46.タネ明かし開始
今迄に自分が言っていた事を自分が実行していなかった情けなさも相まって、多少は素直になったのか揉める前に提案しかけた実験の話を持ち出し、一緒に行動しようと持ち掛ける。
「じゃあ、申し訳ないですけど、秘密の場所を使わせて貰って、タネ明かしでもしましょうか。」
「ワクワクするねっ♪」
「んー…るぅねぇが味わった恐怖を体験するんじゃないですかね?」
「…こわかった…よ…?」
「あれ…?僕が実験台なんだっけ…?」
「俺に時間をくれるんですよね?るぅねぇの時は無傷でしたよ?」
「何をされるんだい…僕は…?」
ワザとなのか、これが自然な振る舞いなのかを判断出来ないメグミは、ただただ不安を煽る様な言い方をしてくるミズキが怖い…肉体的には大丈夫でも、精神的にやられるのだろうか…などと、変な想像が頭の中をグルグル巡り続ける。
それでもつい先程に恰好を付けてしまった手前、断るのも恰好悪いと勢いよく恰好付けてしまう。
「まぁ、信じてるよ~?ねぇ…?」
「む…成長しましたね?」
「…ふふっ…」
先程迄の緊張感のある雰囲気から解放され、息苦しさもなくなり、当初の予定通りに冒険者ギルドに向かい、ゲストとしてのPVPフィールドを申し込む。
因みにカラオケボックスと同じ感覚で、一つのフィールドが幾ら…ではなく、一人当たり幾ら…と言う料金設定で、一人当たり小銀貨1枚(1000P/1時間)と言う事だったが、ここもミズキが支払う間も与えずにメグミが支払ってしまった。
「あまり女性に奢られるのは好きじゃないんですけど?」
「お金無いんでしょ?まぁ、ここは先輩の顔を立てときなよ。その内、奢って貰うさ。」
払おうとしていたミズキはそこで気がつく…振込まれた後の所持ポイントに…自分の想定以上のポイントを所持している。テンが確認しろと言ってたあれか…リチャードが色を付ける様な事を言ってた覚えがあるが予想以上だったので少し驚いてしまうが、丁度いいやとメグミに言葉を返す。
「そうですね、それじゃ今から虐めるお詫びに、今度ご馳走しますよ。ついさっき臨時収入も入ったので。」
「だーかーら…何をするつもりなんだよ…?」
「タネ明かしでっすってば。」
「…(クスクス)…」
るぅは脇でクスクスと笑い、二人のやりとりを眺めている。
目の前のミズキな妙な言い回しを含めて、ミズキとメグミの…そして自分の間の雰囲気が先程迄と変わって柔らかいものになっている事への嬉しさからくるものだ。
「…やっと、おごってもらえるね…ふふっ…」
「ほんとですよねぇ…」
「なーんか、僕だけ、貧乏くじ引いてない?」
「何言ってるんですか、るぅねぇにも同じ事したんですから。」
「なら、良いけどさぁ…」
「信じてませんね?今は差別も区別もしてませんよ?」
「今は…なのね…」
そんな話をしながらフィールドに入って準備…と言うほどの作業でも無いが、地面に爪先で50cm四方位の正方形を書いてから、メグミに話しかける。
「メグさん、この四角の中に立って貰えます?一回入ったら動かないで下さいね。」
「らじゃー♪」
何がそんなに楽しいのかわからないが、両足を揃えてジャンプをして、両手をYの字の形にしながらピタッと着地する。その後、以前のるぅにやったように両手をTの字になる様に水平に突き出して制止するように指示をした。
「それで、この後どうするの?」
「後は少しの間は何もしませんから、もう動いてもらっていいですよ。多分動けませんけど。」
飄々とそう言い放つミズキの言葉に動こうとするも、言われた通りに動く事が出来ない。そんな中でミズキはるぅを連れてメグミの周りをぐるっと一周回ると、るぅが疑問を投げかけてくる。
その間もメグミは暴れるも、両手両足を空間に拘束された様に動く事は叶わない。四つん這いの時は首も動けば体を振る事位は出来た…が、今も首は動けど、両手両足は磔にでもされた様に動かない。
「なにこれ…またぁ?」
「…あの黒いのは…収納?…メグは…あしも固まっちゃったの…?」
「あぁ…今は3箇所使えるんですよ。るぅねぇの時は両手の2か所でしたもんね。」
そう言って、自分の「次元収納」が同時に3か所出せる事…逆に今は3か所しか出せ無い事と、るぅの時は卵を収納していたので2か所しか出せなかった事を説明する。
ここで、るぅの言う「黒いの」…と言うのは「次元収納」の収納兼取出口である。
自分が拘束されている時には目視する事が出来なかったのだが、メグミの視線の反対側に移動する事で目視出来る様になったのだ。
「あーーーー、もぉぉ―――、何二人で納得してるのさーーー。はーなーせーよーー。」
「あ、メグさんは当分そのままで。るぅねぇに説明しますから。」
「もーー、この扱い何さぁ?ねぇ?ねぇ?」
そんなメグミの文句はスルーされる。メグミの視界には二人の姿がそのまま見えているので意味が解らないのだが、るぅの視界には黒い板からメグの手首が生えている様に見えていて、その手の先は黒い板に阻まれてみる事が出来なかったのだ。マジックミラーの片方からは見えるのに、反対側からは見えない様に…無論、自分の姿が反射されるわけでもないのだが。
そんな不思議現象を見せた後に、ミズキは自分の考察を話し始めた。
さて…言葉でうまく説明が出来るのでしょうか…?
次回に続きます。




