第一章第二話
遅くなって申し訳ありませんでした。「第一章第二話」投稿します。
世界設定など大まかなことが大体決まりました。まだ細かいところまでは煮詰まってませんが・・・。
あと、作者の文才が皆無なので更新のペースはなかなか上がらないと思います。すみません。
何回かは読み返してますが、変なところがあったらご指摘お願いします。
近づいてきた足音はドアの前で止まる。そして、コンコンッとドアをノックする音。
「入るわよ~っと、お、起きてるじゃん」
といいながら女の人が入ってきた。
第一章第二話
明るい声とともにドアを開けて入ってきたのは小柄な女の人だった。ベッドに腰掛けている私と同じくらいの目線だから大体140センチくらいか。この世界の標準は知らないが、175センチある私からすれば小さい。背中まである金髪は適当にまとめられ、耳には大きめの赤いイヤリング。顔は小さめできりっとした目が私好みだ。でも何より気になるのはその体だ。小柄ではあるが決してひ弱な感じではない。必要な筋肉はしっかりとつき、無駄なお肉がほとんどない。そのくせ出るところはしっかりと出ているのだからうらやましい限りだ。その上何か武道の心得でもあるのか歩き方に隙やぶれがまったくない。たぶん戦ったら私など瞬殺されるだろう。
その女の人はベッドまで近寄るとおもむろに私の手を取って脈を測ったり目を覗き込んだりしている。
「脈は異常なし。瞳孔も問題はなさそう。見たところ怪我ももう完治してるっぽいけどどこか痛いとことかある?」
「あ、いえ。特にありません」
そう答えると女の人は満足そうな顔をした後、
「そういえばまだ名前を言ってませんでしたね。はじめまして、私はアンメルデのギルドの管理人をやっているミト・マルクトスって言います。気軽にミトって呼んでください」
「えっと、はじめまして。姉崎アルトって言います」
「アネサキさん、ですね。ちなみにここはギルドの二階の一室です。アネサキさんは三日前にここに担ぎこまれて今までずっと意識がなかったんです」
三日間も寝ていたのか・・・。道理で体がこわばってたわけだ。それにしてもギルド、ねぇ。ギルドって言ったら依頼を受けるところかな?あまりゲームとかやんなかったからよくわからない。でもきっとそれなりに大きな組織なんじゃないかな。てことはいざこざとかは遠慮したい。でもごまかせるほどこの世界の知識もない。ここは素直に現状を言うべきか。
「ところでアネサキさん。聞きたいことがあるんですが」
「ちょうどよかった。私もミトさんに言いたいことがあるんです。あと姉崎ではなくアルトでいいですよ」
「そうですか。では私から。 アルトさん、あなたの持ち物には身分を証明するギルドレベル証明カード――通称ギルドカード――がなかったためアルトさんの身分や職業がわかりませんでした。 いや、そんなことはどうでもいい。アルトさん、あなたはなぜ致死量よりも多くの血を失ったのにそんなにけろっとしているんですか? しかも血はまだ乾いてなかったのにその血を流したであろう傷はすでにふさがっていた。普通の人はあれだけ血を失えば死にます。それに治癒に特化した気の使い手でもあれだけの血が出る傷をこんな短時間で跡形もなく直せる人なんていません。」
ミトさんは真剣な顔になって矢継ぎ早に質問してきた。ギルドカードとはたぶんこの世界で身分を証明するもののことだろう。あと、傷についてはたぶん直したのは私ではない。
そしてミトさんは最後に、
「アルトさん。あなたは何者ですか? いや、そもそも人間ですか?」
といった。
Side ミト・マルクトス
「アルトさん。あなたは何者ですか? いや、そもそも人間ですか?」
私がそう言い切ると、目の前の人は少し困ったような顔をしました。
そもそも私がこの女の人と始めて会った?のは三日前の早朝のことです。
