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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
29.第2次スワン島沖海戦

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その14

 さて、リンク艦隊である。


 目まぐるしく視点が変わっているが、上手く記述できているのだろうか?


 かなり不安である。


「総旗艦艦隊、転進しました」

 ラルグが、リンクにそう報告した。


 まあ、視認できているので、見ていれば、分かる事ではある。


 そして、それを見たリンクとヴェルスはニヤリとした。


 どうやら、エリオの意図が分かったからだ。


 と同時に、2人は感嘆の表情を浮かべていた。


「なんとまあ、見事ですな……」

 ヴェルスは、そう言う他ないといった感じで口を開いた。


「ああ、なんでこんな芸当が出来るのだろうか……」

 リンクもヴェルスに賛同していた。


「閣下、ご命令を」

 ラルグの方も分かってはいたが、報告をしている分、客観的に考えられるのだろう。


 次の行動を促してきた。


「全艦、進路そのまま。

 砲撃準備」

 リンクは、命令を下した。


 ラルグは敬礼してから、伝令係にその旨を伝えるように指示を出した。


「しかし、安心しました。

 ちゃんと我が艦隊も頼りにしてくれているのですな」

 ヴェルスは、苦笑いしながらそう言った。


「……」

 リンクは、何も言わずに同調するように苦笑いした。


 リンク艦隊の進路はこのまま行くと、ワルデスク艦隊と正面衝突する。


 未来予想図にするとこんな感じである。


  LCLC

 ECW


 F


 EC:エリオ艦隊、LC:リンク艦隊、W:ワルデスク艦隊、F:フランデブルグ艦隊


 エリオ艦隊が側面攻撃を実行している内に、リンク艦隊は正面から激突しつつ、左翼を伸ばしていけば、ワルデスク艦隊を半包囲下に置けるという作戦である。


 やはり、頭がおかしいと思わざるを得ない。


 ワルデスク艦隊が突っかかってきたのは、衝撃的な事実であった。


 あ、まあ、エリオにとってだけだが……。


 更に言えば、それは、自分が煽ったという自覚がないだけの衝撃なだけなのだが……。


 これだと、エリオがまるでアホな子のように見えるが、事実から見るとそれは間違いが無いだろう。


 ただ、そのアホな子はこう言う状況に陥っても、こうやって切り返してしまう。


 しかも、未来予想図のとおり、タイミングが絶妙である。


 そう始末の悪い事に、ないだろうと思いながらも予測と対処法を準備していたのである。


 そして、その通りに、敵艦隊の集結前に、味方と合流して、半包囲下に置こうとしていた。


 実際、現在のワルデスク艦隊は止まるに止まれない状況である。


 なので、未来予想図は完成するのは間違いが無いだろう。


 事がここに至って、その異常性を改めて感じざるを得ないリンクであった。


 勿論、アホな子とは思っていないだろう、たぶん……。


「閣下、敵旗艦の撃沈を確認しました」

 ラルグは、極めて事務的な口調でそう報告した。


「へぇ?」

「へぇ?」

 リンクとヴェルスは、同時に何とも言えない声を上げて、何とも言えない表情になった。


 報告は信じられなかったが、何を言っているかは認識した。


 だが、さあ、これから戦いが始まるという時に、終わってしまったという感が芽生えてしまったからだ。


「脆すぎますな……」

 ヴェルスは、何とか感想を絞り出したといった感じだった。


 それを聞いたリンクは一気に現実に引き戻された。


「全艦、進路そのまま、砲撃準備を続行。

 戦闘はまだ続いているぞ!」

 リンクは、慌てて艦隊の士気が落ちないように、気を配った。


「了解しました。

 命令を徹底させます」

 ラルグは、リンクの意図を察してそう言った。


 そして、改めて命令をの徹底を図った。


 こうした配慮により、緩もうとした空気がそのまま緊張感を保ったようだ。


「今、言うべき事ではないが、こうした状況を見ると、ハイゼル侯ルドリフは、良将だったのだな。

 総司令官閣下と何度も戦火を交えられたしな……」

 リンクは、急に変な事をしみじみと言った。


「はぁ……、まあ、そう言う事になりますな」

 ヴェルスは言っている事は分かるが、どうしてこのタイミングでと言った表情だった。


 リンクにしてみれば、エリオの異常さを少しでも理解する為の行為であった。


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