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こんな魔方陣ってあり?

投稿がめちゃくちゃ遅れた!


何気無い通学路、


同じ制服を身に付けた男女の中に彼はいた、


携帯電話を片手に学生達の中を歩いている。


その容姿は至って普通、唯一の特徴と言ってもいいものは背中まで伸びた母譲りの美しく綺麗な黒髪しかない、


そんな彼が携帯電話で行っていることは、


(銃器の取り引きされている場所がまさかこの学校とは・・・教師にこっち側の者がいるのか、テロでも起こす気か?)


物騒なメールを読んでいた。


あの時、


白ヒゲのおじさんについて行って様々な事を学んだ、

白ヒゲのおじさんからは鍛治士の心得、


その際、対の籠手、赤黒い虎の紋様が入った籠手と青黒い龍の紋様が入った籠手を授かった、


授かった時は大きくて身に付ける事は無かったが今ではカバンに隠しながら持ち歩いている、


また、対の籠手には幾つもの秘密がある、


その一つが、


(放課後、学校に忍び込むが異論はあるか?)


(異論は特にないよ、

ただ、早めに仕事を終わらせないとスーパーが閉まって夕飯の材料が買えないよ、

氷龍≪ひょうりゅう≫はどう?)


(特にありません、

ですが虎炎≪こえん≫の言うとおりです、

昨日の夕飯もインスタントでした、

ちゃんと栄養のあるものをとってください。)