その日は前日、小規模ではあったがこの地では珍しい地震があり、その地震による被害がなかったかなどを調べてまとめ、ギルドの本部に報告するというめんどくさい仕事がいつもの仕事にプラスされていたため寝たのが遅く、寝坊を決め込んでいました。朝日が顔を出したのには気づいてましたが、もう少しベッドにいようと思っていたのです。ところが
「ミトさん!ミトさーん!! 急患です!起きてくださーい!!」
という怒鳴り声とドンドンと激しくドアを叩く音。私の安眠を妨害するきか!と思いましたが急患のようです。私はかなり強力な治癒術師なので、よく怪我をしたハンターが駆け込んできます。今回もそうでしょう。しかたない、と気合をいれベッドから飛び降ました。
「はいはい!いまあけま~す ってダンさんじゃないですか」
そういって鍵をはずし扉を開けると、そこにいたのはダンさんでした。ダンさんはこの村のはずれで鍛冶屋をやっている人で知り合いですが、普通はこんな早朝からギルドに用がある人ではありません。
ところがダンさんが担いでいるものを見たとき、驚きました。
「ちょっとダンさん! なに、その血まみれの人は!!」
なんと、ダンさんは血まみれの女の人を担いでいたのです! ぱっと見ですが出血の量が半端じゃなさそうです。着ていた変わった形の上下が一体になっている服は元の色の部分が無くなるほど血の赤に染められているほどでした。
「いや、昨日の地震で鉄鋼の採掘所が崩れてないかを朝一で見に行ったら崩れた土砂に半分埋もれながら倒れてるのを見つけたんだ。血まみれだし、意識もなかったからとりあえずここにつれてきた」
ということは地震があった昨日の午後からこの状態で放置されてたってこと?! 絶望的じゃない!
「わかった。とりあえず奥の治療台に運んで! 準備するから」
「わかった」
お湯にタオル、ガーゼに消毒液と針に糸、それから治癒を助ける薬(劇薬)を用意し、女の人の手当にかかる。見ていたダンさんを部屋から追い出し、服を脱がせる。その服は形も変わっていたが、使われている布は初めて見た。下に着ていた服も血だらけではあるがすべすべしていて、何より効率よくフィットしていると思う。
「よし、脱がし終わったって、あれ? え、うそ・・・」
変わった形の服に気を取られてたせいか、服をすべて脱がしたところでやっとおかしな事に気がついた。傷が無いのだ。血まみれではあるが、傷が無い。それどころか傷跡もない。この人自身が治癒術師で、自分で傷を治したのか、とも一瞬思ったがこれだけの出血だ。そんな簡単に傷跡も無く直せるとは到底思えない。ためしに脈を取ってみたが正常。血圧も問題が無い。もしかして他人の血なのか?とも思ったが私だって治癒術師だ。この血がこの人のものであることぐらいわかるし、服もかなりずたずただ。
もしかしたら人外の血でも混じっているのかもしれないわね~と思いつつもとりあえず血をタオルでぬぐいきれいにして、もらったはいいが私には大きすぎて着れなかった寝巻きを着せ、処置は終了。
ダンさんには命に別状はないと言って帰ってもらい、その女の人を空き部屋のベッドに寝かせる。意識はまだ戻らない。一応強引に口に栄養満点の私特性スペシャルドリンク(劇薬)を飲ませておいた(飲ませているとき、それを見たダンさんがあまりいい顔をしてなかった。確かに見た目も味も悪いがきくんだぞ!)からそのうち意識を取り戻すでしょう。それを気長に待ちましょう。
そして三日後の今日、いつものように様子を見ようと部屋に近づくといつもより気配が濃い。どうやら意識が戻ったようです。ではご対面といきましょうか。
Side out
Side アルト
「アルトさん。あなたは何者ですか? いや、そもそも人間ですか?」
そんなこと聞かれても困る。私だって自分の体がいつもと違うことぐらいわかる。
だから私は素直に答えることにした。
「わかりません。でも、たぶん人間だと思いますよ。精霊が何もしてなければ」
「精霊?」
「はい。信じてもらえるかどうかわかりませんが私はもともとこの世界の住人ではありません」
