66.みずぼらしい港
誤字脱字報告に感謝です!
テンの勧めで水棲人運営の冒険者ギルドに向かう事にするのだが、その最中にメグミからメッセージが入ったらしい。ログインしてるんなら連絡位しろと言う御達しらしいので「今は個人的な用でエディンに居る」とでも送って貰っておいた。
とりあえずの目的地は冒険者ギルドなので、さっさと向かう事にする。
そうして到着したギルドは見た目は別段何が異なるというものでも無いので、扉を開けて中に入っても、雰囲気自体はコークの冒険者ギルドと大差はない。
その中に水棲人が見受けられるもその割合も多いわけではない…と、言うか、カウンターの中のスタッフが水棲人なだけで、プレイヤーと見受けられる冒険者は人間や獣人であって、水棲人の冒険者らしい人は見当たらなかった。
それでもミズキは目的の為にスタッフに話しかける。
「こんにちは。コークのギルドの方から伺ったのですが、責任者の方とお話が出来たりはしませんか?」
「アポイントはお持ちですか?」
「特には無いんですが…無理ですか?」
「そうですね…ここでは何ともお答え出来ませんので、直接赴いて現地で聞いてもらえますか?」
「現地?」
ミズキの疑問にスタッフが簡単に説明してくれる。もうちょっと疑われたりするものかと警戒していたにも関わらず、まさかのノーガードである。
ここから北の港に行けばわかると、ご丁寧にギルドからの案内状まで発行してくれる有様に少し呆れてしまうが、これも自信の表れなのか、現実とは違う侵略状況なのか…ただ、無用な戦闘行為は慎んで下さいと注意は受けた。エディンから馬車が出ていると言う至れり尽くせり状態にさらに呆れた。
ミズキ的には呆れようが、結果としては楽な事この上ない。
ありがたく使えるものは使わせてもらう事にして、港に向かおうとしていると、再びメグミからメッセージが来たと伝えられる。一言でいえば「何やってんの?」…である。面倒なのでスルーした。
『あんた…ほんとにメグミの扱い酷いわね…』
(めんどくせぇじゃん…これの結果で言う事変わるしさ…何だったら、メグミと勝手にやり取りしていいぞ。)
『は…はぁ…じゃ、報告位はしてあげるけど…』
(なんだよ?)
『今更…よね、あんたが変なのは。』
(はいはい…変ですよ…ほら、港行くぞ。)
そう言って進もうとした癖に締まらない…どこに港行きの乗合場があるか解らないのだ…
(えーっと、テンさん?港行きの乗合場に案内してくれる?)
『安心したわ。あんたはあんたよね。』
(ったく、なんとでも言え…あー、締まらねぇ…)
そんなやり取りの後、テンはミズキを乗合場に案内する。
乗合場と言っても、街の北の門を出た傍にバス停のような場所が儲けられ、必要に応じて送ってくれるらしい。今回はギルドのスタッフの手配でミズキを送ってくれる馬車が待ってくれていたのだが、すぐに来なかったらどうするつもりだったのだろうと思ってしまう。馬車と言っても普段乗る乗合馬車と違い、1頭引きで数人用の客車を引く小さな馬車である。
ともあれ貸切りでもありミズキの為に準備してくれたのだ、ありがたく乗り込んで港に向かってもらう。言っても30分位で着くそうなので窓から外の景色を見ていると
既に海が見えてくる。考えてみれば、こちらの世界では初めての海で思わずテンに話しかけた。
(やべぇ!)
『いきなり、何よ!?』
(水着わすれたっ!)
『…あんた、ほんとに緊張感無いわね…』
(いやいや…多分、必要になるんだよ…)
『はぁ…?ここまで来て海水浴するわけ?』
(しねぇよ。でもあいつらの本拠地って多分水の中だろ?)
『あー…そういう事…最初からそうだったわね…』
(なぁ、お前の思考を読む、読まない…はどの程度なんだ?)
『少し時間あればわかるんだけど、あんたいつも突然なのよ。』
(そりゃ、すまんな。まぁ、いっか…この服だと重そうだけどな。)
『店とかあればいいわね。』
相変わらずの下らない話をしている間に、あっという間に港に着いたと知らされる。
港と言っても船等無い。幾つかの簡易な建物が立っているだけである。
(ここが…本拠地…な、訳ねぇよな…)
初見、非常にみずぼらしい港の建物に対しての感想と、実際にはそうではないであろう想定を伴って、案内されるがままにその建物の一つに通された。
テンとの会話のミズキが個人的には好きだったり。
ちょっとずつ話が展開…するといいな。




