第7話「私にとっての新しいスタジオ」
〜翌日〜
〜学校の帰り道〜
「………史香。」
地花は昨日史香に言われた事を思い出していた。
「それに地花ちゃん。この選択が”最善だった”なんて思っていないでしょ?」
この言葉が地花には記憶に残る。
「(史香はこう言ってくれた…だけど私が皆の所に行っても本当に良いの?)」
「(私は皆を守りたかった。だからこそ私は皆を裏切った。)」
「(…本当は私が他の誰かに批判されるのが嫌だったんだけど。)」
地花は葛藤する。過去に批判されてしまった皆。勝手な事をしたせいで悲しんだ皆。それを彼女はもう見たくないのだ。
「(それにTriangles!には沢山迷惑をかけたからSquareって所に行くけど…Triangles!のSquareのオーナーって仲良かったんだったっけ?)」
「(三葉さんがSquareのオーナーである四角さん?に私達の事を全て話していなかったらいいんだけど。気を無理に使われたくはないし。)」
「(ん?なんか見られてる?)」
地花が考えていると街の人に見られている。
その人達は地花のクラスメイトである。
「ねえねえあの人、土山さんじゃない?」
「うっわ…マジで?私、Square行こうと考えていたけどTriangles!行こうかな。」
「あ、じゃあさ!私も着いていっていい!?」
「(──アンタらには関係ないよ。)」
地花はクラスメイトの声を気にする事も無かった。
「(確かSquareはこっちで…)」
地花はSquareの方に向かっていく。
そして歩いている内にSquareに着いた。
〜Square 受付〜
「こんにちは。Squareは初めてですか?」
「あ、そうなんですけど、一応聞いていますから大丈夫です。」
「うん。分かりました。それじゃあご自由にスタジオ使ってね。」
Squareのオーナー、ノアは地花の事を余計に聞かずにただ客として接した。
「(四角さんって人、私に何も聞かなかった。…過去は知っているだろうに。)」
「(取り敢えず、向かおうか。)」
そしてSquareのスタジオにて。
「...誰もいない、か。そりゃそうか。」
「(今頃、私とやりたい人なんていない。私は嫌われ者だから。皆に迷惑をかけたから。)」
「(だから私は中学の最初の時に戻るんだ。また一人でただ単に音楽をやっている奴に。)」
「(迷惑をかけなければ良いから。)」
「えっと、ドラムはあるやつ使おう。」
「それじゃあ何か演奏してみようか。ええと...」
「『collapsed of hate』の『of happy』で行こう。」
「of happy」とは千紘が一人で作曲と作詞をした曲。仲間である叶はその能力を勉強に活かして欲しいと感じるくらいには千紘は音楽の才能がある。
「それ以外の音は公式の音源を使おう。」
「それじゃあ、1,2,3」
──♪
「(やっぱり軽快な音だな。楽しそうな気がする。七海さんって凄いんだな。)」
「(………)」
軽快なリズム、明るい歌詞、だが地花は何処か暗そうだった。
「(おかしいな。私。音楽が好きでドラムを叩くのも好きな筈なのに…)」
「(気分が高くならない…?初めてのSquareで緊張している…?いやでも私はTriangles!が初めての時でも楽しかった気がする。)」
「(私はまさか…)」
と考えたが、地花はそれを否定した。
「(いやもう既に仲間達の事はかつての事。もうあのバンドは解散した。)」
「(だから別に忘れてもいい筈なのに私はまだ覚えている?)」
「地花!わたし、出来たよ!」
「凄いね。瑠奈。それじゃあ次のパートに行ってみよう。」
「(私は寧ろ一人が好きな筈なのに…)」
「──失礼します!」
一人で考えていると声が聞こえた。
「あ、はい。どうぞ。…ってえ?」
「……地花!」
「瑠奈?え?どうして此処に?」
入って来たのはかつての仲間、瑠奈と晴那とヒカリだった。
「私達は練習したかったんだ。地花ちゃんは?」
「あ、わ、私もドラムの練習をしていたよ。」
「……あの、ちーちゃん!」
「何?」
沈黙が流れる。
「あたし達、やっぱりちーちゃんと練習がしたい!」
「………前にも言ったかもしれないけど私はもうバンドを解散させたの。」
「だから私は一人で練習する。」
「──それはどう?土山さん。」
「え?」
すると地花の知り合いの人が来た。
「……貴方は、菊池さん?」
「そうだよ。土山さん。」
菊池真海子。地花が四人でバンドを組んでいた時にTriangles!で出会った人物。真海子は原宿公立女子高等学校(原宿公立女子高)に通っている高一。つまりは地花と同じ学年である。原宿公立女子高は公立の学校で偏差値は45。特に何も特化していないが、自由はある。ただしそれも渋谷川学園の方がある。またノンフォーのメンバーとも関わりがある。
「あなたの元仲間に呼ばれたから来たよ。」
「あの、土山さん。元仲間とバンド練習してみたら?」
「うーん...でも三人は技術も落ちていると思うし...」
