その13
さて、もう1体のポコンコツである。
もう食傷気味で、いいでしょうとは言わないで頂きたい。
この物語では、重要人物であり、その人生も描いているので……。
言い訳はこの辺にしておき、リ・リラである。
緊急御前会議の直後からの彼女は、すこぶる上機嫌だった。
そして、書類の山も何のその、鼻歌交じりにあっという間に片付けていった。
「お茶どうぞ」
書類の山が無くなった所で、リーメイが手際よく、お茶を出した。
この辺の所作は流石である。
「ありがとう」
リ・リラは、ゆったりとして満ち足りた気分でお茶にすることにした。
「随分と、ご機嫌ですね」
リーメイは、ニッコリしながらそう話し掛けた。
「そうかしら……」
リ・リラは、ウキウキした表情でお茶を飲んでいた。
リーメイの言葉は、嫌みとも取れる場面である。
だが、そんな事は気にならなかった。
(しかし、リ・リラ様は分かりやすい……)
リーメイは、呆れていた。
まあ、いつもの事である。
4人組のボスに掛かれば、女王陛下という身分なぞ、全く関係なくなってしまう。
況してや、今回は自分が暗躍したのである。
上手く行かなかったら、愛想尽きて、侍女を止めていただろう。
(とは言え、自分の相手はまだだというのに、人の心配をさせられるなんて……)
リーメイは、そう思うと何とも言えない表情で、リ・リラを見るのだった。
「ん?どうかした?」
リ・リラは、リーメイにそう聞いてきた。
リーメイの何とも言えない表情が気になったからだった。
そして、明らかに私の幸せを分けてあげようかというオーラを出していた。
当然、リーメイはそれにイラッとした。
「随分と、楽しそうですね?」
リーメイは、再び同じような台詞を言った。
「えっ、そうかなぁ?」
リ・リラは、照れながらも嬉しさを隠そうとしなかった。
あまりにも素直な反応だったので、リーメイは毒気を抜かれた。
まあ、あまり毒気がある方では無いのだが……。
「はぁ……、それにしても、今回は、本当に他人任せ、人任せでしたね」
リーメイは呆れ果ててしまい、溜息の後、本音がだだ漏れてしまった。
「うん、そうね」
リ・リラは、真顔に戻って素直に、リーメイの言った事に同意した。
賢いリ・リラの事である。
緊急御前会議の時に、誰がどういう風に動いたかは容易に想像できていた。
そして、それを分かった上で、素直に(?)それに乗っかる事にしたのだった。
「お分かり頂いて幸いでした」
リーメイは、やれやれと思いながらそう言った。
とは言え、これも本心からだった。
物事を自分1人でやらなくてはならないという事は無い。
勿論、やれれば、いいのだが、そう言ったことはほぼ皆無である。
ほとんど他人の力を借りて、事をなしたり、進んだりするものである。
なので、恋愛に関しても、他人の作ってくれた流れに乗ってしまう事もあるだろう。
度が過ぎるのは、どうかと思うのは、まあ、あれである。
でも、まあ、リ・リラはリ・リラで、自分がポンコツだという事を自覚していた。
自覚するのを頑なに嫌がっていたが、緊急御前会議でその事を思い知らされた。
ならば、せめて、折角作ってくれた流れを逃すまいとしただけだった。
「本当に、みんなには感謝しているわよ」
リ・リラは、しみじみとそう言った。
リーメイは、それを見て安心するのだった。
「特に、いつも、リーメイには感謝しているわよ」
リ・リラは、リーメイに笑顔を向けた。
「それは、ありがとうございます」
リーメイは、鳩が豆鉄砲を食ったような表情になっていた。
とは言え、素直にそう言ってくれたことに対して、ちょっとずるいとも思っていた。
そう、この笑顔は反則だと。
「でも、リーメイ、もし、上手く行かなかったらどうなっていたの?」
リ・リラは、ふと気になった事を聞いてみる事にした。
「ああ、もうそれは大惨事になっていましたね……」
今度は、リーメイが飛びっきりの笑顔をリ・リラに向けたのだった。




