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92.普及させたい。

誤字脱字のご指摘、いつもありがとうございます。

今回の話も正直、料理に興味が無ければスルーでも…一応、後の話には関りを作ります。

 こうして、かなりの長い時間話をしていた気もするのだが、今の話の中で気になった事が有ったので、事前に確認しておきたいと言う事でパブを切り上げて…ロッタの処に行くことにした。


 リチャードのせい…と、でも言うべきか、ミズキはロッタの家をマヨネーズ工房だと思っていたのだが、どうやら料理研究家…みたいな立場らしい。勿論、料理人も兼ねている。


 ミズキが気になったのは…ロッタが「泡だて器を普及させたい様である」…この点である。

 以前のロッタはミズキ達に対して、この街の住人にマヨネーズ…いや、生卵を食べさせるのが難しい…様な事を言っていた。だとすると、ロッタはマヨネーズではない何か他の事に対して、泡だて器を普及させたいと考えているはずなのだ。それを聞いて見たかった。


「君は…目ざといと言うか、耳ざといと言うか…細かい所に気が付くねぇ…」


「物を販売する…って結構、色んな事が大事になるんですよ。メグさんもそうでしょ?」


「まぁねぇ。でも、僕が気にするのは世間のほんの一部何だよ。君みたいに何処もかしこも気にする様な事はしないもん。」


「…?」


 現実世界での営業系と事務系の従事作業の違いのせいか、メグミは理解しても、るぅが理解しないめずらしいパターンではある。首を傾げるるぅにミズキは話しかける。


「単に、何に使うか知りたいんですよ。自分の知らない使い方を教えて貰いに…かな?」


 るぅは料理がそこそこ出来る為に、泡だて器の用途に関して多岐に亘る使い道を漠然と頭の中に入っているのだろうが、ミズキは現状で卵の撹拌位しか知らないのだ。

 るぅにしてもこの時代、この世界での料理については、材料や道具が不十分な事から、本来の実力を出し切れない部分もあるとミズキは思っている。

 そこで、この世界で料理が出来る役割を与えられたNPCで、且つ、泡だて器にも関わったと言うロッタの話を聞きたいと思うに至る。 


「料理が出来ないのに、そんなの聞いて役に立つ訳?」


 メグミがチャチャを入れてくるが、


「ロッタさんが何をしたいか聞きたいんですよ。そしたら、儲け話も思い浮かぶかもしれないでしょ?俺じゃなくても、るぅねぇだったり、メグさんが。」


「僕は自信ないよ?」


「…考えるよ…うん…」


「大量生産を希望する以上、目論見が有ると思うんですよね…」


「なるほどねぇ…」


 そんな会話をしつつ、疲れ知らずの三人組はロッタの工房へと到着し、扉をノックすると運よくロッタは中に居たので快く迎え入れてくれる。エプロン姿なので、今も何か料理をつくっていたに違いない。応接室の様な所に通されて、


「ロッタさん、何か泡だて器の件ではお世話になったそうで。」


「いやいや。安価で便利な道具が普及するのは素敵な事だよ。こっちが御礼を言いたい位さ。」


「それで、単刀直入に聴きますけど。泡だて器の普及って、ロッタさん的には料理の世界がどんな感じで変わります?」


「そうだねぇ…一般家庭でも、料理の材料として空気を気軽に使える様に出来る…とでも言えば良いのかな?」


「…(うんうん)…」


 るぅは納得している様だが、ミズキとメグミは置いてけぼりである。


「言ってることが全然わかりませんっ!」


「僕もっ!」


 …と、思った事をそのまま口に出すミズキに対してロッタは噛み砕いて説明してくれた上に、実際に目の前で簡単に実演付でスクランブルエッグを作ってくれる。

 卵をそのまま炒ってつくったスクランブルエッグと、泡だて器でよく泡立てて造ったスクランブルエッグを目の前に出されて食べ比べる様に言われ、言われるがままに食べて納得する。


「あぁ…空気を材料に…って言うのが解ります。」


「僕も分かった気がする。ふわふわだよね。」


「そそ、今迄はここ迄するには結構な手間が掛かったんだよ。毎日食事を作る主婦目線だとそんな事は面倒この上なくてやる気も起きないんだよ。」


「でも、泡だて器が有っても、手間が増える事に変わりはありませんよね?」


 チッチッチッ…と、人差し指を立てて左右に振り、大袈裟に反論する。


「これ位の手間で、レパートリーが増えるなら検討の余地が出るのさ。子供なんかは泡立てた方が好きかもしれないよ?」


「よくわかりませんけど、そんなもんですか?」


「そんなもんだよ。それに卵だけでも無いんだ。生クリームなんかも身近になるんじゃないかな?」


「生クリーム?」


「氷の準備はハードルがあるけど、ホイップするのは格段に楽になると思うよ。」


「…先生…解りません。」


「先生?まぁ、良いけど…液体状の生クリームを…あーなんて言うんだろ?流れ落ちない程度に固めるのは相当手間なんだよ。瓶に入れて振る手もあるけど、やり過ぎてバターっぽくなっちゃったりとか加減が難しいんだよね。」


「ケーキとかに乗せる?」


「そうそう、それだよ!まだまだタルト何かの方が普及してるけど、そもそものケーキの生地を作るのだって楽になるさ。素敵でしょ?」


「言ってることが余り理解出来てませんけど、家庭で料理するのにとても便利な道具である訳ですよね?」


「魔力無しでも、多少の労力で魔道具と同じ事が出来る位にはね。」


「最後の一言が一番理解出来ました。」


「それは何より。」


 そうしてミズキ達に苦労して理解させた後、今後は自分で実演販売でもしようと思っている事や、ある程度売れれば勝手に広がっていくと予想している事等を教えてくれる。


「まぁ、リチャードさんの為にも沢山売ってあげて下さいよ。」


「任せといてっ!私も売るの楽しみなんだからっ!」


「それは喜びますよ。リチャードさんも。伝えておきますね。」


 こうして聞きたい事をきいたミズキは、ロッタ邸を後にすると。間髪入れずにテンに声を掛けられる。


 ---


『リズに現実の21時だとDREAMは夜中なんで、21時半位でいいかって聞かれてるけど?』


(あぁ、問題無いだろ。リチャードにも連絡入れといてくれよ。)


『はいはい。』


 ---


「えっと二人はDREAMでの明日のお昼から、商業ギルドで大丈夫ですかね?」


「構わないよ。」


「…(こく)…」


「じゃ、今日はこの辺で。一日中話しっぱなしでしたけど、お疲れ様ですよ。」


「濃い一日だったよ…」


「…あしたは…どうなるんだろうね…?」


「大した事は起きませんよ。友達は増えるかもしれませんね。」


「テンちゃんの事?それとも別人?」


「人…そう蜥蜴人かな?リザードマンです。」


「飽きないねぇ…君。」


 そんな話を流しつつ二人と別れた後、休憩所のベットの上で休憩に入る。

 犬猫二人は癖なのかちゃんとシャワーを浴びて休息をとるのだが、オートマタであるミズキには必要も無く、横になるとすぐに仮眠を取るのだった。

マヨネーズの話が、そのうちケーキにも波及するかもしれません。

人形と猫はあまり理解していませんが、頑張る犬がちゃんと聞いています。


あと、突っ込まれた事ですが、名前付の水棲人の話し方が片言かたことで無いのは、フィーナは流暢な言葉を個性としてその役職に立ち、蜥蜴三人はプレイヤーだからです…はい。

片言かたことの水棲人を出していないのが、事をややこしくさせてしまったんだと思います。すみません。

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