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追放された鍛冶錬金師は、数値を信じるギルドを見限って静かに最強になる 〜評価されなかった生産職ですが、使った人だけが違いに気づきます〜  作者: 神崎タクミ


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第89話 決着

 「対等だな」


 その言葉が、まだ残っている。


 だが。


 空気は、すでに変わっていた。


 ――次で終わる。


 そんな確信が、戦場全体に広がる。


 ミレアが息を吐く。


「やっと本気ってわけね」


 黒装束の男は答えない。


 ただ、構える。


 その姿勢。


 無駄がない。


 だが。


 さっきまでとは違う。


 “揺らぎ”がある。


 カイルはそれを見ていた。


 静かに。


 確実に。


 「来ます」


 その声と同時に。


 男が消える。


 速い。


 だが。


 今は、見える。


 カイルが動く。


 固定。


 だが一つではない。


 複数。


 選択。


 そして。


 ――当たる。


 刃がぶつかる。


 重い。


 だが。


 止まる。


 ミレアが横から入る。


 連携ではない。


 だが。


 “構造”として繋がっている。


 振る。


 男が受ける。


 わずかに。


 遅れる。


 「……そこ!」


 ミレアが踏み込む。


 だが。


 男も読む。


 軌道を変える。


 回避。


 そして。


 反撃。


 カイルに向かう。


 一直線。


 速い。


 だが。


 ――同じだ。


 カイルがわずかにずらす。


 固定の一つ。


 刃が外れる。


 ミレアが笑う。


「それ、もう効かないわよ」


 男は答えない。


 だが。


 その目がわずかに細くなる。


 理解している。


 そして。


 それでも来る。


 次。


 さらに速い。


 さらに鋭い。


 だが。


 カイルは動く。


 固定。


 選択。


 そして。


 再現。


 同じ結果。


 同じズレ。


 同じ回避。


 エルザが呟く。


「……再現されてる」


 それは。


 単なる防御ではない。


 “勝ち方”の再現。


 ミレアが踏み込む。


 今度は。


 遅らせる。


 半拍。


 男が一瞬迷う。


 そのズレ。


 そこに。


 集中。


 振る。


 当たる。


 深く。


 血が飛ぶ。


 男が後退する。


 初めて。


 明確に。


 崩れる。


 静寂。


 ミレアが笑う。


「……入った」


 カイルは言う。


「はい」


 だが。


 まだ終わらない。


 男は立っている。


 呼吸は乱れていない。


 だが。


 理解している。


 完全に。


 負けではない。


 だが。


 “勝てない”。


 その事実を。


 男が言う。


 「……完成していない」


「はい」


 カイルは答える。


 その通りだ。


 まだ。


 未完成。


 だが。


 男は続ける。


 「だが」


 一拍。


 「壊せない」


 その言葉。


 それが。


 結論だった。


 ミレアが笑う。


「それで十分よ」


 男は武器を下ろす。


 ゆっくりと。


 そして。


 後ろへ下がる。


 「今回はここまでだ」


 その言葉に。


 エルザが息を呑む。


「……撤退?」


 カイルは頷く。


「はい」


 男は最後に言う。


 「次は壊す」


 そして。


 消える。


 完全に。


 静寂。


 戦場に、風が戻る。


 ミレアが大きく息を吐く。


「……終わった?」


「いいえ」


 カイルは言う。


「終わっていません」


 一拍。


「ですが」


「ここまでは来ました」


 エルザが記録を握りしめる。


「……対等」


「はい」


 カイルは頷く。


 それは。


 大きな一歩だった。


 ミレアが笑う。


「次は勝つわよ」


「はい」


 カイルは答える。


 その視線は。


 すでに先を見ていた。

読んでいただきありがとうございます。


ここまでで、この章の一つの“到達点”に来ました。

完成ではありませんが、「壊されない構造」にはなっています。


次は――その先。


ここからどう広がるのか。


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