24.おごり?と納品
コークに着いて、とりあえず、るぅをご飯に誘う。
るぅにご馳走したくもあり、自分もお腹が減っている。ムーノで飲食した感じではもう一度位は二人が食事する余裕はある。
入ったお店で少し驚かれながらも、メニューを聞き、それぞれオーダーをする。
ミズキが、内臓の煮込パイとエール
るぅが、シチューのパイとシードル
パイを頼むと揚げたカットポテトかマッシュポテトが付くらしく、ミズキはマッシュ、るぅはカットをそれぞれ頼む。
…が、ここで問題は起きる…値段を聞いたミズキが焦る…お金が少し足りないのだ…夕方という事もあり、以前の朝食やムーノでの飲食の値段から予測した値段より高かったのだ。情けない声でるぅに頼む。
「ごめん…るぅねぇ…お金貸して…」
「…ぷっ…っ…いいよ…っ…おごりはこんどで…」
そんな理由で再び割り勘で自分で支払って席に着く。情けない事この上ないのだが、笑った顔を見られた事が少しうれしくもあった。そして少し待つとオーダーの品が届く。
るぅは美味しそうに食べている。パイ自体は一度作った物をオーブンで温め直したのか、提供までの時間はそう長いものではなかった。
ミズキも同じく口を付けるが非常に味が濃い。本来はマッシュポテトを添えて食べる事で調整するものなのだが、そうした考えに至らず、収納から取り出そうと一瞬思いつつも、持ち込みは危ないな…とスタッフに問う。
「すいませーん、生卵追加で貰えますか?」
るぅに奢ろうとしてお金が足らずに奢れなかった…そんな状況でよく追加のオーダーが出来るものだが、思いもしない返答が来た。
「生卵…?だいじょうぶですか?お腹壊しますよ?」
「え?生は駄目なの?」
「普通は卵を生では食べないかと…」
「あー…そっかそっか…じゃあ…キャンセルでお願いします。」
それを横で見ていて察したのか、るぅがマッシュポテトを添えて食べる事を教えてくれる。
「…あじ濃いよね…それ…」
「むぐ…でも、いい事聞けたよ。」
「…?…」
「あ。でもうまい、これ。」
「…おいしいよね…」
食事を奢る事も出来なかったものの、一緒に食事をとり終わる頃には、この後の予定や約束等に関して話し出す。
「食べ終わったら、宿泊所に送っていきますよ。」
「…ミズキちゃんは…?」
「俺はギルドに納品して来ますよ。それでお金貰ったら、今度こそ機会を見て奢りますよ。」
「…いっしょに行っていい…?」
「はぁ…いいですけど、つまんないですよ…って、デジャブ…?」
「…だいじょうぶ…きっと、おもしろいから。」
「じゃあ、さっさと卵を納品しに行きましょ。あー…先に行けば奢れたのかなぁ…」
次の目的地は商業ギルドである。
ギルドに向かう間も、なんとなくチラチラと観られている気がするが声を掛けられるでもないのでそのまま歩き続ける。
とりあえず一番最初にやってしまいたかったのは、今持たされているであろう、卵購入の立替金を返す事だと思っていた。借金だし。
自分が考えている事が正しいかの確認を、商業ギルドを通して実証したいついでに、ちょっと小銭を稼ごうかと考えていた。
カウンターにはエマが居たのでとりあえず声を掛ける。
「こんにちわー、卵を仕入れて来ましたー。」
「ひっ…なんですか…その血まみれの格好は…」
「えっ!?…あぁ…二回程死んだので…でも、この血は多分ウサギの血だとは思いますけど。」
「…その場で蘇生されたんですか…?」
「よくわかりましたねぇ…って、ジロジロ見られてたのはこれでか…」
「まぁ…とりあえずは卵の納品手続きをしましょうか…えーっと、2グロス購入されてますよね?」
「えぇ。ここで出せばいいです?」
「倉庫で出して貰うので、裏にまわって貰えますか?」
そう促されて裏の倉庫に向かい、そこで卵を出そうと「次元収納」を出現させるとエマが珍しそうにしていたが、気にもせずに2グロスの卵を取り出してその場に置く。
「拡張収納持ちなんですね。ますます、商人向いてますよ。ミズキさん。」
「かもしれませんね。あと、ちょっとお願いがあるんですけど…」
そう言って、エマに耳打ちをする。
「はぁ…わかりました。こちらは割れが無いかなどの検品した上で代金を口座へ振り込む形にしておきます。」
「今の件、次に来た時にでも教えて下さい。それじゃ、これでお暇しますよ。宜しくお願いしますね。」
るぅが居るので要件は手短かにして。気になった事だけ伝えて商業ギルドを後にする。
「何にもなかったでしょ?」
「…ないしょばなし…してたね…?」
「お願い事をしたんですよ。」
「…なか良さそう…」
「そうですねぇ。一緒にご飯食べる位には。」
どういう状況だとNPCとご飯を食べる事になるんだろう?…仲もよさそうだったし…と、本当にわからない人だなと思いつつも、こういう人だ…と、納得できる自分も居る。
「それじゃ、俺は宿泊所に行きますけど、他の所に行くなら送りましょうか?」
「…わたしが、ミズキちゃんを送るよ…?」
「まぁ…そうだね、お願いしていい?」
「…いこ…」
「今日は一日、色々ありがと。また、機会が有ったら遊んでね。」
「…ん…♪」
そうして簡易宿泊所まで一緒に歩き、例の巨大飴玉の前からそれぞれの部屋に飛ぶ形で解散した。
自分の部屋に着いたミズキは、慣れない仮想世界で動き回って疲れ切ったのか、枕の無いベッドに横たわると、ログアウトもしないままぼーっとしたのち眠りに落ちた…
やっと2回目のログインが終わった形です。




