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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
31.2つの終わりと2つの始まり

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その4

 ばんっ!!


 扉が勢いよく開け放たれた。


 執務室にいた3人は、唖然としていた。


 扉の音に唖然としていた訳ではなく、そこに意気揚々としたオーマがいたからだ。


 控え室に入る前までは、浮かない感じだったのが明らかに一変していた。


 そう、3人が呆れるくらいにだ。


「……」

「……」

「……」

 当然、3人は頭の中が真っ白になっていて、何も発する事が出来なかった。


 そんな中を、オーマは意気揚々と自分の執務机へ向かって歩いて行った。


 それを目で追うしかない3人。


 一応、世界に名だたるルディラン家である。


 が、まあ、実際の所、どこもこんなものなのだろう。


 常にぴっしとしている訳ではなく、時折、こう言った緩い雰囲気にもなる。


 たが、オーマが颯爽としているのに、バンデリックは控え室からトボトボと出てきた。


 そして、遠慮勝ちに扉を閉めた。


 何があったかは、詳しくは分からない。


 ただ、バンデリックがオーマにあてられた事は十分に読み取っていた。


(気の毒に……)

 ヤーデンは、残念そうにバンデリックを見た。


(……)

 ヘンデリックは、何とも言えない表情でいて、特に感想というものを持てなかった。


 弟に対しては、同情心はなかった。


 これも試練だと感じていたからだ。


 とは言え、これはどういう事なのだろうという疑問は持っていた。


 そして、サラサの方であるが、不思議そうに首を傾げていた。


 オーマが何をしたかは想像できなかった。


 だが、父親に対する絶対的な信頼感があるので、バンデリックの為になる事をしたのだろうと確信していた。


 なので、オーマが執務机に着いた頃には、次第に笑顔に変わっていった。


 オーマは、再び執務机を挟んでサラサの方に立ち、向きなると笑顔を向けた。


「サラサ、今回の事は本当におめでとうと言いたい」

 オーマは、本当にうれしそうにそう言った。


「それでは、結婚の許可を頂けるのですね」

 サラサは、珍しく感激したように言った。


「許可も何も、2人が決めた事だ。

 心から応援させてもらうよ」

 オーマは、そう言うとニコリとした。


 父親デレである。


「ありがとうございます、御父様」

 サラサは、本当にうれしそうだった。


 ……。


 ここで、しばらく沈黙が訪れた。


 何故って?


 当の本人が気付いていなかったからだ。


 その本人に、あれ?という感じで視線が注がれたのは言うまでもなかった。


「!!!」

 あてられてヘロヘロになっていたバンデリックは、視線を向けられて気が付いた。


「あ、ありがとうございます、閣下」

 バンデリックは、慌ててそう言って、頭を下げた。


「まあ、そう他人行儀になるな。

 これからは、親子になるのだから」

 オーマは笑顔でそう言ったが、バンデリックにとっては、それは単なるプレッシャーにしかならなかった。


「……」

 と言う事で、バンデリックは何も言えなくなってしまった。


 ヤーデンとヘンデリックは、ここでようやく気が付いたのだった。


 自分の考えの浅さに辟易しながら、互いに顔を見合わせた。


 そして、お互い、それを確認したのだった。


(やれやれ……)

 ヤーデンは、何とも言えない気分だった。。


 とは言え、理解は出来ていた。


 オーマが、バンデリックを幼少のころからサラサのそばに置いていたのは、こうなる事を想定していた。


 それが適ったのだから、ある意味、安心しているのだろうという認識である。


 兄であるヘンデリックは、ある意味対応に困っているかも知れない。


 だが、それはそれであり、バンデリック以上に困っているとは言えないだろう。


 何せ、ヘンデリックの場合は、副官としての立場を保ってれば、問題がないからだ。


 そう考えると、オーマに当てられて、回復していないバンデリックは、現在、孤立無援というか、誰にも理解されないという立場なのかもしれない。


 なので、何故か、この場の主役の1人の筈のバンデリックが、ひとりポツンとしている感が否めなかった。


「と言う事で、早速、式とかの段取りを付けたいと思うのだが……」

 オーマは、バンデリックを他所に、一気に話を進めようとした。


「そうですな、まずは……」

 それに乗っかるように、ヤーデンも同調した。


 それを見ていたサラサは、うれしそうにしていた。


 そして、バンデリックは、益々ポツンとしていた。


「お待ちください、両閣下」

 ヘンデリックは、慌ててそう口を挟んだ。


 と同時に、やれやれと言った表情を浮かべた。


 急に、制止されたので、3人は驚いた表情になった。


「お忘れですか?

 今回、伯爵閣下が王都にいらっしゃったのは、陛下から功績を認められた事によるものだという事を」

 ヘンデリックは副官らしく、アホな連中に現状を説明した。


「あっ」

「ああ!」

「……」

 3人は三者三様ではあるが、その事を思い出したようだった。


「……」

 ただバンデリックは、そのまま黙っていただけだった。


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