8振り、お前は言わないでくれ
ミノタウロスと戦った日。その日の夜はミノタウロス以上に激戦が行われた。お陰で次の日起きるのは昼になったし、足腰がきつい。
それでも一応何かあるかもしれないため森に入ったのだが、
「……おかしい」
「ん?何が?」
「いや。モンスターの種類がおかしいだろ!なんだよこいつら!?」
今まで戦っていたゴブリンやウサギとは違う、見たことのないモンスターの数々。明らかにレアだと分かるようなモンスターばかりだ。
こんなことになる原因は1つしかあり得ないわけで、
「ユーカ。ミノタウロスもお前が引き寄せたんじゃないか?」
「なっ!?そ、そそそ、そんなことは無いと思うよ!」
そうは言いつつ、なんだかそんな気もしてしまっているようなユーカ。コイツと森に入るようになってから、明らかにモンスターの種類が変わってる。レアだったり上位種だったり、たまに苦戦するようなヤツまでいる。
俺が1人ではいるとそんなことはないから、これは確実にユーカのせいだ。本当は今すぐにでもパーティーを解消したいところだが、レベル50まで一緒にいるって約束しちまったからな。
「……今日から、夜覚悟しとけよ。マジで許さないから」
「うん!楽しみにしてるね!」
いや。楽しみにしないで欲しいんだが。……だが、俺に出来る復讐方法はこれくらいしかない。金を取る契約もしてないし、唯一契約内容としてあるのが夜の関係だけなのだから。
そんな会話をしてモンスターを狩り、村へ帰ると、
「よう。カシィ。聞いたか?」
「ん?何をだ?」
村の人に話しかけられた。この人は村を守る兵士の1人。盗賊のアジトの対応をしてくれたり、遺骨の回収をしてくれたりした人だ。
「最近森で死体が多く出ただろ?」
「ああ。そうだな」
「あんな感じのが、他の村でも出始めたらしいんだよ」
「ほぅ?」
気になる話だ。つまりそれは、転移者が俺たち以外にもいるということ。
俺はユーカへ視線を移し、
「ユーカ。どうする?」
「どうするって言うと?」
俺に尋ねられた理由が分からないのか、ユーカはコテント首を傾けた。
くっ!こんな何気ない仕草でも可愛いと思えてしまう俺はやはり危ない!
「そいつらに会いに行くかどうか、って話だ」
同じ世界の人間かもしれない。俺とて世話を焼きたいとは思わないが、軽い支援をするくらいならやっても良いと思ってる。ユーカに色々ひどいことをしたという自覚はあるが、そういう他者を思う心は残しておきたい。
「……ん~。良いんじゃない?行ってみよう」
「分かった。……なあ、その村の情報を教えてくれないか?」
俺は兵士に他の転移者が来たという村を聞く。ついでにその村の名産やらも教えてもらった。
次の日には主発し、数時間走って村へと到着。レベルが上がったお陰で走るのが速くなったのは勿論、体力もついたような気がする。ユーカが着いて超える速度で走ったのも、体力が続いた理由ではあるかもしれないが。
「ねぇ。カシィ。この村のモンスターは何が出るの?」
「モンスターが出るのは村の周りの草原で、ここは通常だとスライムが出るらしいぞ。あと一角兎もごく希に出るらしい。そして更にごくごく希、それこそ10年に1度くらいに現れるのがポイズンマッシュとかいう小型のモンスターだそうだ。人の腰くらいまであるキノコに足が生えてるらしくてシュールらしいぞ」
「へぇ~。でも、10年に1度とかなら会うことは無さそうだね」
そんな話をしながら村へ到着。そして、早速草原に向かってみて、
「なんで一角兎ばっかりなんだよ!」
「ごく希って一体何なの?」
兎が出てくるわ出てくるわ。スライムなんてまだ5体くらいしか倒してないのに、ホーンラビットは20匹目にいきそうなくらいだぞ。ここでもユーカのレアとの遭遇運が発動されんのかよ!
なんて思っていると、
「……キャアアァァァァァァ!!!!!!!!」
叫び声が響く。俺たちは顔を見合わせ、一緒に駆け出した。ここで悲鳴が上がると言うことは、異世界からの転移者の可能性が高い。
声がした方に行ってみれば、案の定制服を着た女子が走っていて、
「…………ねぇ」
「ああ。言いたいことは分かる。……が、お前が言えたことじゃないだろ」
追いかけられている女子生徒。それを追いかけるのは、紫色の胞子をまき散らしらしながら走る足の映えたキノコだった。あれ、確実にポイズンマッシュだよな。10年に1度とは一体何なののだろうか。
……そして、なんで俺はこんな狂運な子とばかりで会うのだろうか。
「助けにい行くか」
「そ、そうだね」
俺たちは駆け出す。その間俺が思うことはただ1つ。
この少女たちの狂運に、俺を一緒に巻き込まないで欲しい、ということだけだ。
「『運』極振りの美少女と行く異世界 ~俺までその狂運に巻き込まないで下さい~」《完》
この作品は一旦ここで終了です!
この作品の他にも同じような短さの作品を投稿しているので、作者のページから「長編化予備群」のシリーズを覗いて頂ければ!!
人気があった作品は長編化します。勿論この作品も……チラチラッ(ブックマークや☆をつけて頂ければ、続きが書かれるかも……