そして私はいまわかる範囲のことをすべてミトさんに話した。それを聞いていたミトさんは、最初は驚いた顔をしていたが、途中から何か考えているような顔をして聞いていた。
「というわけなんです。」
「・・・なるほど。あまり信じられませんが納得できますし、反論すべきところがありませんね」
「・・・信じてもらえるんですか?」
「ええ。私は精霊は見ることができませんが、昔旅していたとき、なにかとても強い力を感じたと思ったらいきなり目の前の岩が消える場面に居合わせたことがありました。あの時は驚いていったんその場から離れて、数日後にそこに行くと何もなかったように岩が存在してました。たぶん今回もそれと同じようなことでしょう」
おいおい、こういったことはまれにしか起きないんじゃないのかよ、まっくろくろすけ。
「もと居たところに帰れないのは気の毒に思いますが、まあ、あれほどの血を流して生きていただけよかったんじゃないですか。では、時間も時間ですし生きているものの特権、晩御飯にしましょうか」
ちょっと待っててください、と言うとミトさんはそう言って部屋から出て行く。確かに、あたりはいつのまにか薄暗くなっている。
ほどなくしてミトさんは何かを持って戻ってきた。
「アルトさんが最初着ていた服はぼろぼろになってましいましたし、今来ている服は寝巻きですので、この服に着替えてください。靴も片方なかったのでこのサンダルをはいといてください。あげますから」
「なにから何まですみません。でもいいんですか? 看病してもらった上に色々と面倒まで見てもらっちゃって」
「いえいえ~。いいですよ、そのぐらい。その分働いてもらいますから」
「そうですか。では甘えてって働いて?」
「はい。アルトさん、この世界に来たばかりで常識とか知らないでしょ」
「ええ、まあ」
「しかも収入の当てが無い以前に身分を証明するものがないですから、どこも雇ってはくれないでしょう」
「・・・・・・」
「なのでアルトさん、衣食住とあと常識とかはこちらが提供します。その代わりにあなたは私の命令に従って馬車馬のように働いてもらいます」
「え、ちょ、馬車馬って」
「一生とは言いません。2、3年もあればここで一人で生きていけるようになるでしょうし、出資分も利子つきで帰ってくるでしょう。あ、ちなみに馬車馬は冗談です♪」
「・・・なんか疲れた」
「まあまあ。最近、一人でここを運営するのも飽きてきたんですよ。ちょうどいい話し相手が出来て私はうれしいですよ」
では夕食の準備をしてるので着替えたら来てください、と言い残してミトさんは部屋から出て行った。しょうがないのでミトさんが置いていった服を着ようと思って手に取る。用意してもらった服は丈夫そうな布で作られた黒色のワンピースだった。半袖で、裾の長さは足首にかかるくらいの長いもの。腰にはベルトループ[ベルトを通す輪]まであり、丈夫さや使いやすさを求めて作られたのがわかる。
なんだかミトさんに勝手にこれからの事を決められてしまった気がするが、もともと当てもないし丁度良かったのかもしれない。2,3年はミトさんの好意?に甘えておこう。それからの事なんてそのときまた考えればいい。
よし、と気合を入れて歩き出す。とりあえず今はミトさんが用意してくれている夕食を食べに行こう。
やっと主人公以外の登場人物が出てきました。でも、描いているうちにだんだん登場人物の口調や性格が変わってる…。ミトさんとか、初期設定ではただの幼女だったのがなんか少し腹黒く?なってるし。
次話は世界についての説明となると思います。タイトルのことが始まるのはもう少しお待ちください。
あと、投稿してから時間が経ち、覚めた目で今までに投稿した分を読み返してみたら結構変なところが多い…。 気が付き次第直して行きたいと思います。
最後になりましたが、お気に入り登録が90人以上も!! ありがとう御座います。期待に沿えるように頑張って更新していきたいと思います。
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