23.なかなおり
初めて評価を頂いてました。
好きの反対は無関心というけど、好きでないにしろ関心をもらえると言うのが嬉しいなぁ…と。
昨日、長めだな…と思ったら、今日短くなりました…むぅ…
少しの間の沈黙が解け様としている、徐々にミズキの体に力が入り始めて両の掌を開け閉めして確認をする。
「るぅねぇ、そろそろ自分で立ち上がれそう。」
「…」
るぅは無言のまま座り続け、その横でミズキは立ち上がり、るぅに手を差し伸べる。
ミズキの手を握りゆっくりと立ち上がったるぅを臆面もなく黙ったまま、るぅの体を黙って抱きしめる。抱きしめ続ける。
「…もぅ…ぃぃ…」
互いの体の間に手をつっ張り、自分の意志でミズキから離れる。
「もう、るぅねぇをあまり怒らせない様にしますよ。」
「…」
「るぅねぇ…?」
「…行こ…もう、だいじょうぶ…」
そう言うと歩き始めた…ミズキはそれに黙って着いて行くと、やがて街道に出る。さっきは横に並んで歩いていたが、今はるぅが先行し、ミズキがそれを後からついて行く。
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話掛けられる雰囲気でも、気分でもなく後をついて行く。やる事も特に無く、テンに話しかけることにする。
(あれ、やっぱり怒ってるよな?)
『見たまんまよね。』
(どうしたもんかなぁ…どうすればいいと思う?)
『自分で考えなさいよ。』
(わかるなら、聞きゃしねぇって…)
『なら、聞けばいいじゃない。』
(この状況でか…?)
『じゃ、このままサヨナラすれば?』
(俺は仕方ねぇけど…るぅねぇはトラウマじゃね?俺のせいで?)
『なら、動きなさいよ。』
(まぁ…そうだな…ありがとなっ。)
『なに人工知能に諭されてんの…あんたは…』
(人間が間違ってる事もありゃ、人工知能が合ってる事もあるだろ。)
『あんたは、良くも悪くも…変よね。』
(またそれかよ…)
『褒めてんのよ。』
(俺の頭の中じゃ「変」は誉め言葉じゃねぇけど。)
『言ってる側が誉めてるって言ってるのよ。』
(相手が何言ってるかとか…そういうの苦手なんだよ。)
『そんなんだから、怒らせてんのよ。』
(ぐぅ…)
『あんなに世話になってんだから、少しくらい気を使っても罰当たんないわよ。』
(んだなぁ。ちょっと話してくるわ。)
テンと話す事で自分の思考に整理をつける。
今回の事も、逆の立場で自分がされたら嫌になっている事も自覚しているにもかかわらず、自分の好奇心優先でやらかした訳だ。
人を怒らせる事で、ここまでこじらせた事で、自分の行動を鑑みる良い機会になっていた。
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縦に並んで歩き続ける二人の間に重い空気が流れてもいる。決意を決める…という程ではないが、話しかけるタイミングが掴み辛い…掴み辛くもあったが、気持ちがある内に勢いで話しかける。
「るぅねぇ、話できそう?」
「…なに…?」
「んー…俺はあんまり人の気持ちとか読めなくて、気になる事があると暴走したりするんですよ。」
「……わかる…」
「なんで、今度からは話しますね。色々とわかる様に。あと…」
「…あと…?」
「るぅねぇも思った事話してくれる?話さないとわかんないかなって。」
「……わたしも…?」
「これからも相手してくれるならですけど。」
「…かんがえとく…」
るぅは不機嫌継続中な雰囲気を出し続けている感じだ。
現実でも「あぁして欲しかった」…とか、「こうして欲しかったのに」等と言われていないのに、後から言われても理解出来ずに相手と揉めてしまった経験は幾度となくあった。
結局のところ、相手の考えなんてどれだけ考えても解らない。解らないなら、相手に教えて貰えれば良いんじゃないかと考えた、単純に。
「なんで、言われた事は気をつける。けど、言われてないでやらかしたことの1回目は許してくれれば、いいなーと。」
「…わかった…」
「変でもなんでもいいから、また、一緒にお茶しましょ。」
「…いいよ…ミズキちゃんのおごりね…」
「りょーかいですっ。」
そう話していると突然、るぅがミズキに抱きついた。そんな奇妙な状況に軽く混乱しつつ、何とか言葉を捻り出す。
「な…何、してるんです?」
「…なかなおり…?」
「抱きつくと、仲直りなんです?」
「…うちのやくそく…なかなおりにぎゅーって…?」
「まぁ、あんまり異性に抱き着かない方がいいかと。」
「………ひとこと多い…」
「思った事は、言っちゃうんですよねぇ、俺。」
「…ミズキちゃんらしいよね…」
「変じゃないなら、それでいいです。」
自分では言われた自分らしい…という事を自覚は出来ない訳だが、最近よく言われる「変」と言われなかった事に際して、ささやかに喜んでいたりする。
そうした仲直りの会話の後、今度は二人横に並んで他愛もない話をしながらのんびりとコークまで歩き続けた。
スキルの詳細は…ショックで吹っ飛んだという事で、ご想像くださいませ。




