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Dirty×dirty!!  作者: D'or
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淵上今日子の憂鬱~起床編~

私立花宮咲乱高等学校。

総生徒人数700人を超えるマンモス校であり、私立でありながら生徒数がこれだけ多くいる実状が、何度か話題に上がった事のある、そこそこ名の知れた高校である。

公立と比べて、私立はあまり人気がないようにも思えてくるのだが、そう考えても700人というのはあまりにも多すぎるものだ。

公立と私立の大きな違いというのを真剣に考えれば、おそらく大きな違いの一つとして、入学や進級時にかかる費用の多さではないであろうか。

公立の高校は、市町村やら国やらが公式的に認定、または許可されて作られたものであるため、支給物を筆頭に援助金など色々な物が宛がわれる。

しかし私立高校などはあくまで個人経営である場合が多いため、資本を含めたすべてが担う人材に託される。

自営業にも似たやり口であるがために、経営を続けていくために多くの金を関係者、いうなれば生徒家族からせしめていくしか方法がない。

その代わりとして、公立にはない細かい授業や、先を行く実験など、いわば効率よく覚えていくのだから人材育成は私立の方に盛り上がることが多いのだ。

より効率がいいのは私立であるというところである。

因みにこの花宮咲乱高校も実情としては例に挙げた独自経営感が大きく、余り裕福ではないというのが現実として挙げられる。

もともと進学校であり、向学と武健を校訓とし大々的に表し続けてきた学校ではあるものの、元々はさほど優れた高校でもなかったらしく、極めて名の知れた高校であったり、今のようなマンモス校ではなかったことが昔の写真やらアルバムで察することが出来る。

例えば50年前のアルバムを教師から借りてみれば、その当時の在校生総人数は半分にも満たない200弱であったり。

200弱でも多いほうかもしれないが、今は700人もいるので、当時の生活がつかめない生徒も多いだろう。

いつの間にか私立であるにも関わらず、公立に進む生徒を大幅に超えるマンモス校となってしまっているのだから。

生々しい話だが、私立であるからこそ経営に関しても予算でひしめき合う状況や、それらが原因で満足に部活道具なども揃えられないほどに貧困極める悲哀な高校というものが、この学校の隠された過去である。

歴史的にも古い建築物であるからして、中身を見れば年季の入った使われふるした廊下が張り巡らされ、終始音のなる戸を引いては閉じて入室する始末、職員室でさえクーラー完備が整っていないなどと周囲からはなんとも侮蔑に近い見られ方をされていた様だが、市長が変わって一転し、全てが全て新しく整えられたのもどうやら最近のことであるらしい。

どこでそんな金を、敷地を大きく占める学校という建築物をリフォームする金があったのか。

昔の200人弱ならいざ知らず、今の生徒人数であるなら掠め取れる金が貯まりに貯まったので行動に移したのでは、という噂も広がりつつあったのだが、考えるに200人であろうと700人であろうと教師に払う給料を差し控えても手元に残る金は少ないだろうし、ただでさえ敷地幅広く活用した大きな学校であるのに、せいぜい掠め取ったはした金で収まるほどリフォーム業界は安くないだろう、という最もらしい意見がどこからか現れたことでこの噂騒動もなくなった。

と言っても続く噂は校長が高利貸しから借用したのでは、という現実的かつ哀れで恐ろしいものだったが。

しかし現実は結構分かりやすい背景に包まれていた。

市長が大きく関係する。

市長が就任してからは学校改革なるものが進められ、経営を少しでも改善させようと、市を起こして多額の支援金を援助したそうだ。

また、より良い人材を育成する事に期待するとし、私立への入学や進級を希望する生徒に世帯制であらゆる援助をし始めたのだ。

その結果が、このマンモス校を築き上げたのだ。

特に駅から近いという理由で選ぶ人間も多く、昔から経営してると言う事はずっと保ってた高校であるという当て字に近いような決められ方で、この高校に入学する生徒が増えたのだ。

校長も、これから増えるであろう入学者に備えてリフォームしたのであれば、狙いは大成功であると言ってもいい。

この『私立』ならぬ『市立』のような待遇でのし上がった高校ではあるが、しかし何もいいことづくしで終わる世の中ではないというのがこの世であるように、すこしずつ校内の内面から崩れ始める。

原因としては、私立に無闇に入学できるようになてしまったがために、入学する意思の無い生徒が、親の勧めでなんとなく入学してしまったりしたことである。

元来、私立は子供が希望し、それから親の受諾が必要であり、家族内で賛成が出て初めて入学に向けての準備が行われるものであえい、このテンポよい順序を過程しなければならないだろう。

しかし、この場合は根元である子供の希望がない。

私立には公立以上の負担がかかるとし、費用がかさばるという点から、公立に行かせる親が割合では多いこの地域ではあったが、私立入学などに支援が行われ始めた結果、手頃に入学できるようになってしまったがためにとりあえず私立でいいものを学ばせようなど、ある親は心魂叩き直すためになどの、少々放棄に近い理由で通わせたりしているのだ。

ただでさえ中学生中に行われる試験で、A,B,Cの評価順に免除額などが決められる取り決めの中で、最悪Cでもいい支援を受けられるし、Bであったなら免除と支援が同時にくるハッピーセット状態。

大半の保護者からすればしてやったりな作戦なのである。

たとえ子供が馬鹿であったとしても、いずれにしろハズレはないという認識をされた結果、私立に通うには似通わない、多種多様な人種に埋め尽くされたのだ。

校内に溢れかえるは大半真面目な生徒に対し、日に日に数を増す風紀の乱れが目立つ輩である。

高校生という一番浮かれる時期であることも加算し、その風紀の乱れを引き起こす輩の率は著しく頭角を現してきている。

元々私立であるために、根はマジメな生徒が多いのは自然の理ではあるのだが、どこからか湧いて出たこの不完全な生徒諸君は、一度増えると仲間を作り出す能力を持っていたのだ。

確かに増えつつある乱れは、元々真面目であったはずの生徒を取り込んで形と成りだけを重視した訳の分からない生徒へと変貌させ、後々は全く責任を取らないなどというなんとも投げやりな高校生活を送る人円が増える花宮咲乱高校。




ともあれ、そんな高校に、淵上今日子は通っていた。




淵上今日子の1日は、寸分違わず決まってこう始まる。

まず、遅刻ギリギリになるかならないかの時間に起床し、急いで顔を洗ってから朝食を掻き込む。

慌ただしく味噌汁を吸い込んだ後、歯を磨いて制服に着替え、手提げバッグを片手に勢いよく自宅のドアノブをひねり込んで外に出る。

するとそこには親友が2人、首を長くして待っている、という一連である。

口々に叩かれる言葉の内容は、遅いだの遅刻するだのという和やかであり、半分冗談どころでない学生ならではの他愛ない言葉ではあるが結局この一連自体が毎朝の日課となっている。

まるで義務付けられたかのような会話をしながら登校路を歩く。

淵上今日子曰く、この朝の会話こそが、唯一の楽しみで唯一の平和な時間であるらしい。

平和な時間で迎えた朝は、この後に続く校内での陰湿な問題によって打ち消されていくのである。



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