山脈
ウィルムの棲む山脈は、険しく、荒涼とした地だった。冷たい風が吹き荒れ、険しい岩肌と、深い谷が複雑に入り組んでいる。ギルドマスターは、熟練の冒険者としての経験を活かし、安全なルートを的確に選んで進む。私は、無限本を開き、ウィルムの生態や弱点、そして、涙の採取方法を改めて確認する。
「この記述によると…ウィルムは、特定の音階に反応するらしい…です」 私は、無限本に記された楽譜のような記述を指さす。それは、まるでウィルムの心を鎮めるための子守歌のようだった。
「なるほど…つまり、戦闘ではなく、交渉を試みるというわけか」ギルドマスターは、頷きながら言った。「だが、ウィルムは、知性も高く、狡猾な魔物だ。簡単に心を許すとは限らない」
私たちは、慎重にウィルムの巣窟へと近づく。巨大な岩の割れ目から、かすかな熱気と、独特の臭気が漂ってくる。ウィルムの息遣いが聞こえるようだ。
巣窟の入り口付近で、私たちは作戦を練る。私は、無限本に記された楽譜を元に、ウィルムを鎮めるための旋律を奏でることを提案した。ギルドマスターは、私の演奏を援護し、もし状況が悪化した場合は、戦闘の準備をする。
私は、深呼吸をし、楽器を取り出す。それは、古代神殿で発見した、アトランティス文明の遺物の一つ、不思議な力を秘めた竪琴だった。指が弦に触れると、かすかな光が楽器から放たれ、空気が震え始めた。
ゆっくりと、慎重に、私は旋律を奏で始める。無限本に記された楽譜は、複雑で、難解なものであったが、私の魂は、それを理解していた。それは、宇宙の調和を奏でる、神聖な旋律だった。
旋律が、山脈全体に響き渡る。すると、巣窟の奥から、巨大な影がゆっくりと姿を現した。それは、想像をはるかに超える大きさの、威圧的なウィルムだった。しかし、私の奏でる旋律は、その怒りを鎮める力を持っていた。ウィルムは、私の演奏に聞き入っているように見えた。
果たして、ウィルムは私の奏でる旋律に心を動かしてくれるのだろうか?そして、私たちは、ウィルムの涙を得ることができるのだろうか?私たちの試練は、まだ終わっていなかった。




