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7.獣人がモフモフでないなんて詐欺だ!

今日は、魔王様に執務室に来るよう言われた。

そんなわけで、今は執務室にいる。

「ところで、サクラ。元の世界には戻れるのか?」

「戻れねーです」

「そのわりには、アッサリしてるな」

「元の世界に戻れると言ってる時の説明がウソ臭かった」

「どのような?」

「『魔王を倒せば、元の世界に戻れる』とかなんとか」

「もう一人は信じたのか?」

「信じまくりました。それに、元の世界の娯楽小説の異世界から戻れない系小説の定番だったので。それに、魔王様を倒して、元の世界に戻れる方法の知識を持つ奴が他にいるのかwwwとか魔王様を殺したら、魔国の住人に嬲り殺しにされるんじゃねえのwwwとか思ったわけですよ」

「それは普通に思うな」

「『魔王を倒せば、元の世界に戻れる』って言ってる時点で、『元の世界に戻れないよ★』と自白してるも同じだと思う」

「人間国は、馬鹿ばっかなのか。傾国の美女の方は無事だと思うか?」

「無事じゃねえですか、あの人。男を侍らし自分の思い通りにするしか能がない人ですから」

「何もできない人間がこの世界で生き抜くためには十分な能力だな」

そんな時に、扉からノックの音がした。その後に、ラフレが執務室に入ってきた。

あの、ラフレが、扉をノックしただと!?

「父上!?扉をノックするなんて何事ですか!?もしや、どこか頭を打ったのですか!?」

魔王様は、混乱したようだ。

「気まぐれで扉をノックしただけでえらい言われようじゃな。次からは、絶対に絶対にせんぞ!!!」

そう言いたくなる魔王様の気持ちが分かるので、私はラフレから思いっきり視線を逸らしていた。

「サクラ、あからさまに視線を逸らすな。ああ、そうじゃ、息子よ。獣国の王が、決闘を申し込みに来たぞ。だから、決闘を受ける」

「はぁ、分かりました。勝手にしてください」

「私、ついていきたい」

「そうだな。もとより、そのつもりじゃ」

「そんなに獣人に興味があるのか?」

「見てみたいじゃないですか」

「では、行くぞ。サクラ」


王城の門の前についた。

目の前にいる獣人は、モフモフじゃなかった。頭に耳が生えてるだけだった。もう一度言う、頭に耳が生えてるだけだった。大事なことなので二度言いました。えっ?獣人って、モフモフじゃないの?ウソだろ!ウソだと言ってくれ!私は、思わずその場に崩れ落ちた。崩れ落ちずにはいられなかった。

「獣人って、モフモフじゃないのかよー」

泣き崩れずにはいられなかった。モフモフを期待していた身としてはとても辛かった。この世界に、神はいないのだろうか?

「モフモフとはなんじゃ?」

私は、涙をぬぐい元の世界の『動物図鑑~哺乳類編~』を取出し、モフモフ動物のページを見せた。

「これが、サクラの住んでいる世界のモフモフとやらか。可愛らしいの」

「ワシにもその本を貸してくれ」

ラフレは、獣王にその本を手渡した。獣王はその本を手に取ると、パラパラとめくりとあるページで手を止めた。

「これは、ご先祖様の絵姿。そこの娘、この本を譲ってくれないか?」

「コピー本だからいいですよ」

「そうか、感謝する。改めて魔国の王よ、決闘を申し込む」

「イヤ、儂はの魔王じゃないぞ。の魔王は息子だ」

「なんだと!?どういうことだ?」

「それは、ある晴れた日のことじゃった。儂は散歩中に人間国の悪辣卑劣な罠により、本化の呪いを受け異世界に行った。そして、この娘サクラが、この世界の巻込まれ召喚された際にこの世界、この国に戻れたというわけじゃ」

「悪辣卑劣な罠とは?」

「魔国と人間国の境界線があるじゃろ」

「ああ」

「その境界線上に、人間国特産のお菓子『クッキー』と『マドレーヌ』が置いてあったのじゃ。儂は周囲に誰もいないかを確認し、全速力でそこに行きお菓子を全部食ってしまった。そのお菓子を食って、意識を失う前に見たのは人間国にいる異世界召喚された少女の取巻きであるメンたちじゃった。おそらく意識を失っている間、メンたちにどこかに運ばれ、人間国の神官長クラスの魔法の使い手に本化呪いをかけられた」

