第8話「まさかの出会い」
そして翌日の放課後。
〜渋谷川学園 廊下にて〜
「あ、晴那とヒカリ。ユニットの練習する?」
「ごめん。瑠奈ちゃん。実は私、同学年の人に呼ばれているの。」
「あたしもかな〜あたしは部活動があるだけだけど。」
瑠奈は晴那とヒカリを誘ったが、断られてしまった。晴那の理由は分からなかったが、先生を手伝っているのかな、と瑠奈は思った。
「あ、そうなんだ。それだったら仕方がないか。」
「それじゃあわたし、一人で行ってくるね!」
瑠奈はいつものようなSquareに向かって行った。
「………月乃瑠奈、ね。」
「ああ、なんだか楽しそうだな。」
「ムカつくよな。正直さ。」
その三人の声は瑠奈に一切聞こえる事なく消える。
〜Square 音楽スタジオ〜
「よし。今日も練習しよう。」
「(まあ、晴那とヒカリがいないのは仕方がないけどやっぱり寂しいな。)」
「(かと言って菊池さんも忙しいだろうし…あ、そうだ!地…)」
しかし、思い出そうとすると何だか悲しい気分に瑠奈はなった。
「……思い出しても悲しいだけだな…地花は今何をしているのかな…」
「あ、いやいや、今は三人のユニットで演奏する為に練習しに来たんだった。」
「とにかく練習する用の曲を演奏しよう。」
そして最初の練習が終わって数分後──。
「よし。練習終わり。段々と上手くなってきている感覚があって嬉しいなあ。」
「でも流石にずっとやるのはわたしにとってはキツいな…」
「自動販売機でドリンク買ってこようかな。」
〜音楽スタジオ外にて〜
「えっと…メロンソーダ一本と…」
瑠奈はかなりジュースを飲む。と言ってもカロリーオフも飲んでいるが。特に好きなのがメロンソーダである。
「──おーい!」
すると何処からともなく声が聞こえてきた。
「……?」
「ちょっと千紘!誰かいるのにいきなり声をかけるのは失礼でしょ!?」
「あ、あの大丈夫です…って」
声をかけてきたのは『コラオフ』のメンバーでリーダー、七海千紘だった。その隣にいるのは百瀬叶と、一ノ瀬いちかだ。
「『collapsed of hate』の皆さん!?」
「うん!私は七海千紘!コラオフのリーダーだよ!」
「私は千紘の一応後輩、百瀬叶です。…千紘、迷惑でしょ?いきなり声掛けたら…」
「まあまあ。叶ちゃん。そんな顔せずに…あ、私は一ノ瀬いちかです。」
見た事のあるバンドに出会い驚く瑠奈。瑠奈は思わず緊張してしまう。
「あ、あの皆さん!」
「わたし、前のライブ見ました!すごく、良かったです!」
「え〜♡嬉しい!」
千紘はメンバーの前で出さない甘い声を出した。
「うわっ…千紘のその声、久しぶりに聞いた…」
「いい子ぶって……」
「ちょっと、叶ちゃん!」
三人それぞれのからかいに瑠奈は仲が良いんだな、と感じた。最もそれを言ったら叶が嫌がるが。
「だから、もしまたライブの機会があったら見に行きます!」
その時、千紘は暗い表情をした。
「………」
「千紘さん?どうしたんですか?」
「あ、ああごめんごめん!叶に言われた事を思い出して…」
その言葉で瑠奈といちかは笑った。
「あはは、仲が良いんですね。」
「そうですね!私も見ていたらホッコリします!」
しかし、二人は妙に暗かった。
「(最近、叶の言い方がきつくなっている気がするな…いや、元からキツかったけど。)」
「(私の事、嫌いになったのかな?今はライブ見に来てくれた人の前だから結構前の言い方と変わらないけど…お客さんがいない所では…)」
「(…私は千紘に意見を言っているのに厳しい厳しいって拒否される…なんで?)」
「(いちかさんの意見は聞くのに…まあいちかさんの意見は正しいけど…)」
するとその様子に瑠奈が気づく。
「あの…千紘さん、叶さん?どうしましたか?…あ、すみません!忙しかったですよね!」
「いや、大丈夫ですよ!…ほら千紘も早く行くよ!わざわざ対応してくれたから!」