「まあそれでもやってみるのは大事だと思うわ。どう?」
「菊池さんが言うなら仕方が無いか。それじゃあやる曲はTriangles!のオーナーが作っていたあの曲を流して欲しいな。」
「あの曲…スタジオでよく聞いてた『シカク』かな?よし。流すね。」
「シカク」とはTrianglesのオーナー、三葉アレンの友達が作った曲。シンプルなタイトルだが歌詞は割と深い。
「あ、もし月乃さん達。私は気にしなくて良いわ。」
「やりたかったら土山さんと一緒にやるべきよ。ただの知り合いである私じゃなくて。」
「良いんですか?ありがとうございます!それじゃあやります!」
「…やりたかったらやれば良いけど。私は厳しいからね。菊池さんみたいな優しさはないよ。」
「分かった。私達も頑張るよ。」
「それじゃあカウントは私が取るわ。1.2.3」
「シカク」のイントロが流れる。
「──♪~♪」
──♪♪~
「(よし。良い感じ!ここであたしのキーボードを...)」
「...ストップ。」
「?」
だが地花はすぐに止めた。
「皆ズレてる。久し振りだから仕方ないけど、皆の音をしっかり聞いて。」
「ヒカリは晴那の音を聞いて。後、瑠奈は買ってからまもなくだから仕方がないけどもう少し周りの音を聞いて。」
「...はあ、私はこうなる事を分かっていたんだけど。だからあんまりやりたくなかったんだよね。」
「え、でもるーちゃん最初のベースにしては大分うまくなかった!?」
「私は平均的、中途半端な音楽はやりたくない。それは知っているでしょ。」
地花は元仲間に厳しく言う。それを見かねた真海子が言った。
「じゃあ、私も一緒にやって良いかな。月乃さん達。」
「やってくれるんですか?菊池さんと一緒なら頼りになります!」
「うんうん!真海子さんだったら絶対、楽器上手いよね!」
「あはは。ありがとう。私はギターが出来るからギターを弾くね。土山さん。もう一度、同じ所から始めてもらってもいい?」
「...まあ菊池さんと出来るなら私はもう一度演奏するけど...一回だけだよ。瑠奈、晴那、ヒカリ。」
そして地花がカウントを取った後、さっきと同じ所から始まった。
「──♪─♪」
──♪─♩─♪
三人は真海子の音に衝撃を受ける。
「(...菊池さん...!私達に合わせてくれている?)」
「(凄い!真海子さんあたし達に寄り添ってくれてる!嬉しい!)」
「(...菊池さん...優しいな。瑠奈達をサポートして導いている。)」
そして演奏終了後。
「ふう。これが今の私の実力だけどどうだった?」
「もう素晴らしいです!流石、Triangles!でアルバイトしているだけあります!」
「ヒカリ。興奮しすぎ。でも確かに菊池さんは凄いよね。」
「...菊池さんの演奏は凄かったけど。もう私は帰って良い?ちょっと家に帰って練習したくて。」
すると真海子が言った。
「あら?月乃さん達とは練習しないの?私ももう帰る所だけれども。」
「...いや、はっきり言って今の皆はちょっと、って感じだから。」
「私も皆の良く無かった所とか自分の良く無かった所を家でまとめたい。結構、スタジオの予約とって時間が掛かったし。」
皆はその言葉に納得したような顔をした。
「うん。分かった。確かにわたしも長居しすぎたね。わたしは家に帰って反省会を自分でするよ。」
「あ、私も。私も色々練習したいけどスタジオには色々な人がいるからそう言う人に見つかるのが怖いから私も家に帰って練習するよ。」
「あたしは...あ!あたしスタジオ予約していたんだった!」
その言葉に困惑と笑いの声が聞こえる。
「ちょっとヒカリ!それだったら予約スタジオで何もしていないじゃない!」
「あ、もし良かったらだけど私達でヒカリちゃんが予約してくれたスタジオに行くのはどうかな。そこで私も練習したいし。」
「あ、それ良いね。それじゃあヒカリが予約してくれたスタジオに行こう。」
そうして三人は予約しておいたスタジオに向かって行った。
「やっと一人で練習出来る。」
「あ、私。三葉さんに頼まれていたんだった。行かないと。」
「それじゃあ土山さん。またね。」
そう言って真海子もTriangles!に向かって行った。
「皆いなくなった。もう。皆、騒がしいんだから。」
「...ある程度此処で練習しよう。」
「(だって菊池さんや元仲間もなんだかんだ頑張っているから。)」
地花のストイックさは元から変わらなかった。そして地花はある程度、スタジオで練習した後、家でも練習するのだった。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回、ついに元仲間達が練習をしましたね。また新しい人物である菊池真海子も登場しました。果たして地花達元仲間はどうなるのでしょうか。
次回予告
ある日。いつものように二人を練習に誘おうとしていた瑠奈。しかし晴那には断られてしまう。それは仕方が無いかと考え、Squareに向かう。其処でまさかのコラオフのメンバー達と出会い──!?