「なんと卑劣なやり方だ!人間国、お菓子の罠を使うとは卑怯なり!」

「そうじゃろ」

「それは、自業自得だー!」

魔王様、来たと同時にツッコミですか。御苦労様です。

「「はぁ」」

怒りを込めた言い方をし、威圧を込めてラフレと獣王は魔王様を睨みつけた。

ビビる魔王様。思ってても、言わなきゃいいのに。

話が進まないので、私は魔王様に話しかける。魔王様は、あからさまにほっとした様子。隠すつもりがないみたい。

「魔王様、どうしたのですか?」

「そうだった。城の真ん中にある広場の準備ができたそうです」


私たちは、城の真ん中の広場に到着した。

と同時に、ラフレと獣王は戦闘開始した。

「最近の魔国は、弱くなっていた。ワシの求める強さはそれではない!ラフレよ、今こそ勝負!」

「フハハハハ!小僧よ、儂に勝てると思うなよ」

「「いざ、尋常に勝負!!」」

ラフレと獣王ライオスは、魔法無しの力だけで戦い始めた。

ローズちゃんも、同様。

私は、聖剣オリハルコンを使い剣技で戦っている。

一人目を倒した時に、周りの状況をみるとかなり城の真ん中の広間の損傷が激しい。既存の結界だけではもたないようだ。私は戦線離脱し、魔力で城の屋上まで行く。私は魔力を放出し、城の真ん中の広間を囲むように結界を作る。

テンションが高くなり、ラフレと獣王は周りを気にせず笑いながら拳で語り合う。危ない奴らにしか見えない。

ローズちゃんは、無双していた。無双していたとしか言いようがない。


「思った以上に、城への損傷がないな。広間だけで済んでる」

「そうね」

私は結界を解き、ラフレたちがいるところに降り立つ。

「もう少し、力加減をしろ。おかげで、私は一人目を倒し終えた後に、結界を張るはめになった」

「かなり精度が高い結界を張ったようだな」

「これくらいは普通」

「それにしても、聖剣オリハルコンを持っていたんだな」

「この間の害虫駆除にも使った」

「箒に変化へんげさせたのか。人間国で、台座から抜けないと有名だったのによく抜けたな」

「冗談半分で試してみたら、簡単に抜けた」

「聖剣オリハルコンを箒にするなー!」

魔王様は、おかしなことを言う。普段から手に持って馴染ませないといけないのに、箒にするなとは無茶ブリだ。普段から誰も気にせずもてるのは箒しかないだろう。

「勇者でもないサクラが、なぜ?」

「きっと、人間国が腐ってたから」

「人間国が腐っているというのは心当たりがあるぞ」

「なんじゃ、ライオス」

「最近、人間国が異世界召喚をしていたというのは聞いただろう。どうやら、いる先日召喚した異世界の少女は、男を侍らせるだけで魔力の発現が全くなかったらしい。そして、近々また異世界召喚をするらしい」

「数百年に一度しかやらないのに、案外無茶するのう」

「まさか、魔国や獣国の侵略か?」

「儂らは、魔国だと思っている。この世界で一番領土が広いからな」

「それは、地図上だからだろ。広いと言っても、危険地域で人が住めぬところも多いだろ」

「そうだ。先日は、龍国もこの国への侵略を試みたからな。無駄な行為だったが。昔からあの国は一番弱いくせに、領土拡大のための侵略行為が好きだからな。そして、いつも失敗する」

「過ぎた欲望は身を滅ぼす」

「どうします?父上」

「そうじゃな...ほっとけ。どうせ、自滅する」

「そうですね」

「それよりも、お前の妻選びが重要だ」

「ワシの息子の婚約者はすでにいる。ラフレの息子はいないのか?」

「情けないことにな。だが、先日やっと妻たちを娶ることを同意させた」

「よかったな」

「ああ。正妻不適格者を妻にしたいとほざきやがったので、残り七人報告書を見て実力者を選ぶつもりじゃ。すでに、二人とオマケ一人は決まっている」

「宰相も連れてきている。ワシら二人も手伝ってやろうか?」

「助かる。サクラ、その間、獣国へのお土産のお菓子を作っておいてくれ」

「わかった」

私は、調理場へ。ラフレとローズちゃんと獣国の王と宰相は、魔王様の妻候補の資料がある執務室に向かった。


今日は、獣国からの客人が泊まった。

翌日には終わるということで、お菓子の生地だけ作って明日焼くことにした。

出発に間に合うようにお菓子を焼き冷まし終えて、獣国の人に渡した。

無事に、魔王様の妻たちを選び終えたようだ。その日のうちに、妻になる人たちにその知らせを届けたようだ。

妻たちのうち、問題のアイシアさんに関わらないよう魔王様以外のみんなから釘を刺された。

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