40.素敵な不都合や不自由
評価やブックマークが増えました、誤字脱字のご指摘も頂きました。
関心頂き、ありがとうございます。
ムーノに到着して最初にした事は、次の馬車で4グロスもの量の卵を運搬する事が出来るかどうか…だったのだが、この二人は逆に問われた4グロス分の卵の体積もしくは、3辺のサイズを問われるも答える事が出来なかった…
るぅ自身はパレットのサイズを体感でのイメージは有るものの正確に答える事も出来ず、まずは養鶏場に赴いてサイズを確認する事になる。そんな流れから、二人はとりあえず養鶏場へ向かう。
「すいませーん。」
「はいはーい、いらっしゃませー…ってあら、あんた少し前にも来たよね?」
るぅがミズキと一緒に来た時の事を言っているのだろう。
今度は自分とメグミが商業ギルドのおつかいで来た事を伝え、すぐさま前回の2倍の4グロス分(5760個)の卵を購入したい旨を伝える。スタッフもいきなり数量指定でのオーダーであった為に、以前の様な数量による割引の説明もすること無くサクサクと話は先に進む。
「また、沢山買うんだねぇ、そんなに沢山何に使うんだい?」
「僕達はギルドに頼まれただけだから、よく知らないんだよ。」
「まぁ、うちは売れれば万々歳だから何でもいいけどね。準備にちょっと時間貰えるかい?」
その申し出を了承した上で、先程、馬車の乗合場で聞かれた4グロスの体積やサイズに関して聞こうとした処、養鶏場の方から手配をしてくれると申し出てくれた。
勿論、料金は取られるが、仮に席が埋まってしまっている場合でも臨時便の手配をしてくれると言う。卵の配送料は人間換算で5~6人分あれば足りるだろうと言う事だった。
ここでメグミはふと思いつき、自分達二人と卵だけの貸し切り出来るのかどうか…また、貸し切った際の価格を尋ねてみる。
二人が客席に拘らずに簡易的な椅子の荷馬車で問題が無いのなら10人分位出せば借りる事が出来るだろうと教えてくれた。但し、時期だったりタイミングの良し悪しで値段が上下する事も伝えられた。
メグミが商業ギルド迄配送をして貰う条件で依頼をすると、乗合場では無く養鶏場から直接向かう事になるので、2時間位後にここに来て欲しいと言われる。積み込みは養鶏場のスタッフで準備してくれるとの事だが、貸し切り馬車の料金が未確定なので先に卵の清算だけを御願いされる。
卵の清算に関しては、本来、初回は商業ギルドの建替えで精算するのだが、二人共商業ギルド証を貰い忘れている事にここで気が付いた。
とは言え、二人共そこそこの冒険者なので、初心者であれば困るであろう支払額にも何の支障が有る訳でも無く、要求された額を少し上回る、大銀貨3枚を渡して卵の精算を済ませた。チップ代わりのお釣りは要らないよ…ってやつである。
「あら、ありがとね。それじゃ、また後で来て頂戴。」
「うん、色々ありがとっ、手配よろしくねっ!」
「任せときなっ!」
そんな元気な声を後に2時間程の時間を潰すのにパブで時間を潰す事にした。
オーダーは二人の間では定番のウェッジポテトとシードルの組み合わせだ。
「特に問題も無く、順調だねぇ…順調すぎるねぇ…」
「…うん…あとは帰るだけ…」
「しかし、あの子は今日はログインしないのかな?来てないね。」
フレンドリストを確認しても、ミズキがログインをした様子は無い。
「今日はこれだけやっちゃえば目標は達成だし、問題ないけどね。」
「…なんか…あっけないね…」
「まぁ、ホントはルーキーが一生懸命に繰り返すクエストだからね。」
「…そっか…」
そう言って、二人がルーキーだった頃の思い出話に花が咲く。
最近は特に思い出す事も少なくなったルーキーの頃の記憶は、やることなす事が新しい事ばかりで新鮮な日々を送っていた気がする事。冒険者ギルドでの昇格だって、こんなに財力に任せて力任せに昇格を狙う様な事も無く、地道に冒険者ギルドの依頼をこなして行った思い出やら話は尽きない。
るぅだけではなく、メグミ自身も、ログインしてからやる行動が同じ事、似たような事を繰り返される作業じみた様に感じる事が幾らでもあったが、それもそういう事だと割り切って過ごしている部分もたくさんあった。
どんな事でも、ただ惰性で繰り返せば、その都度に新鮮さは色褪せて行く。
その色褪せてしまった世界の色を再び鮮やかに蘇らせてくれた体験を経て、これからまた新鮮な気持ちで遊ぼう…そう、遊ぶんだよと。
そんな話をしているだけで、あっという間に約束の時間がやって来たので養鶏場に向かう。
その養鶏場の前には、乗合馬車とは違う側面や上部には幌が張られ、後部しか開いていない馬車が既にスタンバイ状態で待機していた。
「お待たせ。馬車は大銀貨2枚と小銀貨4枚。話より少し高くなったけど大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。問題ないよ。色々とありがとう!」
丁度、行先に戻る馬車がタイミング良くあれば値段が下がる事もあるが、今回はそういう荷馬車が見当たらず、どうしても帰りの人件費分高くなってしまったそうだ。
そうして二人は荷馬車の後部に乗り込んで、硬い椅子に腰かけると直ぐに馬車は出発する。
自分で荷馬車を借りる経験すらも、堅い椅子の馬車で移動する事も、景色を馬車の側面から観る事が出来ない事も、後部からの景色を見る事も…初めてだと二人ははしゃぎながら話す。
本来であれば不都合、不自由であるこれらの体験は今迄の経験には無かった。けれど、何か新鮮なのだと軽く感動している最中だったりする。今迄だって、やろうと思えば出来た事を自分達はしてこなかっただけなのにと。
そんな話に熱中している間に、商業ギルドの倉庫前に荷馬車は到着し、気が付けば御者にその事で声を掛けられてその事に気が付いた。
もう少し、犬猫パートが続きます
卵代金は一人当たり28800P分の処、30000P分渡してます。
始めは細かく書いたのだけど、何となく鬱陶しく思えて削ってしまいました。




