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瀧川兄妹異世界転移する!  作者: 大石次郎


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30話 レプラコーンキャビネット

→→→→→兄ターン



「ナンクゥー、任せた」


「問題ありませんよ? ヒロシ。新たなるボクの牙城を築きましょう。···ですが植物と蟲や鼠等を処理するにはドリアードの強化が必要です。いつものアレをやります」


おもむろにに、マナを練った油かす石灰腐葉土グリーンポーションを混ぜた鉢に突っ込まれたドリアードの前に、ネルドーア式ゼゼシュ式の歌と踊りで精霊を讃えだすナンクゥー。


俺達と、居合わせた夜番の自警団の連中&衛兵分署の交代中の兵士が拍手する。


吉田さんはチラっと見るくらいで若い頃作ったというチート魔法家具の1つの調整に専念していた。


ドリアードは力を高め、発光しだした。


どよめく俺達観客っ!


「ふぅー」


マジックポーションを飲み、大荒れな旧管理人ハウスに向き直るナンクゥー。


「では、いきます。···ふんぬっ、です!!」


ドリアードが『濃厚な精油と蜜の香りのガス』を旧管理人ハウスに放った! さらにそれをゆっくりとハウス前の広場になってる草地に引き寄せて渦を巻かせる。すると、


ブブブブッッ、ゾゾゾゾッッ、ドドドドッッ!!!


虫達がっ、鼠達がっっ!! 草地に大集合っ!!!


「「「うわぁああ〜〜〜っっ??!!!」」」


俺達観客は阿鼻叫喚!!


「うるっさいのぉ、工程通りであろうに」


作業の手を止めずシラける吉田さん。


一方、魔力を高め自身も発光するナンクゥーは、花咲く植物属性の小さい杖『スプリングワンド』を振るった。


「召喚。浮遊草『食虫花(しょくちゅうか)』、歩行草(ほこうそう)『ワニ草』。です」


ナンクゥーはドリアードを介し多数のアグレッシブな浮遊食虫植物と、凄い地表歩く大型犬サイズの爬虫類的な食虫植物を十数体召喚した!


で、2種の食虫植物達は···


バリバリッッ、ムシャムシャッッ、ゴクゴクッッ!!


虫と鼠達を捕食しまくりだす!!!


「「「ひぃいいーーーっっ??!!!」」」


俺達観客は阿鼻叫喚!! 2回目っっ。


「ほんと、うるさいのぉ、食物連鎖であろうに」


引き続き作業の手を止めずシラける吉田さん。


いやっ、わかっちゃいるけど!


さらにこの後『捕食形態』に変形させたドリアードが、逃げ惑う全ての食虫植物達を完食し俺達は三度悲鳴を上げ、吉田さんが「レイワは再生可能エネルギーが流行だろうに」とコメントするのだった···



→→→→→妹ターン



私達オーディエンスの動揺が収まらない中、ナンクゥーは最後にハウスに纏わり付いたり周囲に生い茂る草木を、ドリアードを介してハウスから剥がし、地表をウネウネと移動させ、


『適当な間隔を取らせた果樹』、『日除け風除け虫除け(精油多い系)の木』、『その他不要な草木や一部のキノコや苔、カビ』に綺麗に処理し易く分けた。


「うう、ボクとドリアードはここまで、です···」


フラフラになったナンクゥーはマジックポーションをもう1本、7割程飲み、残り3割はドリアードに掛けてあげた。ドリアードは『綿毛形態』に変わり、ベッドになってナンクゥーと一緒に眠りに就いちゃった。


「ふむ。処理分はどれも根は浅くしてくれておるな。ノッコとタダ見しておった者達は不要な木の切り出しと掘り返し担当。雑草はヒロシとボルッカと事務員等が担当! カズネはニンフの指輪を一応して火魔法でキノコ等を焼くのだ」


吉田さんに指示で私達はあたふたと対応しだした。火魔法のエルはまだちゃんと覚えてないんだけど!


···作業は人手もあって順調! 私のエルの魔法も単純に近くの物を焼くだけならなんとかなった。


すぐ終わったから念力で切り株でも抜いてあげよっかな? と思って歩いてると、さっきからずっと昔のチート魔法家具をイジってる吉田さんの前を通り掛かった。


「よし、こんなもんであろう」


修理したのは古風なキャビネットだった。


「どんな魔法家具なんですか?」


「これは『レプラコーンキャビネット』だ。コイツに妖精の通貨を払い込むと、契約した妖精界のレプラコーン達を使役できる。払い込みは何十年も前にたんまりしてある。と言っても、それから何十年も放置しておったがの···」


「え〜」


「とにかく交渉してみるぞい? 薪以外の製材できそうな木の皮を剥いだり、使う木の剪定をしたり、家の状態のチェック等を一先ずやらせよう。処理済みの木の乾燥くらいは『グリーンジェム(植物触媒)』を使えば今のワシでもできるからの」


と言って無造作にキャビネットを開ける吉田さんっ。おお? 中から淡い魔力の光!


「···なんだ? キャビネットか? ヨシダか? 直ぐ死ぬロングフットのクセに、まだ生きてたか」


カン高い声がキャビネットの向こうからした。


「そう長くはないがの、終の棲家をリフォームしようと思ってな。お主らにも払った代金分の仕事をしてもらうぞい?」


「しょーがないなぁ。···久し振りのそっちの世界! 野郎どもっ、一仕事するぞぉーーっっ!!!」


「「「わぁーっ!!!」」」


キャビネットからっ、掌に乗りそうな小人達が溢れ出してきた!!!


「うわぉっ、今日こんなんばっかし!」


喚び出されたレプラコーン達は小さな魔法の工具や計測道具等を手に大活躍だった。


木を剪定し、伐採された木の皮を剥ぎ、ハウスの点検をして、内容を私達に報告してくれた。


「そのゴツいオーガが作業できるよう、2階と地下の簡単な補修と掃除は俺様達がやってやらぁっ」


レプラコーンのリーダーが頼もしく言ってくれる。


「うん、まぁ取り敢えずノッコはカズネと組んで残りの切り株を引っ込抜いてくれよ。俺とボルッカでまず一階の床をノッコが歩けるくらいにするから」


「ええで!」


「切り株ね」


「ワシは木の乾燥だの」


と役割の再振り分けをしてたら、


「おい、俺達手伝ったから酒かなんか奢ってくれよ」


「百花繚乱の子のパフォーマンスだけじゃわりに合わないぞっ?」


自警団と分署の人達からクレームきだしたっっ。


「よし、あとは細かい作業だから俺達でやるぜ。皆には、あ〜···食堂でエール3杯かケーキ3ピースまでは奢るっ!!」


「「「うぉーっ!!!」」」


そこそこな出費だけど、ボルッカが執り成してくれて、なんとかなったよ。焦ったぁ···

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