ゴタゴタ、そして到着、
シルフィード達は一度集まる、
男盗賊の死体を見て唖然とするものもいれば吐くものもいる、
この冒険者達にとって初めてこのような死体を見たのだろう、
商人はマクスウェルに事情を聞いた、
マクスウェルはありのまま説明する、
商人は驚きシルフィードを見る、
そして、
「化け物・・・」
そう言う、
それを聞いたマクスウェルは商人を睨みつける、
「化け物かの、
でしたらわしも化け物じゃな、
過去に何十人もの盗賊を魔法で殺してきたからのう、」
マクスウェルは睨みつけながら商人に向かってそう言う、
商人は気まずそうに俯く、
マクスウェルの伝説、
それはなぜシルフと知り合いなのかと関係ある、
100年前の魔王討伐にマクスウェルは参加していたのだ、
シルフとはその道中にウインディア領で出会った、
魔王討伐にはマクスウェルの他に何人かいたが今ではマクスウェルだけしかいない、
マクスウェルは生きた伝説の人なのだ、
「どうしたのじゃ?
わしは何十人もの盗賊を殺したのじゃ、
どうして化け物とやばぬ?」
「そ、それはマクスウェル様は人々を守った伝説のお人でして決してそのようなことは・・・」
「ならシルフィード殿もそうじゃ、
シルフィード殿はわしらを守るために盗賊を殺したのじゃ、
感謝はされど化け物呼ばわりをされる筋合いはないのじゃ、」
商人は一度片足を後ずらせてしまうがすぐに思い出したような顔をする、
「しかしこの子は獣人です、
獣人が我々を守って当たり前です、
しかしこの獣人は非常に危険な力を持っています、
ここは今すぐに奴隷にした方がいいはずです!」
商人はシルフィードを獣人と思っているため思いっきり捲したてる、
マクスウェルは気にした様子もなくニヤッと唇を吊り上げる、
「ほう、
シルフィード殿を獣人と見るのかの?」
「何を言っているのですか?
その耳と尻尾が何よりの証拠ではないですか!?」
商人はシルフィードに指をさす、
「ふむ、
シルフィード殿、
もう良いのではないかな?」
マクスウェルはシルフィードにそう言うとシルフィードは小さくうなずき耳と尻尾を消す、
商人は夢でも見ていたかのように目を見開いている、
冒険者達も同じ顔をする、
「さて、
もう一度聴こうかの、
シルフィード殿は獣人かの?」
商人は目の前の事実を受け入れられずにいながらもシルフィードに感謝の言葉を言った、
そのあとは、
一行は女盗賊を縛ってシルフィードの馬車に乗せて次の村に行った、
次の村で衛兵に盗賊の件を報告してすぐに女盗賊は奴隷になった、
女盗賊の首に奴隷の首輪が付けられる、
女盗賊の取り調べはスムーズに終わった、
事情聴取もありのまま答えて行った、
シルフィードは奴隷になった女盗賊を見てマクスウェルに聞いた、
「おじいちゃん、
奴隷っていくらするの?」
マクスウェルは顎に手を当てながら考えて答える、
「そうじゃな、
男は金貨10枚から50枚くらいかの、
女は金貨15枚から60枚かの、
男は力があるから鉱山や土木関係の主人が多いのう、
女は娼館やメイドと言ったところに行くかの、
そのほとんどは男が主人じゃの、
まぁ、わしはそこまで詳しくないからだいたいの金額がそのくらいかの、」
(やっぱ女の奴隷って高いな、
それでも人としての価値が低すぎる、)
幽霊さんはボソリと呟く、
シルフィードは可愛らしく腕組みをして目を瞑り考える、
そして、
「私がその人買っていいかな?」
幽霊さんですら予想しなかった言葉が口に出た、
幽霊さんは何言ってんだと言う顔をしている、
(わけを聞こう、)
幽霊さんはシルフィードに聞いた、
シルフィードは幽霊さんに念話で言う、
(ガルドさんの酒場って私が抜けて大変だと思うの、
だからあの人を買ってガルドさんの酒場のお手伝いをしてもらおうって思ったの、)
シルフィードはそう言い自分の巾着袋の中身を見て見る、
そして
「すいません、」
シルフィードは奴隷商の人に声をかけた、
「どうしました?」
「その人を買います、」
奴隷商は険しい顔をする、
「お嬢さん、
君みたいな子供が買えるようなものじゃないよ、」
「おいくらですか?」
シルフィードの問いに奴隷商は女盗賊を全身見て腕組みをして答える、
「そうですね、
教育前ですし言葉使いが悪い分価値は下がりますが女性らしい体つきですのでそこは評価されます、
だいたい金貨48枚ですね、」
シルフィードは巾着袋のお金を数えだした、
白金貨2枚、
金貨41枚、
銀貨39枚、
銅貨23枚、
十分買えるためシルフィードは白金貨1枚と金貨38枚出す、
奴隷商は目を見開き驚く、
シルフィードのような子供がこのような大金を持っていると思っていなかったのだろう、
「わかりました、
では契約書を書きましょう、」
奴隷商はカバンから1枚の紙を取り出す、
「ここに名前と一滴の血を垂らしてください、
そうすればこの奴隷はあなたのものです、」
シルフィードは名前を書き、
ナイフで自分の指をちょっと刺して血を出して垂らす、
契約書は血が垂れるとうっすらと光る、
「契約完了です、
今後ともご贔屓に、」
奴隷商はそう言って歩き宿に向かっていった、
残されたのはシルフィード一行と奴隷になった女盗賊、
商人と冒険者達は先に宿に向かった、
シルフィードは女に近づく、
女は真っ青な顔をしてシルフィードから逃げようとする、
「動かないで、」
シルフィードがそう言うと女は動かなくなった、
今の言葉が命令と捉えたのだろう、
そんなことを知らないシルフィードは真剣な顔をして女の前の立つ、
女はシルフィードに仲間の盗賊を殺されるところを見ているため真っ青になりながら鼻水と涙を流している、
シルフィードは女の目を見て言う
「今から言うことをちゃんと聞いてて、」
女は頷く、
「あなたは明日から私の故郷に向かってもらいます、
故郷に着いたらその町にある酒場に行ってもらいます、
そこにガルドさんと言うマスターがいますのでガルドさんあてに手紙を渡しますのでそれを渡してください、
そしてそこで働いてください、
それが私のメーレーです、」
女はこくこくと頷く、
シルフィードは慣れないことをしたため口調が丁寧語になっていしまった、
女が頷いたことを確認するとシルフィードはニコッと笑い、
「そてじゃあ宿に行こ!
