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2振り、クラスメイトを殺さないでくれ

ヒロインが出てきたら短くなります。

「良くやった。これが報酬だ」


「ああ。ありがとう」


俺は金貨の入った袋を受け取る。目の前にいるのは、簀巻きになった盗賊達。

盗賊に追われた俺は、その後無事に村へ入ることに成功した。そしてすぐに兵士らしき人に盗賊のアジトを伝え、取り押さえてもらったのだ。もらったこの金は情報量とのこと。最近この村に被害を出していた盗賊なのだそうで、かなり感謝された。


「よっ!カシィ!」


「おお!デルナン。おはよう」


「あっ!カシィ!やっほぉ!!」


「おう。チュニー。元気そうだな」


町を歩けば、村人から俺に声が掛かる。カシィは、俺がこの世界で活動していくときに使うことにした偽名だ。本名である花穂(かすい)を少しもじっただけだ。

っと、本名って言っても分からないよな。ステータス画面で名前は出てるから知ってるかもしれないが、一応自己紹介しておこう。

俺の名は春川(はるかわ)花穂(かすい)。こっちに来る前は、何てことない普通の高校生だった。陽キャと言われるような明るいリーダーではないが、部屋の隅の方にいるタイプでもない。楽しくもないのに陽キャグループにすり寄っていたのが俺だ。陽キャグループの金魚の糞みたいなヤツをイメージして貰えたら良いだろう。陽キャグループにかろうじて所属していたお陰で、コミュ障というわけではない。


「あっ。いらっしゃい。カシィ。今日も依頼を受けるのかな?」


「ああ。盗賊の情報料はもらったけど、貯金は幾らあったって困らないからな」


「それもそうねぇ。良い武器買うのにもお金が掛かるし」


「世知辛い世の中だな」


「そうねぇ」


俺がやってきたのは冒険者ギルド。そして今話しているのがそこの受付嬢だ。美人ではあるが残念ながら既婚者で子持ちである。ラノベでたまにある受付嬢とのあれこれは無理なわけだ。

で、こんな所に俺がいるのは当然、俺が冒険者となったからだ。異世界に行って冒険者。これ定番だよな。登録してから数日ゴブリンや兎などモンスターを倒してランクが上がっている。最初はFだったのだが現在ではDだ。因みにAランクの冒険者も割と数はいるらしい。どっかのラノベの世界みたいに世界で数えるほどしかいない最高ランク、なんていうことはないようだ。数が多い分、Aランクでも実力に差はあるらしいが。


「それじゃあ、ゴブリン3体と一角兎5体ですね。気をつけていってらっしゃいませ」


「ああ。ありがとう」


俺は適当に依頼を受けて森へと出掛ける。そして、この数日やっているように魔物を狩っているときだった。


「ん?これは……」


地面が赤くなっているのを見かける。この世界のモンスター達は基本的に血が赤ではない。ということは、この赤くなっているのは人間の血なわけで、


「……ヴゥゥゥゥ」


「っ!?」


俺は息をのむ。目の前に人間の死体が現れたのだ。死体と分かる理由は、半分くらい頭が潰れているからだ。明らかに致命傷を負っていると分かる。

それなのに動いていると言うことは、


「ゾンビかよ!」


「ヴゥゥゥゥゥ!!!!!」


襲いかかっているゾンビ。俺は一旦背を向け逃げた。本当ならすぐにでも殺してしまいたいのだが、あの格好を見てしまうとそういうわけにもいかない。あのゾンビが来てた服、俺の学校の制服だったんだよなぁ。

たぶん。クラスメイトだろうな。顔が潰れてるから判別は出来ないが、学生証を持っているだろうからそれで特定は出来る。とはいえ、学生証を見ようと思えばゾンビを動けないようにしなければならないわけで、


「………やるか?」


ゾンビを倒してしまうかどうか。それが悩みどころだ。ここでゾンビを倒せば、俺は実質クラスメイトに攻撃したことに他ならない。だが、このまま野放しにしていても誰かしらが倒すだろう。……いや。最悪の場合ゾンビが被害を出す可能性もある。ここでで俺が止めた方が、この世界のためになるだろう。


「はぁ。……やるしかないか」


俺はナイフを握った。そのままゾンビの後ろに回り込み、


「ていっ!」


首へ切りつける。弱点としては潰れた頭がもろそうだが、そんなところにナイフを入れたくない。確実に何か汚いものがナイフに着いてしまうだろう。


「ふっ!はっ!」


ゾンビが対応してくる前に、俺は連続でナイフを振るった。4回ほど首に突き刺したところでついに、


「……あぁ。宝箱」


現れる宝箱。息の根を止めた証拠だ。これはゾンビを倒して手に入れた宝箱だから、生きているときに出した宝箱も近くにあるかもしれないな。ゴブリンに殺された場合は中身を持って行かれてる可能性もあるけど。


