第二話 魔術師の資質 ②
目が覚めて、荷物をカバンに詰め込んで出発する。アランが残っている火に向かって杖を振ると、その火は消えた。
「一晩魔術を使ってわかったことがある」
歩きながら左横にいたアランが切り出した。
「私の中にある魔力は使い続ければ減っていくようだ。通常は十分な休息を取れば魔力は自然と回復する。火をともす程度で失われる魔力は元々の私にとってはたいしたものではないし、ともしながら眠るくらいはどうとでもなるはずだ。だがそうではなかった。これはもちろん、君の魔力を借りているからだ。私自身の魔力はほとんど残っていないのだからね」
「それじゃあ……」
「どこかで使い切れば、私は動けなくなるかもしれない、それを死と呼ぶかは難しいところだが」
「どうすれば」
「それは、こうだ」
アランが私の手を取った。
「君に接触している間、君の魔力が私に流れてくる。君の魔力総量に比べれば微量だが、そうやって補充をしないといけない。君から離れてどれくらい使えるのか、補充はどの程度の時間がかかるのか、それはこれから探っていくとして」
アランが手をぎゅっと握る。
「エミーリア、君が嫌でなければなるべく接触はしておいた方がいい」
首を傾げてアランが見ていた。
「え、それは……、嫌じゃないけど」
「ありがとう、まあ一日や二日で切れるようなものじゃないから、眠るときに繋いでいればいいと思う」
「それって」
「うん?」
毎晩アランと手を繋いだまま寝るのか。この間はかなり緊張していたけど、今想像してもちょっと平常心で眠れるか自信がない。あのときは必死だったからで、今は否応にも意識してしまう。
「いや、なんでもない」
私が私の意思で彼を生かすために従者にしたのだから、それくらいは慣れるべきか。
「ああ、どうやら街が見えてきたみたいだね」
アランが顔を上げて、遠くを見た。