この会話を聞いての通り対の籠手は自我を持っています。


初めは驚いていた彼も今では話し相手、相談相手となっている。


白ヒゲのおじさん曰く最高傑作とのこと、一度どうやって造ったのか聞いてみるが教えてはくれなかった、

ただ言えることは表社会の物ではない事だけは言える。


また、籠手の名前については彼が籠手を持った時赤黒い籠手は少し熱く、青黒い籠手は少し冷たかった為簡単に名付けた。


なぜ白ヒゲのおじさんは彼に対の籠手を授けたのか、

彼の両親は裏社会の者に殺された、

裏社会とはその名の通りだが、ヤクザやマフィアと言った甘いものではない、


知ったら逃げることを許さない、


両親は裏社会から逃げて殺された、


彼はそのとばっちりを受けた、


そう白ヒゲのおじさんが言っていた。

殺られる前に殺れ、だが、殺しを楽しむな、そう教わった。


そうこうしているうちに学校まで着いた、そして放課後になる。


「準備いい?」


夕日を背に制服姿の彼が対の籠手に言う、


「大丈夫」


「いけます。」


そう答えられて彼は学校へ侵入する。


学校内は静かだ、

制服のまま来て侵入したが意味が無かった、


残っている生徒や部活動をしている生徒に紛れる予定だったからだ、


だが、不自然なほど静かだ、


「誰もいないのか?」


彼は小さく言葉を漏らし歩き出す、


校庭を歩いている時に気付くべきだった、


部活動をしていないと、


とりあえず警備室で鍵を入手するために歩き出した。


「おかしい・・・」


警備室に着いた彼はそう呟いた、


部活動をしている生徒や残っている生徒がいないことはたまたまいなかったと無理矢理納得することができる、


だがここに来るまでに教師と一度も会わなかった、


更に警備室には警備員がいない、


学校にもよるかもしれないがこの学校が警備員を雇っていることは皆が知っている、


しかも警備員が来る時間は午後の授業が終わる時間帯、

もう来ているはずだがいない、


見回りの時間でもない、


彼は警備員の荷物入れの前に手袋をしながら近づき荷物入れを開ける、


警備員の物らしい荷物が置かれている、

彼が一度帰った時に来たらしい、


彼は壁にかかっている鍵を手に取り警備室を後にする。


一通り教室や特別教室を調べた彼は一度警備室に戻った、


何も変わった所は無かった、


しかし教師や警備員とは会わなかった、


一度学校の地図を机に広げて次に行く所を決める、


「やっぱり校長室が怪しいかな?」


虎炎が彼に聞いてくる、


「そんなお馴染みの展開に期待しない方がいいが・・・その可能性も否定できないから、そこは最後に調べる。」


彼は校長室に丸をつける、


そこは最初に怪しいと思っていたがお馴染み過ぎるため後回しにしている、


「体育館や屋上を調べて見てはどうですか?」


氷龍が聞いてきた、


「そうだな、部活動をしていないからそこらへんも調べて見るか、」


部活動をしているかもしれない体育館は今日にに限って誰もいない、


屋上は基本は立ち入り禁止になっているが美術部が稀に屋上に出てデッサンとかしている、


彼は地図を片付けて警備室を出る、体育館や屋上、調理場、トイレなどをくまなく探した、


そして、


「結局、最後にここに来ることになるんだな。」


彼は校長室の前に来ていた、この校長室以外全て調べたが何も無かった、


「ここまで来ると黒幕は校長でいいんじゃないん?」


虎炎はボソリと呟く、それを聞いていた氷龍が、


「まだ、そうと決まった訳ではありません、一度中に入ってみましょう、」


彼にそう促した、


彼は息を整えてゆっくりドアノブに手をかける、

何か仕掛けがあるかもしれないため、


ゆっくりとドアノブを回してそっと扉を開ける、


幸いにも仕掛けはなく彼は校長室の中に入った、


誰もいない、


てっきり校長室に集まっているかと考えていた彼は辺りを見回して、


耳を澄まして、


「どこからか風の流れる音が聞こえる・・・」

彼は全神経を耳に集中して風の流れを聞いている、


もちろん入り口の扉は閉めてある、


彼は風の流れる音のする方向へ歩み出す、


ちなみに隙間風を調べる方法はタバコなどの煙が出る物を持ち、


煙をあげると普通は真上に登る煙が隙間風の風に当たり揺れます、


それを頼りに隙間風が出ている所を調べます。


無駄な雑談が終わった所で彼も風の出ている所に着きました、


何もない壁、


しかし、注意深く調べると壁の色が若干違うことに気付く、


「ここか・・・」


彼は小さく呟きゆっくり呼吸をする、


そして、


彼は拳を構えたと思うと大きな音と共に目の前の壁に人が通れる程の穴ができていた、


彼は拳を構えていたのではなく、


拳で壊した後に腕を引き戻した後なのです、


その一連の動作が目に見えることはない、


