さらば近藤
注:この話は、「おかしなおかしな教師近藤のPTへの道」と「おかしなおかしな教師近藤が教師じゃなくなる?」と「おかしなおかしな教師近藤TV」の続きです。
近藤の友人の米野は茫然としていました。
「どうしたんだい?」
彼の様子を見て、近藤は訊きました。
「いや、何なんだったんだよ、今の。三つもあって、その全部がくだらねえ……」
「あら、まあ、辛口だこと」
「いや、辛口じゃねえだろ。みんな思ってるよ」
「いいじゃないか。最後くらい、思いきり好きにやらせてくれても」
「え? 最後?」
「うむ。どうやら私は読む人々に望まれていないようだ。もうこの世界から身を引こうかと思ってね」
「ええ? マジで?」
「じゃあ、ここでお別れだ」
近藤は米野のもとから歩いて離れていきました。
米野は去っていく寂しげな近藤の後ろ姿をぼんやりと眺めていました。
すると、振り返った近藤が声をかけました。
「ちょっとー。ここは『カムバック! コンドー!』でしょ」
「はあ?」
「いや、そういう感動的な場面でしょうよ」
そして近藤はまた前方を向いて離れる方向へ歩きだしました。
米野は釈然としない気持ちながらも、言われた通りに呼びかけました。
「カムバック! コンドー!」
「はーい!」
近藤は走って戻ってきました。
米野は口をぽかんと開けて少し黙った後で、しゃべりました。
「何なんだよ? いったい」
「驚いたでしょ? 本当にもう私と別れることになるのかもって。ドッキリ大成功ー」
「ふざけるな。今の時間、返せ」
「よし。じゃあ、最後にもう一度、山手線ゲームをやろう」
「ええ? いいよ、もう」
「今回のテーマは『プロレスの技の名前』だ」
「またかよ! もう、いいよ、プロレスは! おっさん丸出しだっつーの!」
「だっだら、これだけ言わせてくれ。今しか話す場面がないからさ」
「何だよ? もー」
米野は渋々OKしました。
「やっぱりプロレスラーの入場曲で一番いいのは、ハンセンだと思うんだ」
「ハンセン?」
「ああ、スタン・ハンセン。ちなみに、私的入場曲ランキングの二位は長州力だ」
「知るか! 読んでる人全員、ぽかんとなってるよ!」
「じゃあ、ここまで付き合ってくれたきみに、お礼としてこれをあげよう」
近藤は卒業証書を入れるような筒を米野に差しだしました。
「近藤検定一級の賞状とか、そんなんだろう?」
米野は筒から中のものを取りだしながら言いました。
「さすがに私の長年の友人だ、鋭い。けど、違うよ」
「ええ?」
そして米野は入っていた紙を広げました。
「私が力うどんを食べている姿を生徒が描いた画だ」
「ブーッ! いるか、こんなもん!」
米野はそれを放り投げました。
「いや、美術室に置いて帰った者がいてさ。誰なのかわからなくて、もったいないから。本当にいらないの?」
近藤は拾って、筒に戻しながら訊きました。
「いらん」
「だったら、これを読んでくれ」
近藤は米野にメモを渡しました。
米野は、今さら抵抗しても仕方がないので、書いてある文字を読み上げました。
「今回はほんとにいろいろあったし、楽しかったな~。もうお腹がいっぱいで、何も食べられないやー……」
それを受けて、近藤は叫びました。
「近藤の物語は今後もおそらく、つづく!」
これで終わりです。読んでいただいた方、くだらないのにお付き合いくださり、ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。




