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シックスpieceチーズ  作者: ウィザード・T
第十章 チーズは何を救う? 前編 決戦

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ブラックチーズの脅威

 全身が刃物のような魔物。




 それこそ、何百本単位の剣が全て肉体になった恐ろしいバケモノ。




「どうだ、強いだろう。ノージ……俺に、俺に、ひざまずけ…!」




 なのに、声は間違いなくアックーだ。




「おいアックー!」

「聞こえていないのか、とっとと俺に服従し、二度と逆らわないと誓え!」

「そんな事……!」


 単純に、今のアックーは危険すぎる。あんな触れる物皆傷つけるような存在を歓迎する人間などどこにもいない。


「ならば、ならばぁ!!」



 アックーが、刃を振りかざしながら俺に向かって来た!



「オユキ様はチーズを!」




 で、俺は逃げるしかない!




 いや、逃げると言っても、もう方向は前線しかない!


(後ろを向けばリンモウ村を壊す気か……!)

 できれば横に逃げたい。でも東に行けばオカマゴ村が狙われる。じゃあ西かと言いたいが、アックーが西側から来ている以上それもできない。

 幸い、スピードはないようだ。

 でもあんな攻撃を受ければそれこそ一撃で死ぬ。




「全軍突撃!」




 そして、この俺の逃走をきっかけに戦いは本当に始まってしまった。










「うああああああ!」

「キミハラ様のためにぃ!」


 騎士が農民たちに斬りかかる。目を血走らせ、何が何でも命を奪ってやるとばかりに。



「キミカッタ!」

「ようやく覚悟を決めた所でおせえんだよ!」



 兄弟も戦う。



「どうかこの戦いの終わりを……!」

「ただのメイドが何を勘違いしてるのよ!」



 そして、姉妹も。




 この場で俺にできる事は何か……




「これを!」


 俺は逃げながらもチーズを作る。言うまでもなく、タフネスチーズだ。後は正直役に立つか立たないかわからない。

「馬鹿め!追いつかれたらしまいのくせに!」

「追いつかれてなるか!」

 俺自身、自分で出したチーズを食べながら走っている。重ねて食べる事で効果が重なる事はわかっているが、どこまで行くかはわからない。それでも何もしないよりはずっといいはずだ。

「逃げるのか、お前逃げるのか!」

「アックーとやり合う理由がない!」

「俺にはあるんだよ!俺には!」

 そりゃ戦いがお互いの都合に合わせて起きる訳はない。とは言えこのアックーと戦う理由が俺にない事は、俺よりアックーの方が良くわかっているはずだ。

「お前は弱いから強い奴と戦うなって言ってただろ!」

「なんでそんな事お前覚えてるんだよ!」

「俺はそのおかげで死なずに済んだんだ!」

 

 逃げる事は恥でも何でもない。相手の隙を突く事もまたしかり。

 それがアックーの教えだった。

 その教えのおかげで今の今まで生きて来られた。


「だから俺は逃げる!」

「てめえ…!じゃあ俺の勝ちでいいんだな!」

「それはいいが、みんなを傷つけるのは駄目だ!」

「じゃあお前が死ねぇ!」

「殺してみろぉ!」

 口だけであおりながら、俺は逃げる。みんなのために。




「アックーを引き付けている隙に敵を討て!」

「聖女様が見ているぞぉ!」


 リンモウ村とオカマゴ村の皆さん、コトシさんたち冒険者、そしてキミハラ様やミナレさんも戦っている。


「黙れ!当主様に逆らうのか!」

「当主様とか言うが、当主様はどうした!」

「今の当主様はキミカッタ様だ!」

「嘘吐け、キミハラ様の父上が死んだとかって話は聞いてねえぞ!」

 農民さんの鎌が騎士の攻撃を弾き飛ばす。チーズのおかげかもしれないがかなり力が違う。まるで農民と騎士が逆転している感じだ。

「ただ病気だ、それだけの事だぁ!」

「何をぉ!」

 だが騎士は素手でも農民に襲い掛かり、鎌で手首を斬られてもお構いなしに向かって来る。実力はともかく忠義心は半端ないみたいだ。

「当主様はハラセキ様の御父上だろうがぁ!まさかそれが気に入らなかったから!」

「馬鹿を言え!それこそ下衆の勘繰りだぁぁ!」


 その言葉を最後に一人の騎士が死ぬ。


 こんな事があちこちで起きている。


 一方で

「死ね!」

「うぐ、ええい!」

 逆に騎士に農民が襲われる構図もある。何とかして助けたいけどできるかどうかわからない。

「何をする!」

「お前こそ何を!」

 オカマゴ村の人に俺の故郷の村人が飛びかかる事もあったが、そっちは簡単に決着がついている。その流れで仲間を助けに行こうとしている。


「危ない!」


 だがその隙を突かれ横から攻撃が来るぞと言わんばかりに村人さんが叫んでいる。

「えっ!」

 そしてその声に釣られるように向きを変えてしまった農民の胸に俺達の故郷の村人が突き出した竹やりが刺さる。

「ああ、ぐっ…!」

「どこを見ている!俺らのギビキの仇!」

 次の一撃を胸に受けてしまい、立ち上がれなくなってしまった。強そうな人だったのに…!

「ああ、おらとした事がぁ!」

 余計な事を言っちまったとばかりにさっき危ないと叫んだ村人さんも斬りかかるが、全く手ごたえがない。



 と言うか、誰もいない所を斬っている!



 どうなっている、まるで同士討ちのようになってるじゃねえか、まずいぞ!



「ちゃんとそこにいるんだ!」

「何だと俺は見てないぞ!」


 いやまずい、これじゃ同士討ちを通り越して仲間割れじゃねえか!







「まさか、分身魔法か!」

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