私と同じ部屋でいいかな?」
さっきまでの真剣な表情とは一転して子供のように無邪気な表情を見せるシルフィードに女は戸惑う、
マクスウェルは女の肩を軽く叩き言う、
「シルフィード殿はまだ子供じゃよ、
どんだけ強くても中身はまだ子供じゃ、
まだ知らないことばかりの子供じゃよ、
夜は一緒に寝てやると良い、」
マクスウェルはシルフィードの後を追って歩き出す、
アレクも小走りで後についていく、
女は唖然としたが急いで後を追った、
そして夜、
シルフィードと女は一緒のベットで横になっている、
方やニコニコしているシルフィード、
方やビクビクしている女、
「お姉さんお名前教えて、」
シルフィードが女に聞く、
「ル、ルルイエ・・・です、」
緊張と恐怖で女、ルルイエは震えている、
さらに敬語が苦手のようだ、
「ルルイエさんだね、
私はシルフィードだよ、」
そんなこと御構い無しにシルフィードは話す、
ルルイエはそんなシルフィードを見て戸惑っている、
これが私の仲間を一瞬で殺したやつなのかと、
目の前には無邪気に話しをする少女にしか見えないと思っている、
ルルイエの気持ちを知らないシルフィードは嬉しそうに話している、
そんなシルフィードを見ていたルルイエも次第に恐怖心や緊張がなくなっていた、
シルフィードが話し続けるとだんだんと声のトーンが落ちていった、
ルルイエは窓から外を見た、
宿に入ってから食事をしてから部屋に入るまではまだ外は明るかった、
かなりシルフィードは話し込んでいたようだ、
「ルルイエさん、
私眠たくなってきたよ、」
シルフィードはそう言いながら夢の中に入っていった、
ルルイエは呆れて小さくため息を吐く、
ルルイエは部屋のランプを消してシルフィードと同じベットで眠る、
その様子を幽霊さんは見守っていた、
翌日、
村の入り口にシルフィード一行と商人と冒険者達、
そしてルルイエが立っていた、
シルフィードはルルイエに手紙を渡す、
「これをガルドさんに渡してねルルイエさん、」
「わかりました、
お嬢様、」
敬語が苦手なルルイエ、
シルフィードはクスリと笑う、
「ルルイエさん、
私の前では敬語じゃなくていいよ、」
「シルフィ様には構わないわね、
それとありがとう、
こんなにも食料をもらって、」
ルルイエは背負っている荷物に目を向ける、
シルフィードが心配して多めに色々とわたしたのだ、
「ルルイエさん、
もう悪いことしないでね、」
「しないよ、
こんないい人がお嬢様で私は幸せだからな、」
ルルイエは笑う、
マクスウェルはその光景を見て微笑む、
奴隷が主人に向かって笑うことは少ない、
シルフィードは一晩でルルイエの心をここまで開いた証拠なのだ、
「では、
行ってきます、」
「行ってらっしゃいルルイエさん、
来年には一度街に戻るからね!」
ルルイエは手を振りシルフィードの故郷に向かって歩き出す、
シルフィードも手を振る、
ルルイエが見えなくなるまでずっと、
ルルイエが見えなくなると寂しそうな顔をするもすぐに気をとりなおしてマクスウェル達に向き直り、
「私たちも行こう!」
いつもの調子に戻り言う、
そして、
村をしゅっぱつした、
2日後、
目的地のバークリートに着いた、
道中は特に何もなかった、
シルフィードは女の冒険者とは仲良くなった、
料理が珍しいためシルフィードが教えたら仲良くなった、
門を通るさい身分を聞かれたがマクスウェルを見るとすぐに敬礼をして入ることができた、
門を通るとそこには色とりどりの家や店が見えた、
露天や屋台も見える、
商人が入ってくると依頼報告書をマクスウェルに渡している、
そのあと商人とは別れた、
冒険者達は一度宿に戻るとのことで別れる、
シルフィードはマクスウェルに連れられて歩いている、
「シルフィード殿は先に冒険者ギルドに行って冒険者になってくるといい、
これは推薦状じゃ、
これを見せるのじゃよ、」
マクスウェルは懐から1枚の紙を取り出してシルフィードに渡す、
「おじいちゃん達は?」
「わしらはシルフィード殿の宿を手配しておくのう、
今回はわしらがやっておくが次からは自分でできるようにしとくんじゃよ、」
マクスウェルはそう言う、
少ししてある建物の前に着いた、
看板には冒険者ギルドと書かれている、
「ここが冒険者ギルドじゃ、
宿はここから3件隣にあるから覚えておくのじゃよ、」
マクスウェルはそう言ってアレクと共に宿屋に向かって歩いて行った、
シルフィードは冒険者ギルドを見上げて入っていった。




