出発
近藤という男がいます。彼は、見た目は典型的な日本のサラリーマンといった真面目な風貌ながら、ハチャメチャな人格をしているのですが、そんな人間性なのに中学校の教師をしているという、ややこしい人間です。
そんな彼が、ここのところ、何やら悩んでいる様子なのです。
あれは、おそらく、ひどい便秘なのだな——。
同僚の教員たちは皆そう思いました。というのも、彼の表情が金剛力士像のように非常に険しく、それが原因として実にしっくりくるものだったからです。
その状態は職場にとどまらずプライベートな時間でも見られ、悩みはかなり深いと周囲の人々は感じていたのですけれども、米野という名の、こちらはまともな、友人といるときに、近藤は相変わらずのゆがんだ顔つきから突然大声を張り上げました。
「そうか!」
「ど、どうしたんだよ?」
びっくりした後、米野は問いかけました。
「いや、近頃、私は悩んでいたんだ」
「ああ、便秘なんだろ?」
米野もやはりそう捉えていたのでした。
「便秘? なぜに便秘なんだい? 全然違うよ」
「え? そうだったのか。じゃあ、何に頭を悩ませていたんだ?」
「私があまり読まれないことさ」
「読まれない?」
「うむ。これまで小説家になろうやカクヨムに幾度も登場したっていうのにだよ。てっきり、数話も投稿すれば『こいつは面白い!』と大絶賛されて、私の物語は恐ろしい数のPV数に達すると踏んでいたのが、まったくたいしたことがないレベルで、『どうしてなのだ?』と悩んでいたというわけさ」
「そりゃあ、いい歳をしたおっさんが、ふざけたり、はしゃいだりしてるだけで、くだらないからな」と米野は思いましたが、口にすると近藤が怒ると判断して黙っていました。
「で、何が足りないのかと考えていたんだけども、わかったんだ。インパクトだってね」
「インパクト?」
「ああ。見ての通り私はザ・ジェントルマンという容姿で、インパクトという点においては決定的に不足しているだろう?」
「……まあな」
「いや、ザ・ジェントルマンじゃなくて、ザ・中年のおっさんの間違いだろ」と米野は思いましたが、面倒なので訂正しませんでした。
「今の世の中、腐るほどたくさんの物語があるなかで、ただ上質なだけでは人々の目に留まらない。インパクトが必要なのだよ」
「なら、身なりが地味だから、ド派手な格好をしようとか思ってるのか?」
「チッチッチッ、甘~い。私が用意した策はこうだよ。このストーリーを別のタイトルのものに移行させて、次からはなんと『おかしなおかしな教師近藤が友人と山手線ゲームをして遊ぶ』が始まるんだ」
「ええ? 何だ、そりゃ」
「そういうことだから、これを読んでくれ」
近藤は米野にメモを渡しました。
米野は訳がわかりませんでしたが、とりあえず言われた通りメモに書かれた文字を読み上げました。
「そりゃあ、とっても、ざ、ざ、ざ、斬新~」
それを受けて、近藤は叫びました。
「はい、じゃあ、スタート!」
続きを読みたい方は、「おかしなおかしな教師近藤が友人と山手線ゲームをして遊ぶ」をご覧ください。




