1. ソラトワプロジェクト
11/18 一部の誤字を直しました
これは、とある世界の話。
昔から続く『光』と『闇』の争いによって
宙《ソラ》が永久に白になった世界の話。
宙の色が失われたことにより、この世界には
時間の区別も、季節の区別も何も無くなった。
好きな時に、好きなことをして生きていき
気が向いたときに、敵に刃を向ける。
そんな、曖昧な世界だ。
人々は次第に、宙の色も忘れて
戦う意味までも知らぬまま剣を振るっていた。
この永遠からは、抜け出すことは出来ない。
人々は、曖昧の中生きて死に行く。
そう、永遠に・・・
☆
「それでは、ソラトワ会議を始めるわよ」
白い宙の下、ポツリとある小さな家。
その中で、俺らは輪になり互いの顔を見渡していた。
「・・・ちょっといいか?」
長い鉢巻きを巻いた男が手をあげ会議を止める。
皆の視線が、彼に集まる。
彼の名は、サロス・フルトゥーナ。
サロスは、あげた手をおろし話を続けた。
「ソラトワって何だ?」
その発言を聞き、俺らは「ソラトワ」の発言者・・・
ミラ・イリョスに目をやった。
実をいうと、俺自身も何の会議なのか理解してなかった。
「あらあら、今から説明するとこだったのに・・・」
ミラは、小さくため息をついて答えた。
遮って悪かった、とサロスは笑いながら軽く手をあげた。
まぁ、皆が抱えてた疑問であったから仕方ない。
「それじゃ、説明するわね。ソラトワ会議ってのは、
私たちソラトワプロジェクト六人が・・・」
「や、待って!?」
今度は俺が反射的に声をあげてしまった。
今ここにいるのは六人。
だが、ソラトワプロジェクトだかに入った覚えなどない。
なのに、さらりと当たり前のように話すミラに
黙っているわけにはいられなかった。
「・・・今度は何?セリスィ!?」
上手く話を続けられずイラ立つミラ。
しかし、今回は謝っている場合ではない。
「俺ら、いつからそんなプロジェクト入った!?」
力強く、俺・・・セリスィ・セルモクラスィアは言った。
・・・自分のことフルで呼ぶのもアレだけど。
俺に続き、そうだそうだ、とサロスも騒ぐ。
声に出してはいないが、二人の少女・・・
メロン・ランプスィと、イレモ・ケラスィアも頷く。
メロンはあからさまに、「んなの入ってねーよ」と睨み付け、
イレモは律儀に申し訳なさそうな顔をしていた。
「え・・・皆知らないの!?カルが言ったはずじゃ・・・」
そういいながら、ミラは紫色の長髪の少女に目をやる。
紫髪の少女・・・カルディア・スタヴロス。
少女、といっても俺らよりも大人に近いのだが。
「言ったわよ。私たちに協力してって・・・」
「アッバウト!?」
ポツリと呟くカルディアに対し、勢いよくサロスはツッコミを入れた。
隣でイレモが、確かに言ってたわね・・・、とウンウン言ってるが
俺らは、その「協力」の中身までは聞いていないのだ。
しかも、このカルディアは天才ともいわれた魔法少女。
天才は何を考えてるかわかりゃしない。
きっと大事で面倒なことでも企んでいるのだろう。
それに、ミラは戦士内でも最強の太陽の戦士だ。
天才と最強の組み合わせが、この俺らにだぜ?
ちょっとしたことを頼むわけがない。
ついこの間まで、平凡だったはずの俺らにだぜ?
嫌な予感しか頭に浮かばない。
「と、取りあえず、入ってるってことで!」
「ええ、言ってたからね。続けて?」
悪い連想をしてる間に、ミラとカルディアは話を進めていた。
「つまり、私たちソラトワプロジェクトはソラトワ会議を行い
・・・宙を取り戻すために戦うのよ!」
「・・・狂ってやがる」
これはもう、駄目だろう。
全く訳が分からなかった。
宙を取り戻す?もう白い宙が広がっているではないか。
戦う?この俺らもか?
この・・・
最近出会ったばかりで不老不死にされて挙句勇者にもなった
この俺らが?
逆に、だからこそ俺らを選んだっていうことかもしれない。
だが、そうだとしたらおかしいはずだ。
俺らが出会ったのも不老不死にされたのも勇者になったのも
全部、悪い偶然だ。
俺らは、平凡で無力な人間だ。
こんなのがずっと生きていてもメリットなどないし
勇者になっても、力なんてないんだ。
なのに、なぜ俺らにそんな複雑そうな課題を?
「つまり、世界平和みたいなもんなの?」
ずっと口を閉ざしていたメロンが、やっと言葉にした。
その目からは、彼女の心理は何も見えない。
「まーそうかもね。結果、平和につながるかもよ?」
「ふん、だったら不可能な話ね」
軽いミラの答えに、メロンは冷たく返した。
「世界平和なんて、よく言えるな。
たとえ天才でも戦士でも、平和なんてつくれない。
宙の前に・・・変えるべきことは多々あるくせに」
そう言い放つと同時に、メロンはドアを握っていた。
待って、というミラの声を無視して
ただ1人、外の白へと呑まれてしまった。
「・・・ったく、メロン・・・」
サロスとイレモはすかさず立ち上がり
消えたメロンを追いかけようとする。
だが、気にしないで、とカルディアが二人を止める。
その隙に、俺は体がふわりと動き
カルディアとミラの間を潜り抜けて走った。
ドアを強く握り、白の中へと飛び込んだ。
「セリスィ!」
サロスとイレモの声が響いたが、
ドアが閉じられてすぐに声は途切れてしまった。
「・・・ったく、厄介なことになっちまったな」
メロンを追いながら独り言を呟く。
すでに、俺の人生は狂っていた。
本来ならば、今はとっくに永遠に黒の世界に堕ちたはずだった。
だが現実は、おかしいことに永遠に白の世界を生きることになってる。
理想と真逆の道を辿ってる今、まさに狂いっぱなしの人生だ。
「・・・まぁ、別に・・・ね?」
予想外、のはずなのに俺の心は何故か
何かをやり遂げたいといううずうず感が胸をくすぐっていた。
それが、何者なのかわからなかった。
白い宙の下。
永遠の命は、すれ違いながら今も生きていく。




