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料理と選択2

(シルフィ、

お前は人を殺せるか?)


幽霊さんの言葉にシルフィードは固まった、


恐らく言葉の意味がわかっていないのだろう、


いきなり人を殺せるか?と聞かれたら頭が追いつかないだろう、


幽霊さんはシルフィードが回復するまで待った、


しばらくして、


(し、師匠、それはどういう意味ですか?)


恐る恐るシルフィードは幽霊さんに聞いてきた、


(少し俺の昔の事を話すぞ、)


いきなり語ろうとする幽霊さん、


(俺はな、3歳の時に両親を殺されて自分も殺されかけた、)


サラッと言う幽霊さん、


シルフィードは黙って聞いている、


(その時にある人に助けられて、

その人に保護されていろんなことを教わった、)


幽霊さんはそこで一度間を置く、


(その一つが殺しだ、)


(ころ・・・し・・・)


(そう、殺しだ、

俺を狙う奴がいたからな、

その人もいつまでも俺の面倒を見れないから殺し方を教えてくれた、

その時は5歳だった、

はじめは危険な野生動物だった、

それを素手で、

なんとか勝てたが生きた心地がしなかった、

次に山に籠って一月生き残れとか、

その間の食材はその山で採れる山菜や動物を狩って飢えをしのいでいた、

最後に、子供を誘拐する集団の全滅だった、

それが初めての人殺しだ、

全員殺した、

その後は気持ち悪くて吐いたな、

でも殺さないと子供たちが犠牲になる、

それからいろんな奴を殺してきた、)


そこでまた幽霊さんは間を置いた、


(シルフィ、もう一度聞こう、

人を殺せるか?)


シルフィードはすぐに返事を返す事ができない、


いきなり過去話をされた後、


人を殺せるか?と言われているから、


シルフィードは悩んでいる、


(ゆっくり考えてくれ、だが早めに頼む、)


幽霊さんはそう言い部屋を出た、


残されたシルフィードはベットに再び倒れこみ眠れない夜を過ごした、


翌日


いつものように酒場で働いているシルフィード、


特に問題なく仕事をしているがガルドとアリサには気付かれていた、


だがあえて聞かなかった、


何か聞かれたら答えてやろう、


そう考えている、


その夜、


「ガルドさん、」


ガルドはシルフィードに呼び止められた、


「どうした?」


「少し相談があります、」


ガルドはきたか、というような顔をした、


「いいだろ、片付けをしてから聞こう、」


「手伝います、」


二人は店内の片付けを急いで終わらせた、


静かな店内、


さっきまで酒を飲んで酔っ払っていた人たちが大勢いたがそれが嘘のように今はいない、


そんな中にシルフィードとガルドは2人だけカウンター席に座っていた、


「・・・話とはなんだ?」


ガルドが先に口を開いた、


シルフィードを見る事なくただ聞くだけだ、


「・・・ガルドさんに聞きたい事があります、」


念を押すかの様に言うシルフィードの言葉、


「なんだ?」


ガルドはそう返してきた、


シルフィードは一度息を整える様に深呼吸をする、


そして、


「ガルドさんは人を殺した事はありますか?」


シルフィードが意を決してガルドにそう伝えた、


ガルドは驚いたわけでなく、


ただただシルフィードの方を見ず前を見ている、


「なぜそんな事を聞く?

