54.足りなきゃ、どうする?
「…マヨネーズ…つくれるよ…?」
るぅがポツンとそう言った。そして、その言葉に反応したミズキがはしゃぐ。
「るぅねぇはとっても出来る子だっ!」
「…ふふっ…」
ミズキはそう言って頭を撫でる。ぱっと見は子ども扱いだが、るぅも満更でもない。
そんな一言からお手製マヨネーズを作ろうと言う事になったものの、問題が色々と出てくる事になっっていく…
まず材料は、卵黄、食用油、お酢、塩、水…位なので直ぐに揃いそうなものなのだが、ボールは木製の物があれど、今度は泡立て器…これも電動の物等は期待もしていなかったが、テン曰く電球型の手で使う物すら一般的に普及していないらしい…現状はどうやって作っているのやら。
たかがマヨネーズを作ろうとするだけで、こんなに現代の便利さを思い知らされる事になるとは想像もしなかったプレイヤー3人とギルマスの現実世界合計4名。
「儲けるって…簡単にいきませんねぇ…どうしたもんか…」
「どうする…やめとくか…?」
「んー、鍛冶師とか、鍛冶のギルドとか、木工ギルドとかってありますかねぇ…」
「そりゃ勿論あるが…まさか、お前、泡だて器作る気か!?」
「そんなに難しいものでもないでしょ?」
「ねぇ…君は…一体どこに向かっているのかな…?」
「…おもしろそう…だね…」
無いなら作ればいい…単純な話である。
しかし、より良い武器を作る為に鍛冶に手を出したり、鍛冶屋に依頼するプレイヤーは居たが、自分で作る気がないにしても、泡立て器を作るのに鍛冶屋だの木工屋だのに注文をしようとするプレイヤーは一体なんなんだとリチャードは思う。挙句にミズキが放った言葉は…
「商業ギルドから注文出せます?交渉や説明には行くんで。」
…だと?なんでもかんでもギルドを小間使いの様に使いやがるが、その先がどうなるかと言う好奇心を少なからず持ち合わせている事と、泡だて器一つの金額などタカが知れていると言う事もあいまって、話の流れで承諾してしまう。あとプロデューサーが絡んで来そうで正直ミズキを無下に出来ないのも理由の一つだ。
「エマ。鍛冶ギルドと木工ギルドに紹介状作ってやれ。」
「話が分かりますねぇ。」
「ばーっか、これ全部ツケだからな?これで儲けが出なかったら、当分コキ使ってやるから覚悟しとけよ?主に俺への手間賃だけどなっ!」
「その時は3人で頑張りますよ。」
「えっ!?えぇぇぇぇ?!なんで、僕らもそこに入るのさ?」
「…がんばる…」
「貰うもの貰うだけで、責任負わないのは…どうなんですかね?」
「うぐっ…」
「…そうだよ…めぐ…?」
「もーーーー…ちゃんと売れるもの作ってよね!」
「それは、やってみないと解んないです。」
「そこは「俺に任せとけっ!」…くらいは言ってよぉ…はぁ…」
全く自信を見せないミズキに、メグミはとにかく不安しか覚えない。
自分は何もしていないのが悪いのか、何故か責任だけが重くのしかかってくる気分である。
「あ、リチャードさん。あと、マヨの工場見学とかって出来ませんかね?」
「お前は…次から次へと…エマーッ!マヨネーズ工房の見学依頼も追加なー?」
「えーっと、鍛冶ギルドと木工ギルドとマヨネーズ工房ですね?」
「そうだ。」
一度に言えば良いものの、都度都度を思いつきで話をするミズキの話の流れに周りは振り回されっぱなしで、とりあえずは次に何をするかが決まった3人はエマが作ってくれた紹介状を持って動き回る事にする。
「リチャードさん、色々助かりました。じゃ、行って来ますよ。」
「頼むぞ…マジで…ちゃんと稼がせろよ…?」
「なる様にしかなりませんって。あっ!あと…」
「なんだよ…まだなんかあんのかよ…」
「作業場の準備お願いします。マヨネーズを試作する為の。」
「お前、貸しまみれだからな?気合入れろよ?…ったく…エマ―、調理施設の空きも頼むぞー」
ミズキ発信の全ての事柄の皺寄せがエマに収束する中、テンのナビでまずはマヨネーズ工房へ向かう事にした。
ダラダラと山場の無い話が続きます。
そして、料理から遠ざかる…




