酒場は今日も大忙し
街に戻ったシルフィードらは酒場の前にいた、
「ここの店主が心配していたのかの?」
「うん、
ガルドさんが心配してたよ、」
酒場の中は騒がしい、
シルフィードは扉をくぐる、
中には人がたくさんいる、
「ガルドさーん!」
シルフィードが大きな声でガルドを呼ぶ、
するとカウンターからガルドが出てきてシルフィードに近づく、
「シルフィードか?
疲れているところすまないが店を手伝ってもらっていいか?」
リグトル達も手伝っているが回らないようだ、
「わかりました、」
シルフィードは店の奥に入っていった、
「お二人はどうしてこちらに?」
ガルドがマクスウェルとアレクに聞いてきた、
「ふむ、
あなたがガルドさんですか?
わしらを心配してシルフィード殿に向かわせてくれたことに感謝をしています、」
マクスウェルとアレクは頭をさげる、
「いえ、
こちらこそで過ぎた真似をいたしまして申し訳有りません、」
ガルドも頭をさげる、
「それではこちらで食事をとらせてもらってよろしいかな?
先ほどから美味しそうな匂いがしていてね、」
「わかりました、
ターニャ、
席に案内してやれ、」
ガルドがターニャを呼びだす、
ターニャはガルドの元に来ると2人を見るとアレクを見て固まった、
アレクもターニャを見て固まった、
そしてターニャは顔を赤くする、
アレクも顔を赤くする、
幽霊さんはにやにやする、
ガルドは何かを察した、
「ターニャ、
今は仕事中だ、
彼に用があるなら後でにしろ、」
ターニャはハッとして急いで2人を席に誘導した、
席に座ったマクスウェルはターニャに聞いた、
「ここのお勧めは何かな?」
「お勧めは特にありません、
おそらくお二人は初めてお口にされるものと思われますがお味は保証します、」
ターニャはメニューを渡した、
「ふむ、
わしは昔旅をしていたからのう、
ちょっとやそっとでは驚かんよ、
それならお主が美味しいと思った料理を持ってきてくれぬか?
口に合わなくても文句は言うまい、」
ターニャは考えた、
シルフィードの作った料理はすべて美味しいからだ、
もちろんガルドの作る料理もおいしいがシルフィードはまだ未知の料理を作るためそれもまた美味しい、
それをガルドは熱心に覚えていく、
無論アリサやターニャ、
タチアナも教わっている、
ターニャは悩んだ末決めた、
「ではクリームシチューをお持ちします、
少々お待ちください、」
ターニャはお辞儀をして厨房に入っていった、
煮込み料理はまだここしか広まっていない、
マクスウェルはまだ見ぬクリームシチューに胸を躍らせている、
しばらくして、
ターニャとシルフィードが木の器を持ってマクスウェルの席にきた、
「こちらがクリームシチューです、
少し熱いので食べる際は気をつけてください、」
席にシチューを置き木の匙を置く、
シルフィードは厨房に戻る、
ターニャはお辞儀をしてその場から離れる、
マクスウェルはまだ見ぬ料理を匙ですくい口に運ぶ、
アレクも料理に口を運ぶ、
そして、
「美味しいのう、
更に冷えるこの時期には嬉しいくらい温まるのう、」
「はい、
初めてこんな美味しいものを食べました、」
2人はそう言うとシルフィードが厨房から出てきて、
「みなさーん!
突然ですがここで新しい料理でーす!」
「よっ!
待ってました!」
1人の男性客が言うと酒場が盛り上がる、
マクスウェルは目を丸くする、
シルフィードが一度厨房に戻ると手に大きな皿を持って出てきた、
「これが新しい料理のケーキです!
3種類作ってみましたので食べてみて感想をください!」
出されたのはカットされたショートケーキとフルーツケーキ、チーズケーキの3種類、
それらをカウンターに置き小さな皿に一つずつのせていく、
お客様は一皿ずつ持って行き席に座り試食をする、
皆は三者三様の反応を見せる、
美味しいという声もあれば甘すぎるという声もある、
だが不味いという声はない、
マクスウェルもケーキを持ってきて口にする、
甘さが口に広がる、
甘い料理を食べたことがないマクスウェルにとって初めての味であった、
黙々食べるマクスウェル、
「どうですか?
このけえきのお味は?」
ガルドがマクスウェルに尋ねてきた、
マクスウェルは視線だけ向けてケーキを食べ続ける、
食べ終わってから、
「美味しですよ、
店主がお造りになられたんですかな?」
マクスウェルがガルドに尋ねるとガルドは首を横に振る、
「いえ、このけえきはシルフィードが作りました、」
それを聞いたマクスウェルは目を見開いた、
横に座っているアレクも目を見開いた、
「先ほどのクリームシチューもシルフィードが作り私たちに教えてくれました、
この町の人は皆がシルフィードが作っていることを知っています、
シルフィード曰くシルフィードの師匠が作っていたから覚えて作っていると、」
マクスウェルはシルフィードの後ろに浮いている幽霊さんに視線を向ける、
「あの子はいい師に出会えたんじゃな、」
「そうですね、
一度会ってみたと思っています、」
ガルドはそう言いカウンターに戻って行った、
シルフィードは笑顔でケーキを配っている、
マクスウェルはシルフィードに手招きをして呼ぶ、
シルフィードはマクスウェルの手招きに気付き近寄る、
「シルフィード殿、
明日空いてるかの?」
マクスウェルは小声で尋ねる、
シルフィードは小さく頷く、
「それでは明日、
森の入り口で、」
そう言いマクスウェルは酒を一口飲んだ、
酒場は今日も遅くまでランタンの明かりがついていた、




