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第1話「これが僕のパーティです(助けてください)」

 ギルドの受付窓口は、いつも通りの喧噪に包まれていた。


「アルト・レイス様。勇者認定、おめでとうございます!!」


 紫の髪の受付嬢——ミラベル・ヴァレンタインが、完璧な微笑みで書類を差し出した。


「ありがとうございます。……それで、パーティメンバーは?」

「もうお集まりですよ」


 振り返った瞬間、三人の視線がアルトに刺さった。


 一人目。金髪碧眼、純白の修道服。顔だけ見れば女神と見紛う美しさだ。


「光の神に選ばれし勇者よ。聖女セレスティア・フォン・ルミナスが、この身を捧げましょう」


 深々と一礼して、顔を上げた瞬間——眼が、笑っていなかった。


「あなたの傷は、全て私が消します。予防も。事前も。念のためも、全部」

「え、予防って何ですか!?」

「傷になる前に治す、という意味です。今すぐ始めてよろしいですか?」


 二人目。透き通るような白い肌に、整った目鼻立ち。黒髪が顔に少しかかって、思わず見惚れる——と、目の下のクマが視界に入った。笑顔を浮かべているのに、眼だけが実験動物を見るような光をしていた。


「薬師のフラム・アルケイク。よろしく」


 短く、淡々と。それだけなら普通だった。


「あなたの基礎代謝、今測りました。ちょっと低いです。これ飲んでください」

「初対面で何を!?」

「大丈夫です。致死量の手前で止めてあります!」

「致死量って言葉が出た時点で全然大丈夫じゃないんですが!?」


 三人目。小柄で、ぱっちりした大きな目。ゴーグルを額に上げると、覗いた赤髪と相まって絵本から飛び出したみたいに可愛らしい。腰の工具ベルトがなければ、の話だが。


「錬金術師のリプレ・ガジェットっす。よろしくっす、先輩」


 にっ、と笑った顔が、存外あどけなかった。


「その手に持ってるのは?」

「自動回復アーティファクトっす。つけていいっすか」

「いいわけないでしょ!!!!」

「じゃあこっちは?」

「それも嫌です!!!!!」

「これは?」

「全部嫌ですよ!!!!!!!!」


 三人が、同時に一歩踏み出した。


「不潔な傷を作る前に——」

「代謝を上げておけば——」

「アーティファクトさえあれば——」


 アルトは後退しながら、助けを求めてミラベルを振り返った。


「ミラベルさん、このパーティ、絶対おかしいですよね!!!???」

「おかしくありません!」


 ニコリ。


「全員、あなたのことが大好きですよ!!」


 その笑顔に、一ミリも冗談の色がなかった。


 その後十五分間、ギルドホールに響き続けた勇者の悲鳴を、誰も気に留めなかった。


◇◆◇◆◇


「素晴らしい反応ですね」


 ミラベルは手帳の一ページ目を開いた。最初の行にはすでに、今日の日付と三人の名前が書いてあった。


「では——計画を、始めましょうか」


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