「え〜…あ、見に来てくれてた人!名前はなんて言うの?」
「月乃瑠奈です!今日は話してくれてありがとうございました!」
「瑠奈ちゃんね…ありがとう!それじゃあ私達は別の所に行くね!」
そう言った『コラオフ』のメンバーは瑠奈の目の前を去った。
「……ふふ。」
「(三人は仲がいいな。そしてユーモアもある。凄いユニットだな。本当に。)」
「(百瀬さんと七海さんの見せた顔が気になるけど…)」
「わたしが気にしても、だよね。」
「わたしはとにかくメンバー二人の為に練習する、勿論楽しみながら!」
「(そしてまた四人で活動する為に!)」
瑠奈は再度練習を始めた。『コラオフ』と出会えたからか、最初の時よりも楽しく上手く演奏出来た。
〜数分後〜
「よし、『アバンド』で一緒にやっていた『Sustenance』は段々と慣れてきた。」
アバンドとは瑠奈が勝手に呼んでいる『A band-just-three』の略称だ。呼びやすいので気に入っている。
「(今頃、晴那とヒカリは何をしているのかな)」
瑠奈は笑顔で言った。しかし、当の本人達は……
〜渋谷川学園 1ーBにて〜
「日上さん〜?ちょっと聞きたい所があるんだけど…」
「うん、どうしたの?」
「月乃さんとかつて仲が崩れたって言ってたけど今はどう?」
晴那は一番聞かれたくない事を聞かれて困惑する。
「え、今?ま、まあそれなりくらい?かな」
「ふーん...いや別に嫌がらせで聞いた訳じゃ...ただ日上さんが嫌な事されていなかったら良いな、って。」
「私は別に嫌な事、されていないけど...」
「そっか。それは良かった!ごめん!私の間違いだったみたいだね!」
「.......だけどうーん...土山さんは言い方あれだし嫌な事とか...」
それはある意味で答えたくない質問だった。
「え?そんな事は無いよ?だって地花ちゃん、優しい所もあるから。」
「それって...貴方に対してだけじゃない?」
「私や他の人達にはキツいから。土山さんは。」
「(...違う。地花ちゃんは恐れているんだ。関わりを持つ事によって勘違いが起きる事を。)」
「(だからこそ地花ちゃんは狭く関わっている。)」
しかし晴那が思った事もクラスメイトには聞こえない。
「...まあ晴那が良いんだったらいいけど。土山さんには気を付けてね。」
「それじゃあ、私は帰るね。」
そう言ってクラスメイトは帰っていった。
「全く、心配しなくて良いのに...」
そして一方、ヒカリの方では...
とある教室の廊下にて。
「星川。授業とかどうだ?サボっていないか?」
「ええ~酷いな~あたしだって真面目な時はあるんだよ?」
「そうだぞ?お前。いくらなんでもその言い方は酷いだろ。星川も高校生だし。」
「それもそうだな。何、お前が上手くやっているんだったら安心だよ。」
「それじゃあな、星川。まあ楽しく過ごしながら授業をしっかり受けろよ。」
「はいはい。」
そう言って男の生徒達は去って行った。
晴那とヒカリはクラスメイトに言われた事を良い事のように思っていた。
しかしそのクラスメイトの正体は...
「馬鹿、ね。まさか私が貴方達を批判している奴である事に気付かないなんて。」
晴那を馬鹿にしているM谷、そして
「俺が教師からも問題児と言われていた生徒である事に気付かないとはな!」
「ああ。星川の愚直さは呆れるな。」
K木とH石だった。
後にたったこの出来事で色々な出来事が起きるとは思っていなかった──。
皆さんこんにちは。小山シホです。投稿が遅くなりましたがやっと公開出来ました。さて今回は久し振りにK木とH石とM谷が登場しましたね。果たして彼らは元ノンフォーのメンバー達にどんな影響を与えるのか。次回の話をお楽しみに。
次回予告
何度も練習を重ねた『アバンド』のメンバー達。演奏が上手くなった三人は菊池真海子に演奏を見せたいと感じる。一方で『コラオフ』はスランプに陥り...?




