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追放された鍛冶錬金師は、数値を信じるギルドを見限って静かに最強になる 〜評価されなかった生産職ですが、使った人だけが違いに気づきます〜  作者: 神崎タクミ


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第77話 王の評価

 ――見られている。


 その感覚は、錯覚ではなかった。


 戦場の空気が、わずかに変わる。


 兵士たちは気づいていない。


 だが。


 カイルだけが理解していた。


 上から。


 判断が下されている。


「押し返してる!」


「このまま行ける!」


 前線の声が変わる。


 恐怖から。


 確信へ。


 ミレアが言う。


「……流れ、完全に変わりましたね」


「はい」


 カイルは頷く。


 再現層が支える。


 最大層が崩す。


 その循環。


 それが、戦場全体に波及している。


 だが。


 終わっていない。


「来ます」


 カイルが言った。


 次の瞬間。


 森の奥が揺れる。


 影が出る。


 さっきまでとは違う。


 大きい。


 重い。


「……上位種か」


 ミレアが呟く。


 四足。


 筋肉の塊。


 動きが異様に静か。


 そして。


 一直線に来る。


 中央へ。


 最も圧のある場所へ。


 将校が叫ぶ。


「中央警戒!」


 だが。


 間に合わない。


 速度が違う。


 質が違う。


 カイルが言う。


「来ます」


 三人が構える。


 再現層では止まらない。


 最大層だけでは足りない。


 ミレアが言う。


「どうします」


 カイルは一歩出た。


「合わせます」


 一拍。


「全員で」


 五人が動く。


 再現層が支える。


 最大層が前に出る。


 だが。


 それだけではない。


 補助の二人が動く。


 位置をずらす。


 圧を分散する。


 即席。


 だが機能する。


 上位種が突進する。


 衝突。


 重い。


 全員の体が揺れる。


 だが。


 崩れない。


「……止めた!」


 兵士が叫ぶ。


 だが。


 まだだ。


 押し込まれる。


 徐々に。


 ミレアが言う。


「持たない!」


 カイルが言う。


「切り替え」


 一人。


 二人。


 三人。


 順番に前へ。


 最大層。


 連続。


 切り替え。


 隙を作らない。


 上位種の動きが鈍る。


 その一瞬。


 カイルが踏み込む。


 半歩。


 流す。


 位置が変わる。


 死角。


 そこに。


 振る。


 深く。


 重く。


 決まる。


 静寂。


 上位種が崩れる。


 地面が揺れる。


 完全に。


 流れが止まった。


 そして。


 逆転した。


「……勝った」


 誰かが呟く。


 それが広がる。


 兵士たちが前へ出る。


 押す。


 崩す。


 魔物が退く。


 戦場が、終わる。


 ミレアが息を吐く。


「……今の」


「はい」


 カイルは言う。


「全部です」


 再現。


 最大。


 切り替え。


 そして。


 判断。


 それが。


 答え。


 エルザが記録を閉じる。


「……十分です」


 一拍。


「数値も、結果も」


 その時。


 砦の上から、ゆっくりと人影が降りてきた。


 誰も声を出さない。


 ただ。


 道が開く。


 王。


 その場に立つだけで。


 空気が変わる。


 王は戦場を見る。


 崩れた魔物。


 整った隊列。


 そして。


 カイルを見る。


「……見た」


 それだけ。


 だが。


 十分だった。


 ミレアが小さく呟く。


「来ましたね」


 エルザが姿勢を正す。


 カイルは動かない。


 王が言う。


「結果は確認した」


 短い。


「効率は上がっている」


「はい」


「損耗は抑えられている」


「はい」


「再現も、一部可能」


「はい」


 一拍。


 沈黙。


 そして。


「だが」


 その一言で。


 空気が止まる。


「複雑だ」


 誰も動かない。


 王は続ける。


「管理が難しい」


 当然の指摘。


 だが。


 それが、全てを決める。


 カイルは言う。


「はい」


 認める。


 その上で。


「ですが」


 一歩。


「変わります」


 王の目が細くなる。


「……何が」


「基準です」


 一拍。


「戦場の」


 王は黙る。


 そして。


 わずかに笑った。


 それは。


 理解ではない。


 興味だった。


 評価は。


 まだ終わっていない。

ついに王が評価に入りました。


ここで決まるか、もう一段あるか。


次は――最終判断です。


ここがこの章の核心になります。


ブックマーク・評価してもらえると嬉しいです。

続きをお楽しみに。

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