84.タラフライとサーモンフライと。
案の定落ちつきました。面白い三日間でした。
食べ物に奇妙な執着をみせるミズキは、数少ない行った事のある街の中で気が付いた事が有る。
焼く・茹でる・炒める・煮る・揚げる・蒸す…と言った基本的な調理方法をこの世界で目にしているのだが、細かく言うと個人的に好きなそれらから派生する調理方法を見かけないのだ。
それは、衣を付けて揚げる事。
とんかつ然り、てんぷら然り、衣を付けた揚げ料理はご飯のお供に最適なのに見当たらない。
ここイギリスなんだろ?何でフィッシュ・アンド・チップスとか無いんだよ。チップスしかない。マヨネーズが基本的に一般的に普及して無いからタルタルソースなんかも無い。米が無いのも相まって、ご飯が無くても満足出来そうな料理から手に付けたくて仕方が無いのだ。グダグダと文句を言っているが多分作るのはるぅだ。
そんな訳で、海産物確保大作戦で狙うはタラだ。
近海の魚は漁師に任せるとして、取れそうなのは小魚系やエビカニイカとかだろうか。そんな訳で水棲人達にはちょっと外洋に出て貰ってタラだのサーモン辺りを取って来て貰おう。
サーモンなんかは、おぼろげな記憶ながらノルウェーだの北欧の印象が強いから取れない事も無いだろう。サメとかも居ればカマボコとか作れるんだっけ?ともあれ、とりあえずはタラとサーモンだな。
…と言った希望をリズに話す。具体的なリズの仕事はと言えば…
・水産物ギルドの設立
・水産物の漁獲指示、管理、販売
・漁獲に関する人件費管理
位のもんである。なんならフライの店でも併設すればいい。
自分達と一緒に調理方法を確立するもよし、自ら調理をするもよし…って、リズさんって「中身」も女性なのかな?流石にリザードマンの雌を選択してプレイする男性はレアだとは思うが、今更確認するのも憚られるので気にしない事にする。
まぁ、タラのフライはコークで作りたい(自分が食べたい)から、エディンではサーモンのフライを売る事にして差別化を計るのもいいかもしれない。
そもそも領主が承認しているんだから、言うほど苦労なんかない気がするが、とりあえずはリチャードに話をしてから考えれば良い。コークの商業ギルドにエディンで取れた水産物の南への窓口にでもなって貰う代わりに人員を出させたって良い。
そうすれば、リチャードもリズも、もしかしたらマイクも勝手に稼いでくれるだろう。自分は魚の確保さえ出来るならいいのだから。
そんな訳で、初めだけ面倒かもしれないが、一度動けば勝手に回るんじゃないかと説き伏せる。
「まぁ、最初位は手間を惜しまずにやってみろよ。その後は多分ほっといても回る様にしてくれるよ。エディンの領主とコークの商業ギルド長が。」
「商業ギルド長まで知り合いなの…?」
「あぁ、リチャードも運営側だぞ。相手が人間の方がやりやすいんじゃね?」
「…ホントにレベル1のルーキーなの…あんた…」
「疑い深いなぁ…リズさんもそこそこ強いんだろ?一発さ俺の事殴ってみてよ。サクっと死ぬから。」
「はぁぁぁぁ…!?何言ってんの、あんた?」
「あぁ、元々今日死ぬ予定なんだよ、俺。死んだら5分でコークの教会だしな。レベル1だからペナルティも無いらしいし。」
「ホントにレベル1なのね…」
「Pさんとの話を聞いてたろうが…俺、経験値が入らない話をしたろ…?」
「あぁ…やっと信じられそう…」
「じゃ、殴ってよ。」
「いやよぉ、寝覚め悪くなるわっ!」
「ケチだなぁ。」
「そういう問題!?」
「外でモンスター捜して、殴られ続けるのも痛いし面倒なんだよ…一発で楽にしてくれよ?」
「いーやーだっ!」
馬鹿げたやり取りも埒が明かずミズキが折れる。
とりあえずはミズキは死んでコークに戻るから、土曜日の夜にでもコークに来て欲しい。商業ギルド長と今後の商売に関して話を詰めたい事を伝えると共にその旨をテンに(リチャードに連絡頼むわ)の一言で依頼する。
注意点として、コークでは水棲人に偏見が有るかもしれないので馬車を商業ギルド裏に直接行かせる様にと締めくくる。ただ、今後の商売で街に利が有る事を周知させられれば、リズ達もコソコソせずに行き来できる様にしたいと言う自分の希望は伝えた。
「ねぇ…あんたのDREAMでの目的ってなんなの?
「んー、米を食う事と料理をする事かね?」
「……何で現実でやらないのよ…?」
「皆、それ聞くな?DREAMに来る時にそうしたいって思ったから…意地みたいなもんだよ。」
「私にはよくわかんないわ…」
「あー、でもさ、今は最初とはちょっと変わったんだぜ?」
「なにがよ?」
「友達と食いたいんだよ。こっちで。」
犬娘が聞いたら尻尾をブンブン振りまくるであろう言葉を、何故か蜥蜴娘に言う…そんな奴である。
相手の欲を利用する…だけに、犬娘が理解出来ない、そんな方向で。




