約束20
私は今、一画の庭園を走りまわっている
外から見たらスカートの裾すら乱さずに何食わぬ苦もない様な表情だが、これがつらい
しかし、生前の努力の欠片は自分を助けてくれている。
明日は間違えなく筋肉痛だろう、今生では普段使わない筋肉をつかっている為だ。
「ミリア様!こちらは!」
「洋間前に!」
「はい!」
「ミリア様!陛下へお出しする紅茶がっ決まらなくて!!」
「コッツフィールの茶葉はある?あったらそれで!」
「はい!」
「「ミリア様クロスの」ホワイトブルーのを!」
「はい!!」
「ミリア様!」「ミリア様!」「ミリア様!」
なぜ私がこんなに名前を連呼されているかと言うと・・・
侍女長が倒れてしまったのです
女官長は手が離せず、他の高位貴族の令嬢が采配を任される事になったのですが
現状この場に陛下の趣味嗜好や、招待される貴族家の特色やNGなどまで把握しているものは少なく
50年前とそんなに変わっていない貴族の面々ともちろん陛下の好みまでしっているのがバレた私が
(目が回る忙しさにぼそりとこぼした内容が正解も正解だったせい・・・いや自分のせいです。)
あの時ミュレ嬢の部屋前にいた子女たちの推薦もあって、任されてしまったのです・・・
「くっ!乗り切ってみせます・・・」
=いいの~?せっかくの再会なのにぃ・・・もう少し恰好とかさぁ=
私の肩にふわふわとくっついて回っているのは、精霊の少女です
名を=私!ルゥリ・ホソーダ・ルティア!!気軽にルゥリちゃんって読んでね☆=だそうだ
あれから一画の庭園まで、私が死した後の事(物語などで知ってはいたが)や、私が生まれ変わってから
この地へ来るまでの事、ここにきて記憶が戻り、今日やっとちゃんとアウレンティーニ様へお会いする事を話したのだ。
「ルゥリちゃん、この騒ぎの発端は私にもあります、結果的に王城に勤める者の仕事を増やしてしまいました・・・私の責任でもあるのです」
=そぉ~?・・・こんなに近くにいるのに気付かない男たちがバカなんじゃない?あんなに願ったから叶えて挙げたのに=
とプンすかする幼女
「ふふ、ありがとう、貴女のおかげで私はもう一度あの方に会えます」
=会うだけじゃダメよ!!皆素直になれば幸せになれるんだから・・・私は貴方達に幸せになってほしい=
うるうるする幼女、もといルゥリをそっと撫で
「ありがとうございます」
とほほ笑むミリア
そうそう、私が生まれ変わってから見て遊び、遊ばれていたのは低位の精霊達らしいです。
言葉は話せず知能も幼いらしく
ルゥリの様に話せる精霊は、王城にあるあの大樹の精である彼女ほどの時間をかけ
力をためた精霊である必要があるそうです。
目の回る忙しさです…侍女長お年なのにおかわいそうに、
(それにしても…先程から指示の中に、見慣れたものがちょくちょくと……あるのですよね)
「ミリア様…」回りの侍女達とは違った困惑の表情
「どうしました?」微笑みを絶やさずにっと
「その…デザート菓子、いえ甘味だと思うのですが、その、配置なのですが、いくつか王城では見かけないものがございまして」
(お菓子…)
そのテーブルには色とりどりのそれは多数多種類のお菓子達が乗っていました
「これは、確かに一画の侍女達には馴染みの無いものですわね…」
「あぁ、やはりこちらの卓で宜しかったのですね!その、こちらは…菓子、なのですよね?」
「えぇ、そうね、街の子供達が食べているのを見たことがございます」
「街の子供達ですか?」少し怪訝な表情の侍女
(そうね、貴族の娘が食べる事はまずないでしょうね…)
深緑のグミの様なものは少し苦味がある草と甘みを混ぜたものだったり、豪華なケーキの横には色とりどりの砂糖菓子が…やはり……
今回の茶会は陛下からいくつか指示が降りてきてる、実際采配を任された私がみた中にも、フィオレンティーナなの好むもの、苦手なものが混ざっているのだ…
(約束は私達だけのモノだと思っておりましたのに…お話になったのですか?陛下…)




