因もすぐに取り除いてあげよう」

「違うの、悪夢じゃないの、師匠。とっても幸せな夢なの。夢なんだけど、匂いも時間の流れも全部本物みたいなの」


そうだ。

あの世界は本物のようだった。

いや、本物だった。


もしかして、こっちが夢なのだろうか?

本当は、パパもママも生きているのに、死んでしまった未来の悪夢を見ている?


「こっちが・・・夢?」


そう呟いた私に、師匠は苦虫を噛み潰したような顔をする。


「しっかりしろ、現実はこっちだ。君が見ていたものはまやかしに過ぎない」


師匠の胸に埋めていた顔を上げる。

そのとき、ふと、窓を何かが横切ったのが視界に入り、私はそちらに目を向けた。

そこには、いつだったか、どちらの世界だったか・・・もしかしたら、一緒に行ったハーブ採りの行きだったか、帰りだったか。

師匠と一緒に見たふわふわした光が無数に浮かんでいる。


「綺麗・・・」


不思議と、以前感じた不気味さは無かった。

色とりどりのその光が、私にはとても魅力的に見える。

どうして、あの時はあの光が不気味だと思ったのだろう?


「リザ、何を見ている?」

「師匠、ほら、あの光。魂の残骸」

「ここにいるのまで見えるのか?」

「あれって、あんなに綺麗なものでしたっけ・・・」

「やめろ。あれを見てはいけない。綺麗に見えるのは、君の魂がきっと死に魅了されているからだ」


師匠は私が外を見ないように、頭をぐっと肩口に押さえつける。

もっと見たかったのに、と零したら、師匠の手に力が篭った。


「リザ、いい子だから、目を閉じてゆっくり呼吸をするんだ」

「どうして?」

「もう一度、君は夢を見ないといけない」

「眠るの?」

「そうだ。今起きたばかりだけれど、もう一度眠るんだ」


私は師匠の言う通りに、深く息を吸う。

師匠の肩に顔を埋めて呼吸をしているはずなのに、あの甘くて爽やかな匂いはしなかった。

やっぱり、こっちが夢の世界なのかもしれない。


「夢の中で眠るなんて、変なの」

「・・・そうだな、変だな」

「おやすみ、師匠」

「おやすみ、リザ」


起きたばかりで、また眠るなんて。

夢の世界は何でもアリなのだろう。


「リザ、君にあの時の現実をもう一度見せないといけない日が来るとは・・・」


眠りにつく間際、師匠がぽつりとそう零したのが聞こえたけれど、返答する前に、私の意識は遠のいた。

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新作「グレーテルと悪魔の契約
ちょい甘コメディファンタジーです。
よろしくお願いします〜!
by りきやん

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