「オープン」


宝箱を開く。それと同時に


《レベル24(1UP)になりました》

《スキル『連撃1』を獲得しました》

《スキル『弱点攻撃3(1UP』に進化しました》

・『連撃1』:連続で攻撃を行うとき、攻撃の回数が多くなるごとにダメージが増加する。

・『弱点攻撃3』:攻撃対象の弱点にダメージを与えたとき、その弱点の弱さによってダメージが増加する。弱点攻撃時に出血量が増加する。


レベルが上がる。ついでに、現在のステータスも見せておこう。


春川(はるかわ)花穂(かすい)

種族:人

LV:24

職業:なし

HP:110 MP:55

攻撃力:10(6UP) 防御力:9(7UP) 魔攻:9(6UP) 魔防:9(6UP)

機動力:43(16UP) 運:9(7UP)

スキル:『奇襲5』『ヒット&アウェイ3』『逃走2』『弱点攻撃3』『大声1』『短剣3』『木登り1』

  『忍び足2』『一撃必殺1』『連撃1』

称号:なし


新しいスキルが増えているが、名前通りの効果だ。他にもスキルの数字が増えているものがあるが、純粋に効果が大きくなっていると考えれば良い。

次は宝箱の中の話でもしようか。中身は少しばかりの金と異臭を放つ肉。肉はゾンビのドロップ品として有名で、使い道は魔物の餌くらいしかないらしい。実に悲しい話だ。

宝箱と言えばゾンビになる前の宝箱の方もあり、中身は回収済み。こちらは金と名前の刻まれた骨。この骨は死亡証明として使われるものだそうだ。


「うわぁぁぁ!!?????」


ドロップ品を回収していると、遠くから誰かの叫び声が。気になるので行ってみることに。

行ってみると、その時にはもう手遅れだったのだが。


「あぁ。またか……」


人のものと思われる死体。それは、先ほどのゾンビと同様に制服を着ていた。また1人クラスメイトが犠牲になったらしい。

チートなしなことにも文句は言いたかったが、この召喚場所にも文句が言いたいな。俺はどうにか生き残れたが、普通モンスターだらけのこの森で生き残ることは出来ないだろ。


「とりあえず遺骨だけ回収してやるか」


近くのモンスターを殺してクラスメイトの仇を討ちつつ、宝箱の中身を回収。結局、その日4人ほどの犠牲者が出た。すでに冒険者ギルドといった関係各所には死人が出たことを報告済みである。


「遺骨はこちらで預かろう。もし行方不明届けなどが出されていた場合は家族に渡すこととなる。見つからなかった場合は引き取ることも出来るが……」


引き取るべきかどうか。これは難しい問題だ。

クラスメイトだし引き取るのも当然と考えることも出来る。だが、犠牲者がこれだけで済むとは考えられない。最悪の場合、俺以外全滅だってあり得る。そうなったら、俺はクラスメイト全員の遺骨を持っておかなければならないわけで、


「いや。遺骨は必要ない。処分はそちらで頼む」


「分かった」


学生証を回収してあるので、こちらを持っておけば良いだろう。遺骨よりもスペースをとらないからな。流石にクラスメイト全員となると、どこかのカードバトルのデッキと同じくらい熱くなりそうではあるが。


「ぎゃぁぁぁ!!!????」

「いやああぁぁぁぁ!!!?????」


次の日。また次の日。死体の数は増え、俺の持つ学生証は厚くなっていく。女子の死体は可哀想なことにゴブリンから犯されたものもあった。結局誰1人として助けることは出来ていない。

機動力を50近くまで上げてもこのざまだ。非常に歯がゆく思う。悶々とした想いを抱えながらモンスターを倒し続けるそんなある日のことだった。


「「「ギャアアァァァァ!!!!?????」」」


悲鳴が聞こえてくる。それも、1人ではない。複数人だ。


「っ!間に合え!」


悲鳴を聞いたときにはすでに、俺は走っていた。レベルアップでついに50を超えた機動力が唸る。

数秒走ると、視界に1体のゴブリンを捕らえた。


「はっ!」


俺はすれ違うようにして首を刈り取る。もう慣れた作業だ。他にもゴブリンはいたので、続けざまに首を刈り取っていく。それから俺はゴブリンではない存在へ視線を向け、


「大丈夫か?」


「っ!?……は、はる、かわ、君?」

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