彼は白ひげのおじさんの知り合いの黒ひげのおじさんに格闘術を教わっていた、


黒ひげのおじさんの教育はスパルタで5つの時に熊と素手でタイマンさせられた(それで勝った)くらいの常識はずれのスパルタ修行だった、


7つの時に戦車などに使われるセラミック板を一点集中突貫型の正拳突き(心を落ち着かせ一点を見つめて正拳突きを行うこと)を行うことで貫く事が出来るようになった。



「・・・何度見ても常識はずれ の一撃ね。」


虎炎が呆れたようにそう言った


「グランドマスターの知り合いに常識人はいません。」


氷龍はツッコミを入れるようにそう言った、


「師匠達に聞かれてたら俺達は明日の朝日は拝めないぞ・・・」


彼が言うと周りの空気がいっきに下がった気がした、


彼はその場から逃げるように穴の中に入って行った。


中は一本の長い階段になっていた、


どのくらい歩いただろうか、


階段に終わりが見えてきた、


彼は物音を立てないように歩く、


階段を降りきった所で彼は前を見る、


特に広いわけでもなく狭いわけでもない空間に出た、


その一角に箱が積み重なっていた、


彼はその箱のある場所に歩いて行く、


その一つを手に取る、


持った際ずっしりと重たかった、


そのままゆっくりと地面に下ろす、


彼が蓋をゆっくり開けると、


「やっぱり、銃器だ。」


彼はそう言うと蓋を閉めて元の位置に戻した、


戻した際、


箱の横にある麻袋の存在に気が付く、そして開けた、


「・・・!」


開けた途端、むせるぐらいの強烈な異臭が放たれた、


何度も嗅いだことのある匂い、


慣れていたからなんとかむせることが無かった、


そう、慣れていたのだ、


死臭に、


裏社会から生き残るために人も殺した、


初めは慣れることは無かった、


しかし、殺さなければ殺される、


彼はそう教わった、


今日までに100を超える戦いをして100以上の命を奪った、


楽しくて殺してはいない、


そんな日々だった。


「この人は・・・警備員の人」


麻袋の入り口から顔を確認したところ警備員だった、


体を麻袋から引きずり出すと鳩尾から広がるように血が出ていた、


その鳩尾は人の手が入るくらいの穴ができていた、


まるで、


「心臓をえぐり出したような感じだ。」


彼は警備員を麻袋に再び入れた、


そして、歩き出した、


奥へ奥へと進み別の広い場所に着いた、


その中央に一人腕を天に向けて上げて立っていた、


その下に変な記号らしき物が書かれていた、


「うわ〜、なんか関わりたくない人がいるわ〜」


虎炎が嫌な声でそう言う、


普通なら近づきたくない人な為、


虎炎の言うことは合っている、


だが、彼はそんな怪しい人に近づいた、


何をしているかも気になっていたから、


人間、好奇心旺盛である、


よく心霊スポットなどに怖いながらも行く人がいる、


その人は刺激を欲しがってそのようなところに行くと考えられる。


彼は数メートル離れたところから、


「何をしていますか?」


訪ねた、


男はゆっくり振り向きこう答えた


「異世界の扉を開いているのさ」


彼は今この瞬間とても後悔した、


中二病か?


それとも精神にちょっと異常があるのか?


常識的に考えていたって異世界なんて世界はこの世に存在しない、


例え存在しても床に書いてある落書きもどきで自由に行き来できてたまるか。


彼は表情をそのままに更に聞いてみた、


「異世界ですか?」


「信じていない顔だね、

確かに信じられないかもしれないが実在している、

君はパラレルワールド説を知っているかね?」


パラレルワールド、


昔どこの国の誰かがそのようなことを言っていた、


ifの世界、


例えば彼が裏社会に関わらなければ普通の生活をしていたのかもしれない、


その例えがパラレルワールド、ifの世界だ。


更にそのパラレルワールドが木の枝のように枝分かれしていく、


そのような仮説だったはず、


根拠もなく、証明もされていない話にどう信じればいいのかわからない。


「その説は知っています。」


彼は知っているとだけ答えた、


「知っているのなら話は早い、

パラレルワールド、並行世界、もう一つの可能性の世界、

どんな言い方でもよい、

今この瞬間にもまた一つ増えているからね。」


まるで知っているかのように男は言っていく、


「パラレルワールドには無限に近い世界がある、

この世界と似ている世界、

文明が遅れている世界、

逆に発達している世界、

そして、具現世界、」


「具現世界?」


男の話の一部に彼は食いついた、


「具現世界は私たちの作り出した想像の世界、

君も子どもの頃魔法が有ったらよかったとかゲームのように魔物が出てこないかなとか思ったことはないかね?

