第十一話 思い出のラーメン
二郎は、机に向かい、一人で会議を始めた。
――食事指導事件。
あんなラーメンは、初めてだ。
もう二度と、あんな思いをしたくない。
ラーメンにも失礼だ。
――今日は、祖母がいない。
今日は自由にラーメンを楽しもう。
僕は、カップラーメンを片手にリビングに向かった。
――今日こそ、本当のラーメンを味わうんだ。
行儀も、カウントも、どうでもいい。
食べたいように食べてやる。
「ただいま。」
――またか。
だけど、ここで今日の僕は止まらない。
「二郎いたなら、返事しなさい。
それに、それ、今日は、ラーメン作るから、食べなくて良いわよ。」
――えっ。そうなの?
「今日、夕飯、ラーメンにするから、それ、しまいなさい。」
――今日は、母のラーメンを食べよう。
夕飯時になり、家族揃って、ラーメンを食べることになった。
「今日、ラーメンなんて、珍しいじゃん。」
「やったー。僕もラーメン食べる!」
「二郎、なんだか我慢していたみたいだから、今日は特別よ。」
僕は、ガッツポーズをすると、母から、ラーメンを受け取る。
そしてすぐに、ラーメンのスープを一口啜った。
――美味い。
「どう、美味しい。」
母の声に、僕は無言で頷いた。
「二郎って、ラーメン好きだよな。どうして、そんなに好きなんだ。」
「去年ぐらいかな。」
僕は、過去の記憶を思い出して、家族に話すことにした。
「僕は、学校の成績が悪かったら、遅くまで、勉強をしていたんだ。」
―一年前の冬―
学校の成績が思うように伸びず、二郎は夜遅くまで机に向かっていた。
――お腹空いたな……。
もう、今日は止めようかな。
時間は、十時を過ぎていた。
そんな僕の前に美味しそうな匂いが漂った。
「これ、置いとくわね。」
机の上に、熱々のラーメンが置かれていた。
僕は、そのラーメンを夢中で食べた。
その時の味は、今でも忘れない。
―現在―
「それからの僕は、やる気を出して、成績も上がり、ラーメンが好きになったんだ。」
「へぇ、そんなこともあったんだ。」
「そう。……そうよね。」
「あの頃、俺も受験だったな。ラーメン、食った覚えないな。」
「それは、あんたがいらないって言ったからよ。あっ。」
「じゃあ、俺のラーメンをお前が食ったんだな。」
――えっ、僕のラーメンは、兄のだったのか……。
僕は、残りのラーメンを平らげた。
――あれっ、味変わった?
……いや、変わらないはずだ。
ラーメン記録帳
出来事
母の手作りラーメンを食べた。
真実は、分かったけど
ラーメン愛は、変わらない。
そして、今日のラーメンは最高だった。
教訓
母のラーメンが一番美味しい。
命名
僕の思い出のラーメン




