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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
31.2つの終わりと2つの始まり

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その10

 とは言え、儀式はこちらが先である。


 と思う……。


 どうにもこうにも、こんだけ、人任せでいいのかという不透明感がある。


 いや、不透明感ではないですねぇ……、何て言ったらいいのか?


 まあ、ただ、ラブコメ史上、類の見ない展開なのは間違いがないだろう。


 とは言え、2人に任せて放っておくと、多分、一生このままであろうという不安点がある。


 まあ、周りが動く事で、上手くい事は現実世界のでもある事はあるので、良しとしておこう……。


 それにしても、『漆黒の闇』が2つ名としてしっくり来る。


 そして、文武両道の才女の方も、まあ、弱点がない訳ではないという事だろう。


 実に人間らしい?


「さて、本日の議題ですが……」

 緊急御前会議で、主導したのはクルスだった。


 メンバーは、リ・リラ、ラ・ミミ、エリオ、ロジオール公、ヤルス、クルス、そして、マサオの現時点でのフルメンバーである。


 いつも通り、リ・リラとラ・ミミが上座、左右に、海軍府、陸軍府、対面に中務府の配置になっている。


 そんな中、クルスの指示で今回の議題の資料が配られた。


 議題の内容は、リ・リラとエリオには当然知らされてなかった。


 そして、勿論、他のメンバーは知っていた。


 緊急性が高いと知らされ、いざ出席したリ・リラとエリオ。


「!!!」

「!!!」

 資料に目を通すと、愕然として、お互いの顔を見合わせたのは言うまでになかった。


 渡された紙は一枚。


 そこには、今日からの日程が書かれていた。


 一目瞭然だった。


「ご覧頂ければ、お分かりになると思います。

 今後、このような日程で進めていきたいと考えています」

 クルスは、意見を聞かずにそう締めくくると、席に着いた。


「……」

「……」

 リ・リラとエリオは、紙を穴が空くのではないかと言った感じで見続けた。


 ……。


 2人が全く発言しないので、会議室は静まり返っていた。


(やれやれ、どうしたもんですかねぇ……)

 母親は、息子を見た。


(これ、どうするんだ、我が息子よ!)

 父親も、呆れながら息子を見た。


(いやいや、ちょっと待って下さいよ、お二人共)

 息子の方は、余裕綽々で対応していた。


 そして、楽しそうに、本日の主役である2人を、交互にキョロキョロと見ながら観察していた。


「……」

「……」

 リ・リラとエリオは、それでも沈黙を続けていた。


 これ程、2人を黙らせる事が出来たのは初めての事だった。


 それだけに、クルスは自分の優位性を楽しんでいた。


 とは言え、このまま放っておく訳には行かなかった。


 両親からの無言のプレッシャーがあり、ヤルスとマサオの気まずそうな視線も気になってきた。


(やれやれ……)

 クルスは、残念に思いながらも2人に助け船を出す事にした。


「勿論、お2人にはこれを拒否する権利がございます」

 クルスは、仕方がないと言った感じでそう言った。


 これは助け船になっているのだろうか?


 とは言え、クルスの発言に2人はきちんと反応した。


 エリオは、何か希望を持った表情になった。


 それに対して、リ・リラは、険しい表情になった。


 無論、エリオの表情が目に入ったからだ。


「とは言え、そうなると、もう、我々の手には負えなくなります」

 クルスは、お手上げとばかりに両手を上に上げた。


 その言葉に、リ・リラとエリオ以外はうんうんと頷いた。


 もう、これは御前会議という崇高なものではなかった。


 単なる井戸端会議である。


 親戚同士の家族会議であった。


「……」

 リ・リラは、それでも無言だった。


「うっ……」

 エリオの方は思わず、声が漏れてしまった。


 流石に、稀代の策略家である。


 この先の展開が一瞬で分かってしまった。


「まあ、我々はどちらでもいいのですが、どうなさいますか?」

 クルスは、自分の優位性を前面に出して、尋ねてきた。


 無論、勝ちを確信しての事である。


 まあ、負ける訳には行かないという思いもあるので、強気で押している側面もある。


「分かりました。

 お願いします」

 ヘタレなエリオは早々に降参した。


「……」

 リ・リラの方は、それでも頑なに無言を続けていた。


「陛下はどうなさいますか?

 お2人が賛同しないと、流れますが……」

 クルスは、ダメ押しとばかりにリ・リラに迫った。


「!!!」

 リ・リラは、無念そうに周りを見渡した。


 味方はいない事を確認したに過ぎなかった。


「分かりました。

 そのように進めて下さい」

 リ・リラは、不満そうにそう言った。


 とは言え、胸のドキドキは隠せないでいた。


(やれやれ……)

 リ・リラとエリオ以外のメンバーは、同時にそう思いながらも安心したのだった。


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