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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
29.第2次スワン島沖海戦

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その7

「閣下、シーサク艦隊、停戦に応じないどころか、加速してきています」

 シャルスは、努めて抑揚無くそうと努力して、報告してきた。


(やっぱりか……)

 それを和やかにマイルスターは見ていた。


「……」

 エリオは、唖然としていた。


 この状況を三者三様というらしい。


 でも、まあ、それはそれとして、敵艦隊の攻撃の意思は明らかである。


 ならば、迎撃態勢を整えればいい筈である。


 だけど、今、ここで、戦う合理性は全くの皆無である。


 少なくとも、エリオはそう思っていた。


「閣下、迎撃なさいますか?離脱なさいますか?」

 マイルスターは、黙ってしまったエリオに対して結論を促した。


 呆れながらもいつも通り和やかな表情であった。


「あ、いや、もう一度、警告。

 『停戦しない場合、攻撃する』と」

 エリオは、我に返ってそう命令を下した。


 あっ、そうしちゃうの……。


 エリオ以外の艦隊の誰もがそう感じただろう。


 4隻でここにいるのだけでも、挑発と受け取られても仕方がない。


 その上で、停戦命令を出した。


 そして、これを完全に挑発だとして、敵艦隊はいきった。


 そう、もう既にダメ押しをしたのである。


 その上、更にそれ以上の事をするのかという感じで、皆の意見は一致していた。


 とは言え、シャルスは反論せずに、エリオの命令を実行するべく動いた。


 今更、もう状況は変えられないし、ならば、何をしても変わらないだろうという判断なのだろう。


 先程の停船指示命令の信号と同様に、敵艦隊に信号を送った。


 ドッカ~ン!バッシャーン!!


 敵からの返礼であった。


「敵艦隊、停戦命令に対し、砲撃で答えてきました」

 シャルスは、敵艦隊からの砲撃をそう報告した。


 当然、報告されなくても砲撃音と水飛沫が上がったので、分かっている事である。


「……」

 流石のマイルスターも呆れて物を言うのを忘れてしまった。


「……」

 エリオの方は、呆然としてしまった。


 間抜けすぎる。


 とは言え、そこは流石の稀代の策略家。


 きちんと敵艦隊の距離を測ってはいた。


 なので、有効射程外からの砲撃であり、危険が及ぶ事はなかった。


 だが、これで完全に敵を逆上させてしまったようだ。


 煽りの天才、ここに面目躍如という所だった。


「閣下、事ここに至っては致し方ありません。

 反撃すべきでしょう」

 マイルスターは、和やかにそう進言した。


 4vs24。


 敵の数は6倍。


 どう考えても圧倒的な数的不利だった。


 だが、エリオ艦隊の面々は誰もが至って普通だった。


 そして、エリオ以外の面々は既に戦闘態勢になっていた。


 これは、敵を殲滅する必要がない事と、煽られた為か、明らかな射程外からの砲撃。


 既に、敵の実力を見切っていたから普通に対応できていた。


 まあ、間抜けな話なのだが、『漆黒の闇』という戦争の天災・・がいるのも多少の影響はあった。


「う~ん……」

 エリオは、まだ納得はしていなかった。


 だが、残念な事に既に戦闘モードに切り替わっていた。


 それが、マイルスターやシャルスには手に取るように分かっていた。


 なので、命令を待った。


 ……。


 あれ?


 命令がないので、沈黙が流れてしまった。


 ドッカ~ン!バッシャーン!!


 そうこうしている内に、また敵からの砲撃があった。


 敵は近付いているので、先程より近い位置に砲弾は落ちていた。


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