そのような妄想が具現化したのが具現世界だ、パラレルワールドとは人々の妄想によって生み出されることもある。」


男はそう言った、


確かに彼も子どもの頃そのような事に憧れていた、


それは子ども達皆が思っているだろう、


しかし時が経つに連れて現実を知り始めたら皆が忘れる、


それでも捨てきれなけれない人はゲームやマンガ、小説などにしているだろう、


彼はそのようなマンガや本を読むが本気にしない、


所詮、書いた人の空想でしかないのだから、


男はきっと子どもの頃の夢を捨てきれないのだと思う、


「そしてわかったんだ、

その扉を開く方法が。」


男は地面に視線を向けた、


「この魔法陣に現れるのさ、

ただ、条件がある」


男が続いて上を見上げた、


「地球が太陽と月に挟まれ、

更に惑星直列の日に7つの心を生贄に捧げると開かれる、

惑星直列の日は今日の夜、

もう準備が整っている、」


男はそう言い懐に手を入れる、


「7つの心・・・まさか!?」


彼が何かに気付く、


だが、男に拳銃を向けられていた、


「先に言っておこう、

彼らは人間の屑だ、

この世にいてもこの世界が汚れるだけで必要とされない屑だ、

だったら、

屑は屑なりに役に立ってもらうさ。」


男はもう片方の手で自分の後ろを指差した、


そこには7つの臓器、


心臓が無造作に置かれていた、


「彼らは光栄だろうな、

世紀の大発見に貢献出来るのだから。」


男は薄ら笑いを浮かべた、


「・・・なんで警備員も殺したんだ、

あの人はあなたの言う屑では無かったはず、

それなのにどうして!?」


彼の感情は高ぶっていた、


特に親しいわけでは無かった、


だが彼は警備員の事を尊敬していた、


ただ警備をするだけの巡回を警備員はしなかった、


警備の仕事以外掃除やゴミの回収など先生や生徒が疎かにすることを警備員は毎晩必ずしていた、


昔、学校に侵入した彼は偶然それを目撃した 、


当たり前のことを普通にしている、


そんな警備員を尊敬していた、


彼の言葉に男は薄ら笑いをやめて渋い顔をした、


「彼には悪いことをしたと思っている、

しかし見つかってしまった、

この隠し部屋を、だからだ。」


男は淡々とそう言う、


そして、


「・・・もう少しで惑星直列の時間だ、

君には悪いが死んでもらう。」


男は彼を睨みそう言い放った、


彼は男を見ている、


男はゆっくり引き金を引いた、


バンッ


大きな音が部屋に響く、


だが、


「そんな、馬鹿な・・・」


男が絶句している、なぜなら、


「・・・」


彼は立っていた、


その場に、


拳銃の弾を首を動かしただけで避けたのだ、


男の使用した拳銃はグロック17、


恐らく扱いやすい拳銃なのだろう、(彼は一度も持ったことはないが)


しかし拳銃は最高秒速450の速さしかでないはず、


男の引き金を引き終わる瞬間と銃口から一瞬出る火花っぽい物を合図に避けたのだ、


これがライフルだったら最高秒速1000を超える為彼は避けることができなかった、


彼は一度深呼吸して、


「行きます。」


この一言でこの場の空気が変わった、


男は我に返り彼に向けて発砲しようとした、


しかし、


「氷龍!」


彼は言うと青黒い籠手は青く光、


彼の目の前に氷の壁を作った、


男の発砲した弾は氷の壁によって阻まれる、


傷一つ付かずに、


「虎炎!」


彼が言うと赤黒い籠手は赤く光目の前の氷の壁を急速に溶かした、


その際、濃い霧のような水蒸気を発生させる、


男は突然現れた氷の壁や水蒸気に驚いた為か思考が遅れている、


彼はその隙に男のそばまで近寄る、


人間や動物は突然の出来事に驚き考える時間が一瞬でき、行動も止まる、


彼はその隙をついた、


近寄った彼は拳銃を蹴り落とし、


更に回し蹴りを腹に叩き込む、


男はうずくまり呻き声をあげる、


水蒸気が無くなり視界が良くなる、


彼は拳銃を更に遠くの方へ蹴り飛ばした、


「な、なんなんだ、

なぜ突然氷が出て来るんだ!?

何がどうなっているんだ!」


男は叫び訴える、


現実ではあり得ない事が男の前で行われている、


「パラレルワールドを信じていて目の前の出来事を受け入れられないなんて意外ですね、

俺も初めは夢を見ているんじゃないかと思っていたがな、」


彼は男に近づきながらそう言う、


氷龍と虎炎の秘密、


炎と氷を操ることができること、


しかも、氷はどんなことがあっても溶かすことができず、


また、炎はどんなことがあっても消えることがない、


矛盾していると思うが氷龍の氷を溶かすことができるのは虎炎の炎だけ、


逆に虎炎の炎を消す事ができるのは氷龍の氷だけである、


お互い対消滅の形で氷や炎を消している、


「異世界なんて物はこの世にあるわけない、そんな空想の為に殺されていい命なんてない!」


「馬鹿な!

君のその力は異世界の力そのものじゃないか!