はっきり言ってシルフィードには何の意味もない質問の様だが、」


ガルドの言っている事は間違っていない、


だが相手はシルフィードだと思うときっと何か意味があるのだろうと思っている、


だがシルフィードの本音を聞きたいためにあえて厳しく言う、


「師匠が昨日言ってくれました、

私が10歳になると身売りに売られると、

その為に色々と教えたと、

それで次は人の殺し方を教えると、

でも師匠は私が決めろと言いました、

人を殺せるかと、

それで冒険者だったガルドさんに相談しました、」


シルフィードはそう言う、


ガルドは内心驚いている、


ウィンディア家は金銭的に厳しい現状だと知っていたがまさか子供を売るほど追い詰められていたとは思ってもいなかった、


ガルドは初めてシルフィードに向き直った、


そして言う


「シルフィード、お前にとって人殺しとはなんだ?」


ガルドの言葉がいまいちわからないシルフィードは聞き直す、


「ガルドさん、それはどういう事ですか?」


「シルフィードにとって人を殺す事はどう思う?」


人殺しを自分はどう見るとガルドは言っている、


シルフィードは少し考えて言う、


「ダメな事です、人を殺す事はやってはいけない事です、」


嘘偽りのないシルフィードの感想、


ガルドはシルフィードの頭に手を置き撫でる、


「それが当たり前の答えだ、

人を殺す事はダメな事だ、

だがなシルフィード、

この世界はそこまで優しくない、」


ガルドがそこまで言うとシルフィードの頭から手を離す、


「盗賊が村を襲い人を殺す、

貴族が気に食わない貴族を暗殺する、

仲間が裏切り斬りかかる、

それがこの世界だ、

平気で人を殺せる世界だ、」


人には感情がある、


喜怒哀楽もある、


それらが合わさり殺意が生まれる、


「シルフィード、

お前は殺しはダメな事と言ったが盗賊を見逃したらそのせいで罪のない人が何人も殺される、

それでもダメだと言うのか?」


ガルドがシルフィードを正面から見る、


ガルドがシルフィードを見る目は子供を見る目ではない、


大人を見る目だ、


ガルドは教えているのだろう、


割り切らなければ大切なものを失う事を、


「俺は冒険者だった頃は盗賊を何人も殺した、

それも冒険者の仕事だったからだ、

盗賊の拠点を何個も潰した、

拠点には人質がいる時もあった、

そのほとんどが女性でな、

その人質の何割かが殺されてたり、

まともに食事を与えてもらえず痩せ細った人もいた、

人としての尊厳が失われていた、」


ガルドが昔の事を話し出してきた、


盗賊がどんなものか教えているのだろう、


「アリサもその一人だった、」


「えっ?」


ガルドの口から思いもよらない言葉が出てきた、


シルフィードは驚き目を丸くする、


「アリサさん、捕まっていたんですか?」


シルフィードが思わずガルドに聞いた、


「あぁ、アリサとはそこで初めて会った、

人質の救出、

拠点を潰した後アリサがお礼として俺の冒険者の手伝いをしたいと言い始めた、

アリサはシスター見習いだったらしく教会も盗賊によって住めるような場所ではなかった、

神父や他シスターも殺されていて、

何より治癒魔法が使える為俺の側にいさせた、

それからいろいろあって今の状態だ、」


ガルドは一度席を立ちカウンターに腰を預ける、


「シルフィード、

お前の師匠は独立させる為にお前を育ててきたのだろう、

だがその過程でどうしても殺しを教えなければいけなかった、

お前の師匠の育て方は間違ってはいない、

だが殺しに関してはお前に決めさせたかったんだろうな、

お前の人生だはお前自身で決めろって事だ、

誰かに言われてやるのではなく自分で決めてやれって事だ、

殺したくないって言ってもお前の師匠は怒らず別のやり方を教えるだろう、」


ガルドが珍しく笑みを浮かべている、


シルフィードにとっては初めて見るガルドの笑み、


「お前はいい師匠に出会えたな、」


「はい、最高の師匠です、」


シルフィードもつられて笑みを浮かべる、


「それにお前の答えも見つかったんだろ?」


シルフィードはガルドの言葉に頷き、


「はい、師匠に殺し方を教えてもらいます、

盗賊のように殺しを楽しむのではなく、

ガルドさんのように誰かのために人を殺します、

師匠がよく言ってました、

殺しを楽しむなと、

辛いと思いますが頑張ります!」


幽霊さんに教わった教えに殺しを楽しむながある、


最初は意味がよくわからなかったシルフィードもガルドの会話を聞いて意味がわかった、


まるでシルフィードが殺しをするとわかっていたかのような教えだ、


「人を殺して辛いならこう考えろ、

殺した人の分まで生きろと、

多少楽になる、

それと俺から一つ、

決して道を間違えるなよ、

お前のように人のためにと言ってた奴らが道を間違えて盗賊に堕ちた事もあった、

お前はそんな事はないと思うが念のためにな、」


「大丈夫です、絶対に間違えません、

本日はありがとうございます、

ガルドさん、」


シルフィードは席を立ちガルドに向かって頭を下げてお礼を言う、


「気にするな、

これも大人の仕事だ、

シルフィード最後に頼みがある、」


「何ですか?」


シルフィードは首をかしげる、


「いつでもいい、

お前の師匠に会ってみたい、

無理ならいいが頼んでくれないか?」


「師匠に頼んでみます、

それでは失礼します」


シルフィードは酒場から出た、


幽霊さんにその答えを伝えるために、

グダグダになってすいません、

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