女神転生
ある日。異村屋の『小豆バー』を買って、コンビニからもどると、オレの部屋の前に誰かがいた。
格好はJKの制服みたいな白ブラウスに、ブルーチェックのミニスカート。そんな格好で、おもいっきり体育座りしているので、両脚のやわらかな曲線に囲まれた中央部分が、ステキに目にとびこんでくる。
眩しいぜ……。
それよりも……特徴的なのが、既視感あるピンク髪ツイン。
いや……まさか。
「「あ」」
そんな子と眼があった。
「や、カイト……。おひさしぶり」
「!? プラスちゃん? プラスちゃんなの?」やっぱりプラスちゃんだ。
「……うん。その節はいろいろとありがと」伏せ目がちに、そんなことをいう。
「どうしてここにいるの? いったいこんなところで、なにしてるの?」
マヌケすぎる質問だ。どこから聞いていいのか言葉が詰まる。
「たはは……ボク。しんじゃったから異世界転生しちゃった……」
「えええ! 女神が異世界転生!? きいたことねぇよ!」
「うん……。そもそも、フツーしなないからね……。かなり揉めたけどね……」仄暗さをたたえる、オレンジがかったピンクの瞳「そんで、ボク……人間になっちゃったんだ。カイトとおなじ……」女神界で、いろいろあったっぽい。なんとなく想像できる。
「そ、そうなんだ……」
「転生したんだけどさ……。カイト……。ボク、この世界に知り合い誰もいない……」
「そりゃあ、そうだろうけど……」
プラスちゃん。もともと人間じゃないし、女神だし。
……しいて言えば、異世界に送った人間は知ってるかもだけど……もうこの世界の人間じゃないはずだし。
「ボクらはパーティ。家族だってカイトはいった。だからさ……あの……言いにくいんだけど。……泊めてほしいんだ……じつは、いくところない……」
「は? マジで」
「……あ、ゴメン。ボクみたいなの嫌だよね。わかってる。もちろんタダとはいわない。……あのさ、しゃがんで」
「……なにするの?」
「いいから……しゃがんで」
そういうと、オレの背後にまわったプラスちゃん。そのちいさな手が、オレの頭にやさしく触れる。
――ペタッペタペタ。
「冷たッ」「ガマンして……」
オレの頭に、なにかの液体を塗っているようだ……。
「チートアイテム。転生者は1個だけもってこれるから……『女神の毛生え薬』もってきた。これでカイトは……ハゲじゃなくなる。気にしてたみたいだから……」
「うええ!? マジで? ……いや、っうか、そんなだいじなチートをこんなことに使っちゃダメだろ!」
「いいの。カイトがよろこんでくれるなら。これで……いい? 泊めてくれる?」上目遣いでプラスちゃん。
「あたりまえだろ! なに遠慮してんだよ! あたりまえだろそんなの! プラスちゃんよかった! ほんとうによかった!!」
いつのまにか、オレの視界が液体でにじむ。
オレはオレの女神様を、おもいっきり抱きしめた。
いまの空は、あの異世界の空のように、きっと青い。