そんな君が異世界を否定するなんてどうかしている!」


男の叫びに彼はこう答えた、


「この力は確かに異世界の力かもしれない、だが、

ここは現実だ、

そしてこの力は現実の力だ、

異世界の力とは言わせない、」


目の前で起きた事は手品だろうが魔法だろうが現実の出来事になってしまう、


けっして夢や異世界の出来事ではない、


彼はそのような考え方をしていた、


「さあ、今なら警察に連れて行くだけで勘弁してやる、

おとなしくしていろ」


彼は男にそう言うが、


男は突如怪しい笑みを浮かべた、


「それはもう少し待っていてほしい、」


男は落書きもどきに目を向けた、


その時、


落書きもどきは光り始めた、


彼らは話したりしていたら惑星直列をいつの間にかしていた、


光っている落書きもどきから黒い何かが出てきた、


犬のような姿をしているが大きさがおかしい、


大きさがゴールデンレトリバーの3倍ぐらいある、


牙が無駄に鋭く、


黒い毛を逆撫でている、


目は紅く濁っていて口からはよだれが出ている、


まるで目の前にごはんがあるかのように、


「なぁ、あんたが呼びたかったのは扉だよな、

なんで犬っぽい物が来たんだ?」


彼は男に聞いた


「し、知らん、

私にも何がなんだか・・・」


男がとぼけている様子がない、


男にとって予想外のことだろう、


「あのさ、俺の仮説なんだけど、

扉っていうのがあの落書きもどきで、

本当はあの上に何か転送?する物を置かないと向こうから一方的に転送されて来るって事かな?

下手をするとあの犬っぽい物がいっぱい出てくると思う、

この犬やるから何かくれ!てきな感じ。」


彼はそのての本などの内容を思い出して仮説を言ってみた、


「確かに、その仮説はあっていると思う、

私は本当に扉が出てくると思っていたが、

だが今の状況で仮説の言い合いをしている暇はないと思うのだが。」


男の声が震えている、


恐怖からなのだろう、


「あの黒い奴こっちの出方を伺っている、

こちらも様子を見てみるか、」


彼はそう言うが、


「悪いけど私は逃げさせていただくよ、」


そう言い男は階段の方へ走って行く、


「ダメだ!やめろ!」


彼は男にそう叫ぶが遅かった、


黒い奴は逃げる男に視線を向けて勢いよく走る、


人と犬の足の速さでは犬が余裕で勝つ、


犬は男に追いつき体当たりを背中にぶつける、


「ふぐっ!?」


男は転び倒れる、


犬は倒れた男の頭めがけて勢いよく口を開けてかぶりつく、


男は悲鳴をあげることなく頭を噛み砕かれた、


犬は頭のあと胴体をかぶりつく、


野生動物は背中を見せた者を襲う習性があると言われる、


男は逃げたため犬に襲われた、


犬が男を食べ終わると次は彼に視線を向けた、


「あの犬の顎強いな、

骨まで食ったぞ、」


彼は少し感心していたが、


「アホ!感心してる場合か!?

あの犬っぽいの、

次にマスターを狙っているんやぞ!」


虎炎がツッコミっぽいものを入れる


「虎炎、

マスターへの口の利き方に気をつけてください、

それにマスターならあの犬もどきになら勝てます・・・多分」


「多分!

氷龍、今、あんた多分と言ったな!

