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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
32.2人の迷将

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その11

 !!!


 エリオの言葉は、当然、マイルスターを始め、一同に緊張が走った。


 思わぬ展開になったからだ。


「ん?」

 エリオは鈍いとは言え、一同の思わぬ反応にポカーンとなった。


 一応、稀代の策略家である。


 戦略の話で思った通りの反応が得られなかった場合は流石におかしいと感じる。


 ……。


 だが、追加の説明がないので、いつもの間抜けな沈黙が訪れた。


 エリオとしては、明白な事実なので説明のしようがないのかも知れない。


「ええっと、殿下……、どういう事でしょうか?」

 説明がないので、マイルスターが説明を促した。


「どういう事って、どういう事?」

 エリオが逆に質問した。


 エリオには何が問題なのかが良く分かってないからだ。


 何か、微妙な反応をみんながしている事は分かっていたのだが……。


「あ、だから、連合が何故敵対勢力なのでしょうか?」

 マイルスターは、やれやれ感満載で尋ねてきた。


 話をややこしくしている本人に対しての抗議の意味もあった。


「何故って、この前来た2人は、端っから喧嘩腰だったじゃないか!」

 エリオは、びっくりしてそう言った。


「いっ!」

 びっくりしたのは、マイルスターも同じだった。


 だが、見ているものが違っていた。


 なので、マイルスターは、更に追加の説明を求めようとした。


「で……」

 マイルスターは、エリオに呼び掛けようとしたが止めた。


(最初から塩対応だったのは、面倒臭かったという訳ではなかったのか?

 あっ、いや、面倒臭かったのは事実だろうが、それは、敵と認識していたから?)

 マイルスターは、エリオの一連の行動を思い出しながら、納得してしまった。


 単純に、商売敵だからという事なのだろう。


「恐らく、連合は我が国に対して、最高レベルの警戒態勢を敷いてくるだろう」

 エリオはマイルスターが納得したので、そう締めくくった。


「それでは、我が国は孤立無援という事ですかな」

 ライヒ子爵が、追い打ちを掛けるようにそう口にした。


「いえ、閣下、それは違うと思います」

 マイルスターは気を取り直すように、和やかに反論した。


「どういう事かな?総参謀長」

 ライヒ子爵は、怪訝そうな表情でそう聞いた。


「教会があります」

 マイルスターは、そう断言した。


 とは言え、これはおかしなものである。


 先程まで心配していた事と違っていたからだ。


「ふっ!」

 ライヒ子爵は、思わず吹き出してしまった。


 リーラン王国は西大陸の国では、一番スワン教徒が少なかったからだ。


 と同時に、それは納得したという意味でもあった。


「成る程、殿下の今までの行動はそう言う事でしたか!」

 ライヒ子爵は、大いに感心した。


「まあ、敵対しない方がいい勢力ではあるから、自然にそうなっただけですよ」

 エリオは、そう言った。


 宗教など、合理性の塊のエリオにとっては、理解できない行動かも知れない。


 だが、融和を重んじるスワン教である。


 ある意味、それに敵対しない、融和的に振る舞う事は合理的であるのだった。


「ラロスゼンロの話が出てきたので伺いますが、バルディオン王国側はどう対処なさるのでしょうか?」

 今度は、シャルスの攻撃だった。


 とは言え、これは話が被るので、次節に譲りたいと思う。


 しかしまあ、取り巻きはエリオをサボらせない為に必死であった。


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