86.観念するマイク
かなりの訂正を頂きました、どれだけ間違えているのか…自分。
海産物に関しては、今回の話で納得してもらえればと。
そうして坂を歩き下りながら冒険者ギルドに到着する。
特に何をするわけでも無く、椅子に座り、机に頬杖をついて、幾つかあるテーブルの一つをぼーっとしているマイクが占拠している。
「よぉ、マイク。待たせたな。」
「お疲れさん。で、どんな感じの話になったんだよ?」
マイクから聞かれるであろうと思っていたミズキは、先ほどプロデューサーと領主であるウィリアムとの会談の内容を説明した上で、リズの時と同様にマイクに仕事を投げかける。
「流れ的に、再び冒険者ギルドは領主運営に戻るんだが、リズと一緒に水産物ギルドの運営をする気ってあるか?」
「冒険者ギルド的にトラブルが起きねぇなら、まぁ…いいけどよ。小難しい事は出来ねぇぞ?」
「あとでリズから話を聞いて決めりゃいいよ。一応儲け話ではあると思うが。」
「けどよ、それ受けちまうとお前と一緒に動けなくねぇか?」
「ワールドレイドが無くなりゃ、当分平和だろ?お前の仕事は俺の傍にはねぇよ。」
「それに、コークとエディンは行き来するとは思うし、お前ともフレンドになってんだ。用があるならメッセージでもしろよ…それにな…」
「なんだ?」
「この街は侵略があったが、遺恨のない稀有な街になる訳なんだが…コークはそうはならねぇよ。俺が居るからな…まだ、リザードマンには居ずらいかもしれねぇぞ。その偏見を無くす為にも水産物ギルドを目立たせて欲しいんだよ。」
「魚を取って、売るだけで変わるのか?」
「流通する海産物が旨くて、それを水棲人が中心となって商売し続ければ偏見や迫害は薄れるだろうよ。悪く思うのは、それがお前ら3人…プレイヤーでは無くて、水棲人のNPCの為に…って方が比重が重いんじゃねぇか…って事だがな。」
「国を作れ…って話の時にも言ったが、揉めねぇのか?この街にも漁師は居るんだろ?」
「元から流通する水産物と、お前らの手でこれから流通し始める水産物自体は違うだろうが、価値の上下はねぇんだよ。新しい物は初めは物珍しさはあるかもしれんが、今までの魚が食われなくなる事もねぇと思ってるぞ。」
「なら良いけどよ。ずーっと商売なんてのは嫌だぜ?俺はお前とはちげぇし。」
「立ち上げだけやって貰えれば、後は何とかなるから助かるんですよねぇ。俺が魚を食いたいもんで。」
「なら、やってやるよ。借りっぱなしってのも気分悪ぃしな。」
「借り?貸しがあるのは俺の方でしょ?」
「おまえなぁ…欲がねぇのか良くわかんねぇけどよ、俺たちゃ今回のレイドでなーんにもしねぇ事になった訳よ?それで貢献値だけ入るのは、お前のせい…いや、お陰だろうが?」
「マイクがそう思うんなら、俺がどうこう言わねぇけど…ありがとな。」
「おまえは…なんなんだろな…初めは馬鹿にでもしに来たかと思えば、一方的に恩を売りつけたり…」
「やりたいことをやってるだけだよ。我儘なんだよ、俺は。」
「はっ…我儘なやつは、自分の事を我儘なんて言わねぇよ。」
「そうか?」
「本当に我儘な奴は、自覚なんてしねぇよ。」
「ま、いいけどな。まぁ、リズを助けてやってくれよ。」
「任せとけよ。死なずに済んだ奴らも…魚を獲れる事に感謝とかするのかねぇ…お前に。」
「感謝なんか要らねぇよ、俺が気分悪くならない為に、俺が勝手に動いたらこうなっただけじゃん?別に恩を売る気もねぇし。だから、そいつらにも給料っつーか、生活費?現物支給?水棲人の社会はよく知らんが、面倒見てやれよ?」
「それは、今までと変わらねぇ。」
「おー、やる事やってんじゃん。」
「流れでな。ま、普通の冒険者とは違う体験は面白いやな。」
「せっかく時間を費やすんだ、やりたい事やって、楽しみたい…けど、中々上手く行かねぇのもまた達成した時の肥料みたいなもんだって、テンも言ってたしな。」
「テン?ヘルプボットだっけか?体を与えられたら、俺とも話させろよ。面白そうだよな。」
「あぁ、いいんじゃねぇか。」
その時、二人の話を傍で静かに聞いていたリズが割り込む。
「あー、それ、私も興味あるー!」
「はいはい。そんじゃ水産物ギルドの方も宜しく頼むぜ。それ以前に自分でヘルプボットと話すりゃいいのに。」
「あれと話をする感覚がよくわからん…解らない事を聞くだけだろ…」
「あぁ、解らない事を聞くな。メッセージも出してくれるぜ。」
「そこらは俺らも出来るんだが…なんか、お前の話を聞いてると何かが違ってる気がするんだよ…だから、見てみてぇ。」
「ホントよね…しゃべるお人形さんとか可愛いでしょ。」
「まぁ、見た目は俺だよ。まぁいいや。俺はコークに帰るわ。リズは土曜にコークな。マイクも来たけりゃ来ればいい。」
「あ、あぁ…わかった。」
「あーそうだ、マイク。頼みがあるんだけど。」
「何だよ?」
「ちょっと、殴り殺してくれね?」
「はぁ!?何言ってんだ?」
「リズがケチでさ、殴ってくれねぇんだよ。」
「「…」」
黙る二人を放置し、丁度いいやとばかりに受付に行ってPVPフィールドの予約をする。
「ほら、これで他人には見られねぇだろ?行くぞ。」
有無を言わせぬミズキの物言いに、マイクは言われるがままに仕方なくフィールドに一緒に入り、無表情のままミズキを殴り飛ばした。
自分が楽して帰りたいがばかりに…(笑)