マスターに何かあったらどないすんねん!」


「その時は私たちで瞬殺します、

そのために私達がいます、」


「た、確かに私達はそのためにおるけど、」


「それにマスターはやる気です、

そんなマスターのためにも私達は見守りましょう、

もしもの時は・・・わかっていますね、」


氷龍は彼のことを信頼している、


彼が勝つことを信じている、


虎炎は心配していた、


しかし彼の強さを知っている、


もしもの時のために心がけている、


「さてと、二人とも、

準備いいか?」


彼が二人に聞いた、


それと同時に犬が襲いかかってきた、


『はい!』


二人が返事をする、彼は走る、


犬が彼に噛みつこうとする、


彼は犬と床の隙間をスライディングで潜る犬は勢いよく口を閉じた、


彼は床に手を付けて逆立ちをするような形で犬を蹴り上げる、


犬は痛々しい悲鳴をあげて床の上で横になりながら悶える、


彼は起き上がり犬に近づき腹に拳で連打を行う、


一撃一撃は大した事がないが同じ所を殴り続けているため痛みが続く、


犬が痛みを我慢して彼に体当たりをする、


彼は氷の壁を作り出して体当たりを防ぐ、


犬は情けない悲鳴をあげる、


彼はその隙に側面に回り正拳突きを犬の腹に入れる、


巨体である犬が壁まで吹き飛ぶ、


彼はぶら下げている対の籠手を身につける、


対の籠手が微かに光る、


それを確認した彼は犬に向かって走り出す、


しかしスピードが先程とは違う、


普通の人では視認できないほどのスピードが出ている、


そして地面を強く蹴り宙を舞う、


そして、犬めがけて急降下しながら蹴りを犬の顔にお見舞いする、


犬は顔が砕けて血しぶきが彼を汚す、


犬は体を痙攣させてやがて動かなくなる、


氷龍と虎炎の能力の一つ、


装備者の能力を最大まであげる、


おかげで人間離れした事ができる、


ただ、身につけなければその効果を発揮できない、


腰にぶら下げているだけでは何も効果がない、


「・・・終わったな、」


彼は犬の死体から離れる、


さすがに動き出すことはないだろうが警戒をしている、


「しかし、この血をどうやって洗うかね〜」


彼は自分の服を見てつぶやく、


「お疲れ様です、マスター。」


「ついにこんな獣まで倒すとはグランドマスターに少し近づいたんちゃうの?」


氷龍と虎炎が彼にそう言う、


「ありがとう氷龍、

それと虎炎、師匠に対して冷たくない?

師匠はそこまで化け物じゃないぞ、」


「マスター、

それはグランドマスターを化け物と言っている同じです」


3人はそんなやりとりをしていると、


足元に何かやってきた、


「ん?」


彼は足元を見た、


そこには犬を召喚した落書きもどきがあった、


「なぁ、落書きもどきって動くか?」


彼は二人にそう聞いた、


「マスター、

何バカな事を聞いているんですか?

さっきの男に毒されましたか?

それは第三の目が開いたと痛いことを言っている人と同じです。」


彼は色々と傷ついて膝をつく、


「ひょ、氷龍!

マスターが死にかけとる!

言い過ぎや!

あの男に毒されてバカになったかもしれんがそれを口にしたらあかん!」


虎炎のフォローにならない言葉を言う、


彼は立ち上がり二人に言う


「二人共!人をけなして楽しいか!?」


「「はい(うん)」」


彼は再び膝をつく、


その時、彼の足元が光りだした、


「うぉ!眩しい!」


彼は思わず視界を手で覆う、


「な、なんや!?いきなり光り出して!

しかもいつの間にあの落書きもどきが足元に?!」


虎炎は早口でそう言う、


「言っただろ!

動くかって?

二人が俺を貶すから対処が遅れた!」


「申し訳ありませんマスター、

マスターがあの男の妄言に毒されたとばかり思っていました、」


氷龍が申し訳なくそう言う、


「わかればいい、

とりあえずこの落書きもどきから出るぞ!」


彼はそう言い落書きもどきの外に出ようとするも、


「ぐっ!?」


見えない壁らしきものに阻まれる、


「完全に閉じ込められたな、」


彼は見えない壁らしきものに手をつきながら言う、


「もう覚悟を決めるしかありません、」


「どこに飛ばされるかわからんがウチらはマスターと一緒に行くで!」


二人が彼にそう言う、


しかし、若干声が震えていた、


二人も怖いのだろう、


初めての経験だろうから、


「わかった、

覚悟を決める、

怖いけどもう戻れないから、」


床の落書きもどきがさらに強い光を出す、


「二人共!俺について来てくれ!」


「「はい」」


彼は返事を聞いた瞬間、


視界が光に包まれ、


謎の浮遊感を感じながら意識を手放した、


手放す瞬間、


思ったことがある、


こんな魔方陣ってあり?


翌日


校長室の隠し部屋から警備員の死体や巨大な犬の死体が見つかったことで学校が大騒ぎになり、


彼が行方不明だと気付いたのはそれから1週間後のことだった。

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