挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋 作者:理不尽な孫の手
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

6/12

L5~L20

投稿5回目

●1日目●

 4月1日に戻ってきた。
 俺は、あと何回この日を体験しなければいけないのだろうか。
 それを考えると、深いため息と、狂いそうなほどの焦燥感が湧いてくる。
 が、悩んでいてもしょうがない。
 早速、投稿を開始するとしよう。
 と、その前に、実績解除の確認だ。

『10000pt達成:表計算ソフトが解除されました』
『日間一位達成:アウトラインプロセッサが解除されました』
『週間一位達成:アイデアプロセッサが解除されました』
『感想100件達成:キーボードがアップグレードされました』

 今回は4つも解除された。
 それぞれのソフトについて確かめる前に、キーボードのアップグレードという単語が目につき、俺は自分の手元に目を落とした。
 すると、キーボードの上の方に小さなボタンがいくつか付いているのがわかった。
 そこにはボタンに合わせた小さな文字で、『コピー』『ペースト』『新規保存』『上書き保存』と刻印されていた。
 わざわざマウスで右クリックしなくても、このボタンを使えば簡単にコピーやペーストが出来る! すごい!
 と、言いたい所だが、キーボードのショートカット機能でも代用できるものだ。
 ぶっちゃけ使えない。

 が、もしかするとアップグレードはコレで終わりじゃないかもしれない。
 ひとまず次のアップグレードを待ってみるのも一興かもしれない。

 さて、それぞれのソフトを確認していこう。
 まず表計算ソフトだが……表を作るソフトだ。セルに数字や数式を入力することで、簡単に表を作ることが出来る。
 仕事では使うが、小説を書く上で何の役に立つのかはわからない。

 アウトラインプロセッサ。
 これは文書を作成するときに、個々の項目をツリー形式で表示することが出来るツールだ。
 階層的かつ視覚的な管理が可能となるため、執筆の際に物事を整理しやすい。

 アイデアプロセッサ。
 これは思考の整理や、アイデアの発想を支援するツールだ。
 言葉で説明するのは難しいが……よく海外ドラマで、登場人物がボードに写真や新聞記事、メモ用紙などを貼り付けて、糸を張ったりしているのがあるだろう。
 あれをパソコン上で行えるものだ。

 アウトラインプロセッサにしろ、アイデアプロセッサにしろ、なくても執筆は出来るだろうが……。
 ともあれ、基本的に小説を書く上で支援になりそうなものが解除されていくらしい。
 この調子では、年間一位を取っても大した機能は解除されなさそうな気がするな……。

 まぁ、とにかく一位を取ることが目標なのは変わらない。
 年間一位を取って部屋から出られるならそれでよし。
 累計一位を取らなければ部屋から出られないのだとしても、年間一位はその通過点にあるのだから、どのみち取らなければいけない。

「さて、問題は何時に投稿するかだな」

 やはり、一番ポイントが入る時間帯がベストだろう。
 何時ぐらいがいいものか……人が小説を読むのは何時ぐらいだ?
 通勤時間に読むのだとすると、8時とか9時。
 昼休みに読むのなら12時とか13時。
 仕事や学校から帰ってきてまったりとした時間に読むのだとすると、7時から10時って感じか。

「あ、そうか」

 迷うことなど無いか。
 単に、一番ポイントの入る時間帯を探ればいいだけの話なのだから。

 まずは、一番近い時間帯として、8時1分に投稿してみることにした。





投稿20回目

●1日目●

 8時から23時まで、総当りで試してみた。
 投稿して、翌日のポイントを見てリセット、その繰り返しだ。
 数値は全てループデータビューワに保存されているが、まとめたのは表計算ソフトだった。
 何の役に立かわからないと思っていたものが、さっそく役に立った。

 結果、18時に投稿するのが最もポイントが高いと判明した。
 正確には18時1分だが、まぁ、概ね18時だ。

 次点で20時、22時。
 その次は9時だった。

 よって、この周回では、9時と18時の2回更新で、どれだけポイントが伸びるかを試してみようと思う。


●7日目●

 目論見が成功すると心が踊る。
 成功どころか、大成功だ。
 すでに日間1位を6連続で取った。
 週間1位は確実。このままいけば月間1位も取れるだろう。

 俺は何もする必要が無い。
 ただただ、1日に2回、決まった時間に投稿するだけだ。
 いやはや、こんなに簡単にポイントが取れるとは、最初にやっていたのは何だったんだって話だよ。


●20日目●

 一ヶ月経たないうちに月間1位を取ることに成功した。
 未だ、ポイントの増加は止まらない。
 この作品が本来の作者の手によって投稿されるより、増加率がいいぐらいだ。
 それはつまり、年間1位も取れるってことだ。
 累計1位には及ばないだろうが、この方法を極めていけば、いずれ取れるだろう。
 ようやく、この部屋から出られる目処が立ってきた。


●52日目●

 ポイントが8万ポイントを突破。
 四半期一位も取れた。
 ポイントの伸びを考えるに、恐らくこのまま年間1位も取れるだろう。
 というか、すでに年間ランキングの14位に入っている。


