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77.希望成就?

 Pさん曰く、NPC自体がAIで自立活動する様に作られている為に、同様のAIで思考するヘルプボットに体を用意する事は…出来るか出来ないで言えば出来るらしい。逆に何故にそんな事がしたいのかを問われる際に、以前申請が上がってた気がすると伝えてくる。


「あー…あれかな?テンと知り合いとで会話する事が出来ないか…って、テンに言った…気もする。」


「その時は何の事か解らなくてスルーしたけど、今理解したよ…」


「それで、どうですか?」


「確認するけど、実際に話を聞いて検討するにしても、君の希望は君のヘルプボットを第三者と会話させたい…で、いいのかな?」


「そうですね。」


「それだけであれば…やってみようか。あ、コレはあくまでモニターだからね。仮に実現したらちゃんと感想とか報告を頼む事になるけどいいかい?」


「えぇ、それ位なら。」


「会話だけなら、アバターは作らずに立体映像とかでもいいのかな?」


「あっ、それ駄目ですっ!」


「んん?他に希望があったのかい?」


「えぇ、テンにご飯を食べさせたいんですよ。」


「「「「『はぁ!?』」」」」


 再び、5人?が理解できないと声を上げる。

 そして、ミズキの発言に対して理解が出来ないプロデューサーは、右手で頭頂部を掻きつつミズキに改めて質問する。


「ヘルプボットに、ご飯を食べさせたいと?」


「えぇ。」


「何故?」


「自分ばかり食べてたら、可哀そうでしょ?テンが。」


「可哀そう?」


「考えて下さいよ。自分の目の前で、自分は食べる事の出来ないのに美味しい物を食べられたら…って。」


「…お前…ぶっ飛んでるな…」


 と、マイクが呟けば、


「君の思考は、ほんとにNPCとプレイヤーが同一なんだね…」


 と、リズが過去の会話の経験から納得しているような発言をする。


『あんた、何で…』


 と、テンの思考が追い付かなければ、


「まぁ…君の希望は解ったよ。」


 と、プロデューサが締める。リンクは言葉も無く、ただ呆れている様子である。

 そしてプロデューサーは言葉を続ける。


「等身大は色々面倒だからさ、手のひらサイズの人形とかでもいいかい?」


「えぇ、充分ですよ。」


 と、応答すれば、


「マジか!?」


「え?本当に?」


「リクエストの枠…広いんですね…」


 現実味を帯びてきた話に蜥蜴達も素直に驚く。

 

「何でも言ってみるもんだろ?考えてもみろよ、この世界は何でも出来るってうたってるんだからさ。」


「まぁ…君はかなりの例外に属すると思うけどね…少し時間を貰えるかな?あと…確定では無いって認識して貰える?立体映像程度なら通せただろうけど、小さいとはいえアバターを、それもヘルプボット用でとなると、他のプレイヤーにバレた際の影響とか、色々あるからさ、まぁ運営上、影響はそんなに無さそうな願いだけど、一存で決めちゃうのも後々ね。」


「じゃ、アバターが無理なら、立体映像で宜しくお願いしますよ。」


「この世界が面白くなりそうな事に関しては頑張ってみるさ。しっかし、プロデューサー遣いが荒過ぎるでしょ、君。」


 その言葉にリンクの片眉が上がる。リンクは今の言葉である事に気付く…目の前のアバターが何者かに。

 他の二人は特に気もつかず、それでも事の成り行きを不思議そうに見守っては居る。


「そのうち、恩返ししますよ。」


「ほんとにぃ~?ま…期待してるよ。じゃ、この辺で帰るよ。やる事増えちゃったしね。」


「はいはい、期待してますよ。宜しくお願いしますね。」


 …過去にそんな事を考えてくれていた事を知ってる。申請はしたけれど通らなかった。るぅやメグミとは文字のみの世界と言えど主人以外のプレイヤーとも繋がった。

 ヘルプボットとして産み出され、何の因果かミズキの担当となった事で、ただの解説や説明だけの役割しかなかったはずのヘルプボットは、他のヘルプボットには無い会話・対話の機会、体験を経て、この世界で一般的に生活しているアバターを持つNPCレベル以上には成長し、その人工知能は小さな自我を目覚めさせる。


 ---


『まったく…何してくれてんのよ…』


(おっまえ…素直じゃ無くね?前にも話してたろ?)


『…そうね。あったわね。』


(あいつらと話したかったんだろ?)


『るぅやメグミとは、メッセージのやりとりはしてるけどね。』


(なっ!?いつの間に!?)


『あんたが勝手にやり取りしろって、許可したじゃない。』


(そんなこともあったか…でも、一緒に話が出来るといいよな。楽しみだ。)


『そうね…楽しみよ♪』


 ---


 少し間フリーズしていたミズキの意識が戻ってくると、蜥蜴三人がなにやら話しているので、声を掛ける。


「わりぃ、テンと話してた。」


「あの…ミズキさん。あの人、自分の事をプロデューサーって言ってませんでしたか?」


「ん?Pさん?んだよ、プロデューサーのPさん。お前らも似た人と話してるんだろ?」


 …他の二人は理解して無いのだが、リンクが固まる。


「いや…運営の人とは話はしましたが…」


「どうした?リンク?」


「いや…あの人、DREAMの責任者とかなんじゃ…?」


「知らん。まぁ、色々融通してくれるから、こっちも色々お願いされたりはするけど。」


 …溜息をつくリンク。他二名は相変わらずキョトンとしている。


「目の前にある事が現実…仮想世界だけどもさ、見た事が事実でいいじゃん?Pさんが誰でもさ。」


「そうですけど…」


「まぁ、これからもよろしく頼むぜ。」


「これからも?」


 リンクは、自分だけはミズキと行動を共にする気が無いので、マイクやリズとは違い、ミズキと関わる事は無くなるだろうと勝手に思っていたのだが、そうは問屋が卸してくれないらしい。


「Pさん言ってたろ?共通の敵を用意するって。」


「あ…」


「北はリンクが纏めるんだろ?俺はコークに害が無きゃやる気ねぇけど、借りはあるしな。」


「その時は、宜しくお願いしますよ…」


「あぁ、フィーナとフレンド登録してるから、何かあったらメッセくれよ。」


「あー、もう、直接フレンドでいいでしょう?」


「おぅ、良いぞ。」


 リンクがそうした流れでミズキにフレンド登録を頼むと、残り二人もそれに倣う。


「あ、じゃあ俺も。」「私も。」


 リンクはともかく、マイクとリズはついて来るなら必要無いんじゃないかと言うミズキに対して、「そういうんじゃねぇんだよ」…とマイクが押し切り、リズもそれに続いたのだった。

さて、どちらになるでしょう。

次は再び置いてけぼりの犬猫のくだりを。

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