おまけ~拉致られてマイペースハニー~
午後の講義のために昼から登校中、不穏な男たちに囲まれるミト。
「へっへっへ」
「よぉ。こんにちは、お嬢さん」
「こんにちは」
「ちょっと聞くけどよぉ。
アンタ、マッドシャー……いや、中原シャルヴィークの女で間違いないかい?」
「ん。分かった。ついて行く」
「まだそこまで言ってねぇよ!?」
「先回りにも程があるだろ!」
「車、アレ?」
「そうだけど何で我先に乗り込もうとしてんの!?」
「まだ?」
「うわああ、もうシートベルトまでしてるぅーー!」
「しかも、ちゃんと後部座席の真ん中って、空気読みすぎか!」
「従順ってレベルじゃねぇぞ!」
「あ、まぁ、ホラ、話が早いのは悪いことじゃねぇよ……ねぇ、よな?」
「え、た、多分?」
車中。
「空腹。持ってきたパン食べていい?」
「えっ、あ、どうなんだ?」
「え、別にいいんじゃねぇの」
「食べていいってよ」
「ん」
パカッ。(カバン開ける)
ガサガサガサ。(ビニール袋を漁る)
もっもっもっもっ。(メロンパンもぐもぐ中)
「ホントに食ってる」
「なんだかなぁ……」
「……なんか、実家で飼ってたハムスター思い出すわ」
アジト外。
「うわぁ、待たれてる。ドアのカギ開けるのめっちゃ待たれてるぅぅ」
「マジ何なんだ、この不思議生物」
「実は妖怪の一種って言われても驚かねぇぞ俺は」
「マッドシャークの趣味どうなってんだよぉガチで」
IN アジト。
「スマホどうぞ」
「まだ出せって言ってないからぁ!」
「ダーリンで登録してるのがそう」
「うわ、何か聞きたくなかった」
「アイツそんな呼び方させてんの?」
「シャルって呼んでる」
「じゃあ何でそんな名前で登録してんだよぉ!」
「愉快だから」
「あぁそうなのぉ愉快なのぉ!」
「俺、もう頭おかしくなりそう」
地下。
「……拘束は?」
「いやだから何でそんなに積極的に捕われようとすんのぉ!?」
「あっ。そういや縄、車に積んだままだわ」
「取ってくるか?」
「あー、もういんじゃね。面倒臭ぇ」
「ここまで来りゃ逃げようもねぇだろ」
「正座待機」
「だから早ぇよ!」
「見張りは?」
「えっ」
「必要か?」
「俺、ヤダぞ。コイツと二人は」
「俺もちょっと」
「どうせテーブルで塞ぐんだから、いらねぇだろ見張り」
「じゃあ、そういうことで」
そういうことだった。