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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
32.2人の迷将

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その12

 もう一人の迷将である。


 こちらの方は、向こうよりはマシと思いたい。


 なので、話としては面白いからと言って、迷将となっている訳ではなくはない筈である。


 そのサラサであるが、結婚の報告を国王にするべく王都へやって来ていた。


 短期間に何度も王都を訪れるのは、サラサにとって異例な事だった。


 しかしながら、サラサは海軍中将である。


 中将と言えば、6侯爵の内の4侯爵と同じ階級になる。


 つまり、サラサは伯爵ながら階級では同格になっていた。


 そして、そういう立場になっていたので、国の重鎮として節目毎に、前より頻繁に王都を訪れる必要が生じていた。


 サラサは王都に着くと、直ぐに国王への挨拶に向かった。


 この時、准将に昇進していたバンデリックも同行し、同席していた。


 これも、同席できる地位に就いた事によるものである。


 国王は、2人を大いに歓迎し、2人の結婚を大いに祝福した。


 この国王の場合、儀礼的にこう言う事は出来ない。


 つまり、心の底から2人を祝福していた。


 バンデリックは、バシバシと国王に肩を叩かれていた。


(気さくな御方とは聞いていたが、聞くと接するのとは大違いだな……)

 バンデリックは、何とも言えない笑顔でそう考えて、国王の攻撃を耐えていた。


 意外と、パンチ力はあるようだ。


 体重のお陰だろう。


 だが、サラサの腰の入ったパンチに比べるべくもなかった。


 なので、意外と余裕だった。


 国王は、叩き疲れたのか、満足したのか、分からないが、ようやく王座に戻った。


 そして、どかっと腰を下ろして、再び2人の方に向き直った。


「ついでに寄って貰ったので、つい、嬉しくなってしまった」

 国王は、ニコニコしながらそう言った。


「陛下、決してそのような事は……」

 サラサは、慌てて国王の言葉を否定しようとした。


「あっ、いや、そのように言ってはいかんな」

 国王は、サラサの言葉を右手で遮った。


「はぁ……」

 サラサは、勝手が違うと言った感じだった。


 そんな珍しいサラサを見て、バンデリックは思わず笑顔になるのだった。


 が、直ぐに怯んだ。


 心の目で睨まれたからだ。


 夫婦になったとは言え、上下関係は健在らしい。


 と言うか、対等な関係はまあ、希であるかも知れない。


 その辺は、人間科学により追々と明らかになっていくだろう。


「まあ、兎に角、今回の婚姻は非常にめでたい。

 改めて、おめでとうと言わせて貰うよ」

 国王は、真顔になってそう言った。


「ありがとうございます」

「ありがとうございます」

 サラサとバンデリックは、ハモるように言った。


 それに、国王は嬉しそうに頷いていた。


 やはり、この辺が、この国王が敬愛される所以なのだろう。


「そして、貴公らには、これから行って貰いたい所がある」

 国王は、再び真顔になってそう言った。


 ……。


 サラサとバンデリックは、取りあえず無言で国王の次の言葉を待った。


「国防会議に参加して貰いたい」

 国王から思わぬ言葉が聞かされた。


「!!!」

「!!!」

 サラサとバンデリックは、思わず互いの顔を見合わせた。


「国防会議は、確かに6侯のみが出席を許されている。

 しかし、貴公は中将になった。

 十分に参加資格はあると考えている」

 国王は、いつもの気さくな感じだった。


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