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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
29.第2次スワン島沖海戦

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その5

 さて、周辺海域にいたが、物語には出てこなかったリンクである。


 忘れていた訳ではない。


 物語に対する寄与が少なかったので、ここでの登場になっただけである。


 そして、話はサラサ艦隊が完全に離脱した後の話である。


「艦隊の速度を上げよ。

 総司令官閣下との合流を急ぐぞ」

 西方艦隊の司令官であるリンクは、いきなりの命令を下した。


 現在、リンク艦隊は東へと向かっていた。


 エリオとの合流を果たす為である。


 スワン島沖からは、バルディオン王国、シーサク王国のそれぞれの艦隊がいなくなった。


 なので、任務は終了したかに見えた。


 エリオからも、撤収の準備命令が来ていた。


 副官のウェルスは、リンクの命令を実行するべく、伝令係に指示を出していた。


 その様子をラルグは見ていた。


「閣下、何か、ご懸念でも?」

 ラルグは命令は命令で受けた後、尋ねた。


「総司令官閣下は、どうにも戦いを呼び込む嫌いがあるからな。

 念の為だよ」

 リンクは、苦笑しているような心配しているような複雑な表情で答えた。


 傍から見ると、笑える話なのかもしれない。


 だが、当事者になってみれば、笑ってはいられない。


 ただ、あのエリオである。


 戦いを呼び込んだからと言って、負けるとは思えないという絶対的な信頼感みたいな物もある。


 本人自体、何故そうなるのかが分からないでいるのは確かである。


 だが、事が起きてしまった後は、理由なんてどうでもいいのである。


 そうなった時に、どう言った行動をとるのかが重要である。


 そして、始末が悪い事に、『漆黒の闇』は闇深く対応してしまう。


 その辺を見てきているリンクである。


 という事は、要するに、今のリンクは複雑な心境に陥るのであった。


「成る程……」

 ラルグはラルグで、司令官の言い草は尤もだと思っていた。


 複雑な心境までは理解できたかは別だが……。


 ただ興味深い事は、脳天気な1人以外は、誰もが次の戦いを正確に予見していた事である。


 本当に闇深い事である。


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