生誕-2
肌寒さを感じて、目を覚ます。
寝起き特有のぼんやりした頭をなんとか回して、周囲を確認すると、夜の森の中のようであった。
なぜこんな場所にいるのかと考えていると、頭の中で声が聞こえ出した。
【対象者の意識が、戦闘終了時に混濁していたため、再度アナウンス致します。】
【子ゴブリンを2体撃破。経験値を6得ました。】
【子ゴブリンのレベルが1から3に上がりました。】
最初は、幻聴かと思ったが、それにしては、やけにはっきりと聞こえる。
そして、その声を聞いて、意識を失う前のことを思い出した。
まず、2体撃破ということは、あの後、さっきのゴブリンたちを殺したということだろうか。
まぁ、経験値を得てる時点で殺したのだろうとなんとなく理解する。
ラノベを読んでいたおかげだろうか。
というか、異世界最初の殺人?殺ゴブ?を覚えていないというのはどうなんだろう?
気持ち良いことではないだろうから、よかったかな。
あ、まず、ここは地球じゃなくて、異世界だよね?
地球にゴブリンはいないだろうし、僕ゴブリンだし?
あ、さっきの声も、異世界的だよね。
世界の声的なやつだろうか?
ラノベで偶にある、専属サポーターみたいなものだったら、良いんだけど。
まぁ、いいか、と思いながら、自分ってこんなさっぱりした性格だったかと、ぼんやりとした頭で考える。
そして、辺りを再度見回して、周囲の木々を眺める。
なんとなく、植生が日本とは違うような気がしなくもない。
海外に出たことはないので、植生だけでは、異世界とは断言できないけど。
まぁ、ゴブリンだし、地球でも、異世界でも変わらない気もする。
そんな益があるような、ないようなことを、未だはっきりしない頭で考えていると、どこからか獣の吠え声が聞こえてくる。
そして、今更ながら、一人で森にいることの、危機感と恐怖を感じて、目の前の木の洞へと慌てながらも、出来るだけ音を立てないように駆け込む。
そして、効果があるのか分からないが、ゴブリンって臭いそうという偏見の元、体に土を塗りたくり、木の中でしゃがりこむ。
足の震えを抑えるように、足を腕で囲み、ちょうど体育座りの体勢を取る。
その体勢のまま、数時間か、それとも未だ数分しか経っていないのかさえ分からないまま、息を殺して、恐怖で震えていると、僕はいつ間にか眠りに落ちてしまった。
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……鼻先のむず痒さを感じて目を覚ます。
そして、反射的に鼻先にいる何かを手で払う。
寝ぼけ眼で、手で払った方を見ると、一気に目が醒めると同時に、小さく悲鳴が口から漏れる。
なんとそこにいたのは、緑を基調とした毒々しい色合いの蜘蛛だったのだ。
そして、最悪なことに、昨日の子ゴブリンの時にも感じた飢餓感と殺戮衝動が、僕から制御を奪って、素早く手を動かし、蜘蛛を叩き潰した。
【リトルポイズンスパイダーの子供を撃破。経験値を4得ました。】
叩き潰した手の気持ち悪い感触に、思わず顔を顰めるながら、頭に響く声を聞く。
経験値4?昨日のゴブリン一体より多くない?
って、ポイズン!?
慌てて、手に付いた液体を振り払い、地面に擦り付ける。
しばらくして、やっと正気に戻り、木の洞の中で出来るだけ蜘蛛から離れてから、ゆっくり深呼吸する。
…ふぅ。今、この状況でできる事はやった。たぶん。
だから、これ以上焦ってもしょうがないかな。
子供だったから、毒が弱かったとかまだ少量しか作れてなかった事を祈ろう。
経験値が子ゴブリンより多かったのが、不安だけど。
もしかしたら、昨日のゴブリン達は瀕死だったから、経験値が少なかったのかもしれないしね。
手に傷口もないし、大丈夫だと思いたいけど、次があったら素手では触らないようにしよう。
カエンタケたけだっけ?猛毒のキノコは触るだけでも危ないと言うしね。
いや、毒キノコと毒蜘蛛は違うか?
まぁ、触らないに越したことはないか。
一段落すると、また経験値のことが頭に浮かんだ。
あー、結局、経験値4というのはどういう事なんだろうなー。
子ゴブリンが弱いのか、リトルポイズンスパイダーが強いのか。
もしかして、自分と同種の魔物からは、貰える経験値が低いのか?
それとも、さっき思い付いた瀕死ってのが、関係してるのかな?
ってこんなこと考えても仕方ないか。
情報も少ないし、今まで読んできたラノベの知識と同じだとは限らないし。
この世界では、魔物の中でゴブリンが一番強いと良いなー。
…まぁ、ありえないかな……。




