その12
もう一人の迷将である。
こちらの方は、向こうよりはマシと思いたい。
なので、話としては面白いからと言って、迷将となっている訳ではなくはない筈である。
そのサラサであるが、結婚の報告を国王にするべく王都へやって来ていた。
短期間に何度も王都を訪れるのは、サラサにとって異例な事だった。
しかしながら、サラサは海軍中将である。
中将と言えば、6侯爵の内の4侯爵と同じ階級になる。
つまり、サラサは伯爵ながら階級では同格になっていた。
そして、そういう立場になっていたので、国の重鎮として節目毎に、前より頻繁に王都を訪れる必要が生じていた。
サラサは王都に着くと、直ぐに国王への挨拶に向かった。
この時、准将に昇進していたバンデリックも同行し、同席していた。
これも、同席できる地位に就いた事によるものである。
国王は、2人を大いに歓迎し、2人の結婚を大いに祝福した。
この国王の場合、儀礼的にこう言う事は出来ない。
つまり、心の底から2人を祝福していた。
バンデリックは、バシバシと国王に肩を叩かれていた。
(気さくな御方とは聞いていたが、聞くと接するのとは大違いだな……)
バンデリックは、何とも言えない笑顔でそう考えて、国王の攻撃を耐えていた。
意外と、パンチ力はあるようだ。
体重のお陰だろう。
だが、サラサの腰の入ったパンチに比べるべくもなかった。
なので、意外と余裕だった。
国王は、叩き疲れたのか、満足したのか、分からないが、ようやく王座に戻った。
そして、どかっと腰を下ろして、再び2人の方に向き直った。
「ついでに寄って貰ったので、つい、嬉しくなってしまった」
国王は、ニコニコしながらそう言った。
「陛下、決してそのような事は……」
サラサは、慌てて国王の言葉を否定しようとした。
「あっ、いや、そのように言ってはいかんな」
国王は、サラサの言葉を右手で遮った。
「はぁ……」
サラサは、勝手が違うと言った感じだった。
そんな珍しいサラサを見て、バンデリックは思わず笑顔になるのだった。
が、直ぐに怯んだ。
心の目で睨まれたからだ。
夫婦になったとは言え、上下関係は健在らしい。
と言うか、対等な関係はまあ、希であるかも知れない。
その辺は、人間科学により追々と明らかになっていくだろう。
「まあ、兎に角、今回の婚姻は非常にめでたい。
改めて、おめでとうと言わせて貰うよ」
国王は、真顔になってそう言った。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
サラサとバンデリックは、ハモるように言った。
それに、国王は嬉しそうに頷いていた。
やはり、この辺が、この国王が敬愛される所以なのだろう。
「そして、貴公らには、これから行って貰いたい所がある」
国王は、再び真顔になってそう言った。
……。
サラサとバンデリックは、取りあえず無言で国王の次の言葉を待った。
「国防会議に参加して貰いたい」
国王から思わぬ言葉が聞かされた。
「!!!」
「!!!」
サラサとバンデリックは、思わず互いの顔を見合わせた。
「国防会議は、確かに6侯のみが出席を許されている。
しかし、貴公は中将になった。
十分に参加資格はあると考えている」
国王は、いつもの気さくな感じだった。




