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魔法使いと私  作者: りきやん
みんな仲良くしましょうね

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お礼はどうしましょう?

 以前、シオンさんに頂いたペンダント。私はそれを光に当てて眺める。


 うーん、本当に素晴らしいものだと思う。こんな素敵なプレゼントをしてくれたシオンさんに、きちんとお礼がしたいのだけれど、何がいいのだろう?


 各地を飛び回ってる人だし、遺跡にも足を踏み入れてるみたいだから、薬品セットでもプレゼントしようかと思うのだけれど。


 魔法を上手く扱えない私でも、魔法薬の調合ならできる。あれって、自分の魔力は一切必要ないからね。


「どうせ作るなら、スノウに手伝ってもらって、なかなか手に入らないものがいいよね」


 残念ながら、私の部屋にある本は初心者用の本ばかりで専門書はリビングの本棚に置いてある。補足しておくと、師匠の部屋の本棚には危険な本しか置いてない。


 本自体に魔法が掛かっていて、開くと呪われるとか、ガーディアンが現れるとか。師匠の部屋自体に片手で足りるくらいの回数しか入ったことがないので、自分の目で見た訳ではないけれど。


 部屋を出て、リビングに向かい、私は薬学の本を片っ端から開き始める。とりあえず『月光鳥』という言葉の書いてあるページに附箋を貼付ける作業から。ページの端を折ると、師匠がめちゃくちゃ怒るから面倒でも仕方ない。


 こうやって眺めていると、なかなか面白いもので、月光鳥の羽根というのは上品質の薬には必須の材料のようだ。きっと、羽根自体に魔力が詰まっているので、薬に混ぜた時に効力が上がるのだろう。


 注釈を読んでみると、月光鳥は魔力の生成に月の光の力を使っているらしい。


 だから、スノウは夜に光るのかな?


 月に関係した薬を作る際には、例え主成分として必要とされていなくても、月光鳥の羽根を入れると質が跳ね上がるようだ。月関連の病気はやっかいなものが多いので、効力が上がるのは有り難いことである。


「おや、珍しい。君が本を広げているなんて」


 いつの間に来たのやら。師匠が私の後ろから覗き込むようにして、本を眺めている。


「月光鳥の羽根を使った薬品を調べてるのか?」


 さすが師匠。私が広げているページには、注釈にちょいちょいと月光鳥のことが書かれているだけなのに、どうして分かるんだか。


「師匠、月光鳥の羽根を使った薬ってなかなか手に入らないものなんですか?」


「あぁ。あの鳥の羽根を採取するのは極めて困難だ。種の個体数が少ない上に、なかなか人前に姿を現さない。運よく落ちている羽根を拾うか、ばったり出くわした鳥を生け捕りにするかでしか羽根を採取できないな」


「へぇ。じゃぁ、スノウみたいなパターンは珍しいんですね」


「珍しいというより、史上で初めてかもしれないな」


「うわー! 私、すごいラッキーですね」


 師匠がここまで言うのだから、本当にすごいことなんだろう。なんてぽけっと考えていたら、師匠に後ろから本を取られた。


「あ、ちょっと! 師匠! 返して下さい!」


「一つ言っておくと、月光鳥の羽根を使う調合は極めて精密にやらないと大失敗するぞ」


「大失敗なんて、日常茶飯事です!」


「威張るな」


 がつん、と本の背表紙で頭を軽く叩かれる。あ、軽くっていうのは師匠本人の中でね。私としては、かなり痛かった。


「師匠いたい!」


「傷薬などの調合と違って、魔力を扱うからな。それが暴走すると、薬品が飛散してとんでもない結果を生み出すこともある」


「うぅ……無視しないでくださいよぅ」


「月光鳥の羽根を使ったものを調合したいなら、僕と一緒にやることだな」


 言った側から無視する師匠。


 わかってます、この人は私の言ったことと反対のことをするのが大好きなんです。


「じゃぁ、この『人狼薬』一緒に作ってください」


 人狼薬っていうのは、飲むとオオカミに変身できる薬。薬の効力が続く限り、姿を変えられる便利なものなのだ。


 人狼族っていうオオカミの姿と人間の姿を取れる種族がいるのだけれど、普通の人間がそれに近いことを薬のおかげで出来るようになるって訳。


「君がなぜオオカミに変身したいのか、僕には理解し兼ねる」


 なにやら、師匠は私が薬を使うものと勘違いしたようで、眉に皺を寄せて私を見下ろしている。ちょっと興味はあるけれど、残念ながら私が使う訳ではないのに。


「違いますよ、シオンさんにあげようと思って」


「はぁ? なんであいつに?」


「ほら、この前ペンダントもらったお礼に」


 師匠はスッと本を棚に戻すと、急に不機嫌になってソファに座る。


「あれ? ちょっと、師匠、薬の調合……」


「やらない」


「えー? じゃ、私1人でやりますよ」


「もっとダメだ」


「じゃぁ、どうしろって言うんです」


「お礼なんかしなくていい」


「そりゃ、師匠は付き合いが長いからそう言うかもしれませんけど、私は違いますからね」


 むっつりと黙り込んでしまった師匠を見て、私は心の中でため息をつく。こうなったら、師匠はよっぽどのことがない限り、てこでも動かない。


「もう……分かりましたよ。街でなんか買って渡すことにします」


 どうして、師匠ってば、シオンさんのことになるとこうも不機嫌になるんだか。


 仕方ないから、街で今は何が流行っているのか調べる事にしようっと。

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新作「グレーテルと悪魔の契約
ちょい甘コメディファンタジーです。
よろしくお願いします〜!
by りきやん

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