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瀧川兄妹異世界転移する!  作者: 大石次郎


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53話 次なるクエスト

→→→→→兄ターン



シルフ像付きの飛行絨毯で帰ってくることになるとは思わなかったけど、俺達はどうにかこうにかギムリーに到着。


リラキアと手続きが違うこともあって、発着場から町内の空を飛ぶ許可を取ったりするのにあたふたしたりもしたが、帰還!


さっさと吉田ハウスに戻りたかったが、まずはギムリーのギルド支部に報告に向かった。


「というか坊っちゃん。結局ギムリーまで付いてきたけど、いいのかな? 秘匿領? てのに戻らないにしても、もっとあるんじゃないッスか?」


「···吉田ハウスとやらの地下室に空きがあるんであろう? 吾輩、そこで寝る。1月程は休眠である」


ずっと棺入ってるけど、結構ガッツリ寝る気だ!


どうしたもんかと思いつつ、ギルドで報告を済ませ、坊っちゃんの護衛用に『クリスタルガーゴイル像』というのを借りることになった。水晶でできた悪魔像で、外敵を攻撃してくれる。通常のガーゴイルより強いらしい。高価だが、そこはビリアファミリーから資金が出ることになったようだ。

さらに滞在費として俺達と吉田さんの家賃を当面肩代わりしてくれることになった。


「ヒロ兄、吉田さん的にはOKなのかな?」


「え? ギルドでは話通した。みたいなこと言ってたけど」


まぁレプラコーン達もタダで地下に済ませてるし、大丈夫じゃないか?


と思ったんだが、


「ウチは下宿ではないぞい? レプラコーンどもの次はヴァンパイアロードの息子? 大雑多に程がある」


ヘソ曲げる吉田さん。そりゃそうか···


「いやレプラコーン呼んだの吉田さんだから」


「いいじゃん、棺とピカピカの像置くだけで家賃しばらくタダだよ?」


「まぁ正規の吸血鬼狩りの連中にはギルドから話を通したみたいだしよ」


「ケチな爺さんである」


「なにっ?」


「それより吉田じじ久し振りーっ! ただいまやでっ?!」


抱き着くノッコ。


「あーっ、もう! やめんか暑苦しいっっ。勝手にせいっ!」


吉田さんは怒って、アトリエに引っ込んでしまった。


「ト言イツツ、ますたーハ蕎麦ト『てんぷら』ヲ食ベサセルト朝カラ準備シテイマシタヨ」


土器ゴーレムが用意された食材を持ってきて、ほっこりする俺達だった。



それからどうにか宥めた吉田さんと、地下から出てきたレプラコーン王と天麩羅蕎麦を食べた。坊っちゃんにはいつものブラッディなアイスとトマトジュースでディナーを取ってもらう。


食後、王の命でレプラコーン達が掃除済みの地下室の空き部屋に坊っちゃんの棺とクリスタルガーゴイルを設置し、ガーゴイルに坊っちゃんと吉田さんで設定をして、坊っちゃんは棺に入っていった。


「ヒロシ、カズネ、ボルッカ、ノッコ、ナンクゥー、あと爺さんと土器とレプラコーン達も、またな。吾輩を招いて寝かせるとは、奇特なヤツらよ。ククククッ」


言うだけ言って、坊っちゃんは棺の蓋を閉め、眠りに就いた。



翌日。俺はオッシモ教官の所で稽古。

カズネはゾフとタレップのいつもの2人とお出掛け、ボルッカは手の治療。ナンクゥーはたまたま様子を見に来たシトリーさんを巻き込んで庭で精霊3体を労う歌と踊りの儀式。ノッコはレプラコーン達と菜園や果樹園の手入れをすることになった。


うん。ボルッカの手はちょっと心配だが、いい休日になりそうだ。よ〜し、今日こそ教官から一本取るぞっ?