●100日目●

 ポイントが13万を突破。
 現在、年間ランキング2位だ。
 さすがにポイントの伸びはかなり悪くなってきたが、しかし失速というほどでもない。
 年間一位は確実に取れるだろう。


●121日目●

 年間1位を取った。
 ポイントは15万。
 さすがにポイントの増加は落ち着いてきたが、それでもまだ1日に1000ポイント前後が入ってきている。
 単純計算で、これがあと200日続けば、20万ポイント。
 合わせて35万ポイントだ。
 累計1位も視野に入ってくる。


●136日目●

 投稿する話のストックが無くなった。
 まいったな。完全に失念していた。
 まずいな。
 更新が途絶えてもポイントは増加するだろうか……。


●137日目●

 ダメだった。
 ガクッと増加率が落ちた。
 とはいえ、増えていないわけではない。
 ひとまず、どこまで増えるか見届けてみよう。


●240日目●

 一通のメッセージが届いた。
 作品宛の感想やレビューではなく、個人宛のメッセージだ。
 いや、メッセージ自体は時折届いていたが、そのメッセージは、なぜか目についた。

 内容も平凡だ。
 他のものとそう変わらない。

 作品を読んで感銘を受けた、まさに自分の理想の作品だ。
 この作品で自分の作品観が変わった。
 だからこそ更新が途絶えたのが心配だ。
 続きを書いて欲しい、頑張って欲しい。
 あと自分も作品を書いているので、ぜひ読みに来てほしい。

 そんな感じ。
 感想にもよくあるタイプのものだ。

 だが、どうにも、そのメッセージだけは目についた。
 特に、送り主の名前が、何故かとても、気になった。
 どこかで見たことがある気がする。
 どこだったか……まるで思い出せない。
 だが、このサイトに知り合いはいない。恐らく気の所為だろう。

 作者のマイページを見に行ってみたが、どうやら作品を書いているようだ。
 そこそこ高いポイントを取っている。
 しかし、こんな作品、あっただろうか。
 俺が忘れているだけだとは思うが、タイトルに見覚えは無い。


●364日目●

 結局、最終的なポイントは18万ポイントだった。
 累計ランキングは16位。
 決して悪くない数値だ。
 今回は、かなり良かった。
 1日2回更新。
 それを約4ヶ月続けることで、あっという間に年間ランキング1位まで取れた。

 だが、状況はあまりよくない。
 なにせ、累計ランキング一位を取るためには、この2倍のポイントを取得しなければいけないからだ。

 4ヶ月。
 ということは、まだ半年以上もの時間が残っている。
 理論上は、同じポイントを取得するのも、不可能ではないだろう。
 とはいえ、それも話のストックが残っていればの話だ。

 更新を続ける限り、増加率は落ちるにしても、ポイントは入る。
 8ヶ月を使って18万ポイントを取得することも、恐らく不可能ではないだろう。

 しかし更新を辞めてしまえば、ポイントの入り方は歴然だ。
 今まで1日に900とか800とか入っていたものが、100とか200になる。
 入らないわけではない。
 なら、無駄ではない。
 そう思う部分もあるが、実のところ、この100とか200という数値は、現在の累計一位が1日に取っているポイントとほぼ同等だ。
 完結済みの作品であるため、ここから大きく増えることは無いだろうが……。
 ともあれ、更新しなければポイントを上回ることは不可能に近いというわけだ。

 しかし、話のストックが尽きている以上、更新は出来ない。
 作品をコピーしてきた時は、1年のリミットギリギリまでを使った。
 366日目に行かない限り、話数が増えることは無い。
 俺が続きを書くというのもアリだが……正直な所、俺が書いてもポイントが取れないだろうという気がしている。

 今回はあくまで年間一位を取ることが目的だった。
 それは達成した。
 だが、これ以上は手詰まりの予感がしてきた。

 何か、いい案は無いだろうか。
 次のループに入る前に、次の作戦を練っておきたい。

「ん?」

 そう思いながら作品群を見ていると、ふとあることに気付いた。
 今日の日間一位の作品。
 まだ2話目だというのに、随分と高いポイントが付いている。

 作者を見てみると、どうやら累計ランキング20位の作者が、次の作品を書いているらしい。
 その作品は、『小説を書こう』の空気に合っていない作品だ。
 実際、20位の作品に比べると、ポイントの伸びが悪いようだ。
 しかし、その作品は、日間ランキング一位……。

「……どういうことだ?」

 彼はなにか不正でもしているのだろうか。
 いや、違う。
 これと同じ現象を、俺は何度か目にした気がする。
 そう思いつつ、他の作品もいくつか見てみる。

 すると、累計ランキングの作品のいくつかは、2作品目、3作品目であることが判明した。
 原理はわからないが……。
 つまり、かなり有効な手というわけだ。

 幸いにして、俺の手元には、前にコピーしておいた作品がいくつか残っている。
 これらを使って、同じことをやってみるか。

 そう考えつつ、ループ最終日を迎えた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