約束23ー茶会ー
ミリアがこの庭園の会場の采配をするにあたり、
何点か気になる点・・・いや正直に言おう、設置を拒否したい衝動に駆られる品がいくつかあった。
それは、飾られた芸術品の中に紛れる、子供のお遊びの様な絵の中の一つであったり。
または、色とりどりの宝石類に紛れる石だったり
はたまた、子女がよく手習いで入れる刺繍の中にある、緑や黒といった線がうねっているだけのようなハンカチーフだったり
食事にももちろん工夫が凝らしてある様子、菓子しかりだ
この茶会の指示は陛下自ら行ったもの
そう、フィオレンティーナの想いでの品が紛れんでいるのだ。
「皆思い思いの場所で、私が用意させた品々を鑑賞してくれ」
とにこやかに告げるアルレシオをみてミリアは
(よくもっアル!あの刺繍は絶対に見せないことを約束にあげたのに!出来上がったあの刺繍に笑い転げた上、涙を浮かべて手元にあれば幸せな気分になるからっていうから解かずあげたのに!!黒歴史をさらしまくってくれる気満々ってわけね!いくら私を探すためって言っても、あの刺繍はないわ!それにアウレンティーニ様もアウレンティーニ様よ、さっきはちょっとしんみりしたけど、私達だけの約束をバラすなんて!!)
ぐぬぬぬっといった表情で会場を見ているミリアに冷や汗をうかべつつ
「ミ、ミリア様?」
「ふふ、ねぇルルシル?人の過去の傷を抉るような真似いい大人がするものではないと思わなくて?」
「え、まぁそうでございますね」
「そう、じゃぁ少し仕返ししましょうか!」
「はぁ?!し、仕返しって?」
「まぁ見てなさい」
「ミ、ミリア様・・・ほどほどにお願い致します。」
「えぇ、ほどほどね」
(陛下・・・いつもの貴方ならこの状況を簡単に回避できたはずなのです、お疲れだったとは承知しておりますが・・・お助けできず申し訳ない、ですが、貴方が私の立場でも同じはず、だって私達はいつまでたってもこの少女の願いを聞かない事が出来なかったのですから)
そっと心の内で陛下に白旗を振るルルシル、気づいてほしいと願いつつ見えぬ旗を。
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茶会は順調にすすんだ
貴族の令嬢達の中にも生前フィオレンティーナが好んだ食べ物や飲みもの、
そして好みの色や装飾を当てるものはいた、大方親の力で過去の情報でもあさったのだろう。
この茶会は
最初に何グループかに分けてその場その場で周りの侍女たちが何を選んだか報告をまとめるのだ。
公平を期す為か、趣向を凝らしたとの名目で各種類のテーブルが何個か並び、それごとに幕で遮り
他のテーブル類は見えない仕組みになっていた。
護衛騎士でもあるルルシルは陛下の傍へ戻らなければならず
一人で茶会に出なければならないミリアはテーブルを見て周っているが
貴族の女子に囲まれ自身が思うモノを見たり取ったりできなかったようだ
そんなミリアの姿を、一画の侍女は悔しそうに報告書に記載する
それでも忠実に、ミリアが取らざるを得なかった石や、子供の落書きの様な絵や
刺繍とも呼べない線のハンカチーフなどを・・・
一陣から上がってきた報告書に目を通したアルレシオが注目したのはクルル嬢だ
フィオが好んだ色の絵や、フィオが生前好きだった飲み物
フィオが好んでつけた宝石の装飾
そして、最後に彼女が手に取ったのは・・・菓子類の中にあった砂糖菓子 金平糖であった。
二陣三陣には候補者たちはいない為、つい後回しにしてしまっているアルレシオ
そして茶会は終わりを迎えようとしている。
そんな不思議な茶会を開いている庭を一望できる位置に、アウレンティーニはいた
こんな事をしても何にもならないのではないかと冷めた目で見ていたアウレンティーニは
次第に目を見開いていく
最初は貴族の令嬢に囃し立てられているだけに見えた
みたかった宝石も見れず石を選ばされ、頬を染めて落書きの様な絵を真剣に見るその少女は・・・
もしかして・・・と
そして、アウレンティーニは踵を返す、王城の塔の上から
その手に双眼鏡を持ち
階段を階下へ駆け下りる。
会場内
刺繍のテーブルでは、少女はそっと一枚のハンカチーフを自身のポケットへとしのばせるのだった。