→→→→→妹ターン



「あたし教練所通うのやめて、正式に隔週誌で働くことになったー!」


「「おーっ」」


グラタン的な料理の美味しい店でタレップちゃんの発表に私とゾフちゃんは素直に祝福した。


「よかったねっ、タレップちゃん!」


「正直、コイツ、一生教練所通うつもりだなって思ってたからよかったよね」


「あんたに言われたくないよーっ、ゾフ〜っ!!」


「いや私は週3で通ってるし、衛兵団の内定も取ってるからっっ」


とにかく私達は美味しく御飯を食べて、一杯話して、町ブラからのちょこちょこ買い物、という完璧な休日プランをこなしていった。


最高だわ〜っ。この件だけあと20日くらい繰り返したいわ〜〜っっ。



→→→→→???ターン



蹄の足で全力走るっ! くっそ〜〜!! サボってふざけてなんぼの俺達サテュロス族を真面目に走らせるなんて!


「屈辱だぜっ! うっはーーっ??!!!」


振り返ったから思ったより全然ダメな距離だった!『輝きの森』の木々や草花や茸を薙ぎ倒し、踏み潰しながら、森の動物や半端なモンスターを追い立て、毒気で殺しながら! ヤツは追ってくる。


「プフポハッシュシュムッッ!!!」


よくわかんない鳴き声っ。近付くと、超絶臭いっっ、オエ〜〜〜っっっ。


「うわぁ〜っっ?!!」


「ぎゃっ?!!」


仲間が何人かっ、にゅるっと伸ばしてきたヤツの腕に捕まり、


ちゅるん。


と丸呑みにされていった。


「プフポハッシュシュムッッ!!!」


喜んでるっ。美味かったらしい···


あーコイツめっ。『ヴォーパルの剣』さえあれば!


「お前っ」


「プフ?」


間抜けなナマズの髭のミミズ顔。忌々しい巨体。


「ジャバウォック!!! 覚えてろっ。俺はレプラコーンの王にツテがあんだ! アイツはヴォーパルの剣持ってんだかんな!!」


「ぶぉ? ぶぉぶぉぶぉっっ、ぶぉーーぱぁるぅぅーーーっっ!!!!」


激怒! からの『毒の炎の息』!! 俺は大岩の陰に飛び付いて避けたが、他の仲間は全員焼かれて、毒に侵され、死んでった。


輝きの森が燃えて毒されてゆく。


「プフ?? シュシュ···」


自分が起こした火事で俺を見失ってらっ。


俺は低い姿勢で岩陰から飛び出し、忌わしいヤツ、ジャバウォックを避けて走った。やがて見えてきた! 石の柱に囲まれた光の渦っ。ピクシーが1体側にいた。


「君だけ? もうっ、早くっ! 調整してあるからっ、でもすぐ閉じないと!!」


「今行く!」


俺は自慢の脚力で跳んで、光の渦に足から入った。同時に、


「プフポハッシュシュムッッ!!!」


ジャバウォックが来たっ。


「エルエルエル!! 食い止めるからっ、行って!」


火の魔法でジャバウォックを押し留めるピクシーの友達!


「ミリー?! 一緒にっ」


「行って! トルチャ、妖精界を守ってっ」


「ううっ、ちくしょうっ!!」


ヤツの毒の炎が迫る中、俺は光の渦に全身で飛び込んだ。


流れ、逆巻き、光の中。


なんでこんなことに···ずっと、気楽にしてたかっただけなのに······ああ、ミリー、皆···


「?!」


俺はいきなりどこかからか飛び出した。


出た所はひんやりした物置のような所で、遠くに明かりが灯っていたが静かだ。


「ハッ?」


俺は我に返った。転送の門を閉じないと! 振り返ると、そこには開け放たれた古びたキャビネットがあり、とっくに門は閉じていた。


「なんだ。これがレプラコーンキャビネットってヤツか。どうやら逃げ切れたようだぜ〜。ふぅ」


「侵入者デスネ?」


不意に後ろから無機質な声! 振り返ると焼き物のような肌の人型のなにかが間近で浮遊していた。両手にノコギリやトンカチを持っている。


「土器ぃーっ?!!」


逃げ切れてなかった???

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